■米ドル高の流れはできてきているが、ペースはゆっくり
米国の2015年12月の利上げムードが高まっており、米ドル高の流れができてきたことは、前回のコラムでお話ししました。
【参考記事】
●「鉄の男」黒田健在で日銀追加緩和せず!ユーロ安・米ドル高が明らかな理由とは?(11月5日、今井雅人)
しかし、そのスピードは、かなりゆっくりで、大きなトレンドを形成するというところまでは至っていないのが現状です。
米ドル/円も、一気に123円台にまで上昇したものの、結局、そこで日本の輸出企業による米ドル売り・円買いに上値を阻まれました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
そうした動きを見て、短期的に米ドル買いをしていた投機筋も、あきらめて米ドル売りをしています。
しかし、その一方で、長期投資をする機関投資家などが、徐々にではありますが、米ドルの押し目買いを続けています。すでに122円台半ばから121円台にかけて、米ドル買い注文が入ってきているようです。
■円安トレンド形成のペースがゆっくりだと思う理由
長期的な買いが入ってきているということは、円安トレンドを形成するには大事な要素ではありますが、そのペースは、やはりゆっくりとしたものになるのではないかと思っています。
それは、日銀の金融緩和期待が遠のいているからです。
11月11日(水)、日銀の原田審議委員が、「当面は金融緩和をする必要はない」という発言をしていますが、これが今の日銀の本音だと思います。
その背景にあるのは、エネルギー価格以外の物価は、上昇傾向にあるということです。
確かに消費者物価指数で、生鮮品を除く総合指数、いわゆるコア指数は、直近の8月、9月と2カ月連続で前年同月比マイナス0.1%となっています。
しかし、食料及びエネルギーを除く総合指数、いわゆるコアコア指数と呼ばれるものを見ると、7月から0.6%→0.8%→0.9%と、徐々に上昇してきています。
これが、日銀の自信につながっているということです。
■米ドル/円の上昇ペースはゆっくり
何度も申し上げますが、私は2015年内の追加緩和は、ないと思っていますので、どうしても米ドル/円の上昇ペースは、ゆっくりとしたものとなってしまうのではないかと考えています。
そうであるなら、押し目買いをするか、米ドルを買ってのんびりと待つか、どちらかではないでしょうか。
【参考記事】
●米FOMCで年内利上げ期待高まりドル高!黒田日銀総裁の追加緩和に対する本音は?(10月29日、今井雅人)
●「鉄の男」黒田健在で日銀追加緩和せず!ユーロ安・米ドル高が明らかな理由とは?(11月5日、今井雅人)

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■ユーロ/米ドルの動きは、2015年3月と似ている
一方で、ユーロ/米ドルはどうでしょうか。
こちらは、今の相場を見ていると、2015年の3月を思い出します。
2015年1月に大きく値を下げたユーロ/米ドルですが、その後、2月に入って、こう着状態となりました。
そして3月になり、再び下落を始めたのですが、1000ポイント弱下落して、1.05ドルを割り込んだところで跳ね返され、それ以降は下がらなくなってしまいました。

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今回も、1.15ドル手前から下落をはじめ、1.07ドルを割り込んだところで跳ね返されています。

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少しレベルは違いますが、同じような展開となっています。
■GSはパリティ割れを予想しているようだが相場は終わり?
2015年年初も、ゴールドマン・サックスなどは、1.0ドルを割り込むとの予想を出していましたが、今回もまた、「2015年末までにパリティ(1ユーロ=1米ドル)を割り込む」と言い出しました。
確かに、米国は利上げ、ユーロは追加金融緩和となれば、ユーロ安・米ドル高というのはわかりやすいのですが、この世界は、みんなが同じことを言い出すと、相場は終わりというのが常であるので、どうもそれが気になっています。
■豪ドルの急上昇は、指標結果に対する一時的な反応か
最後に、オセアニアを見てみましょう。
11月12日(木)、オーストラリアの10月雇用統計が発表されました。
新規雇用者数の事前予想は、1万5000人の増加でしたが、結果は5万8600人の増加。特にフルタイム雇用者の伸びが4万人と、とても良い結果となっています。
こうした予想外の良い結果に、豪ドルは、対米ドル・対円とも上昇しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 1時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 1時間足)
しかし、豪ドル/米ドルのチャートを見る限り、豪ドルは、まだ下降トレンドの中にあります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 週足)
豪ドル/米ドルの上値は、せいぜい0.72ドル前後で、予想外の指標に反応した一時的な現象と、とらえておいた方が良いのではないでしょうか。
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