■月初のユーロ/米ドルは買い戻しの動きに
12月相場となり、いよいよ市場が注目するECB(欧州中央銀行)の追加緩和やFOMC(米連邦公開市場委員会)による金融政策の正常化、つまり、利上げ開始がどのような形で実行されるかが注目されています。
前回のコラムでは、「米ドル高相場が、ゆっくりではあるが進行する」と予想していましたが、ユーロ/米ドルは先週末、11月27日(金)のロンドン16時(日本時間翌午前1時)のフィキシングにかけて、月末絡みのまとまったユーロ売りが観測されたこともあり、12月の月初は、逆に買い戻しの動きとなりました。
しかし、戻りも1.0637ドルまでと、かなり限定的な動きに留まりました。
【参考記事】
●ロシア軍機撃墜もリスクオフは限定的。米ドルを買うなら対円よりも対ユーロで!(11月26日、今井雅人)

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■ECB理事会を控えて、思惑的なユーロ売り
その後は、11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が、前月比0.1%と、市場予想の0.2%を下回る弱い数字となったほか、強い米雇用指標を受けた米長期金利の急上昇につれて、ユーロ/米ドルは再び売りが強まる展開に。
本日、12月3日(木)21時45分には、ECB定例理事会の声明発表を控えており、アジア時間から思惑的な売りが観測されるといった動きとなっています。

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■追加緩和は織り込み済み。発表後、買い戻しの可能性高い
先週末の英サンデータイムズでも、具体的な追加緩和策が報じられているように、市場では、「中銀預金金利の0.1%引き下げと同時に、資産買取り額を600億ユーロ拡大して買取り対象を広げるほか、期間延長も検討する」とのコンセンサスになっています。
その後に予定されているドラギECB総裁の定例記者会見では、さらなる詳細や今後の方針などが表明されるはずですが、市場はすでに、かなり織り込み済みの状態になっていると考えられます。
追加緩和の内容次第ではありますが、いったんは売られるものの、その後はショートカバーから買い戻される可能性も高いでしょう。
■パリティを目指すような動きにはならないだろう
昨日、12月2日(水)のNY市場では、一時1.0550ドルまで売り込まれる場面も見られましたが、同水準には、さまざまなオプションなどが設定されていたこともあり、下抜けに失敗した形となっています。
チャートを確認してみると、4月13日(月)の安値1.05205ドルや2015年の最安値となる3月16日(月)の1.0457ドルが重要なサポートレベルとなっていますが、これらを下抜けて、いわゆるパリティ(1ユーロ=1米ドル)を目指すような大きな動きには、なりそうもないと思っています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
今週末、12月4日(金)の11月米雇用統計も見極める必要がありますが、いずれにしても、いったんは下値を確認したあと、ショートカバーが入る動きを想定しておきたいところです。
■米ドル/円は、上値を追うより下押す場面を考える時期
また、米ドル/円も同様に、昨日、12月2日(水)のNY市場では、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演で、「長過ぎる利上げの先送りは後の突然の引き締めリスクになる」などの見解を表明。
事実上、12月FOMCでの利上げを想定していることが確認されました。
米ドル/円は、引き続き122円台での執拗な本邦実需勢の買いなどに下値を支えられる展開が続いていますが、12月1日(火)のアジア市場ではWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が関係筋の話として「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はECBの追加緩和観測の高まりなどから、短期的にユーロに対する見方がネガティブとなっているために、小額の為替ヘッジを始めた」と報じられました。
これらを実際に確かめることは非常に難しいですが、こういった話が出てくること自体、やはり気をつけなければならないと思っています。
「火のないところに煙は立たない」からです。

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FOMCが開催される12月15日(火)~16日(水)までは底堅い動きが続くかもしれませんが、こういったビッグイベントを前後して、利食い売りなどに押されるケースも多く、そろそろ上値を追うよりも、利食いなどから少し下押す場面を考える時期に入ってきているのではないでしょうか。
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