■ブルームバーグの報道をきっかけに、怒涛の買い戻し!
前回のコラムでは、「米ドル/円の買い戻しの動きは、あくまでもポジション調整によるものであって、市場のトレンドが変わってきているとまでは考えていない。週明けの突っ込み売りに対するショートカバーが強まっているだけ」との見通しをお伝えしたと思います。
【参考記事】
●原油価格反転による安定感は一時的。米ドル/円は戻りのメドを慎重に見極めたい(4月21日、今井雅人)
しかし、4月22日(金)の東京市場で「日銀による貸出金利にマイナス金利を適用する」とのブルームバーグの報道が出たことをきっかけに怒涛の買い戻しが起こってしまいました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■ポジション調整を必要とする時期と重なって、買戻し加速
英訳では「BOJ Official Said」と報じられたものの、実際には「複数の関係者」からの話に過ぎなかったのですが、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合を控えて、週末の、いかにもポジション調整を必要としていた時期と重なったことから、想定外の買い戻しにつながっていったようです。
市場は、「ことの真相をどうこうするよりも、とにかく買い戻さなければならないほどショートカバーが強かった」ことを確認すると、NY市場では、3月17日(木)の安値110.669円を上抜け、さらなるストップロスを巻き込む形で上げ足を速め、一気に111.816円まで買い上げられました。
さらに4月25日(月)早朝には、一時111.915円まで値を上げています。
■日銀の追加緩和見送りが妥当であると考える理由
そして、迎えた本日4月28日(木)。
日銀は、追加緩和を見送り、政策の維持を決定しました。私は、この日銀の追加緩和見送りは、当然だと考えています。
市場では、ETF(上場投資信託)買い取り枠の倍増やら、当座預金金利のマイナス金利幅拡大など、追加緩和観測が盛り上がりを見せていましたが、そのこと自体が異常だったと思っています。
その理由としては、まず、黒田日銀総裁が国会で、「マイナス金利の実体経済への効果はこれから現れる」と答弁しているのに、その効果を確認しないで、追加緩和をするのは整合性がとれないということが挙げられます。
■原油価格も上昇している
また、物価が思ったように上昇しないのは原油安のせいで、いわゆる日銀版コアコアCPI(※)などでは、「物価は上昇基調にある」とも総裁は答弁しています。
(※編集部注:「日銀版コアコアCPI」とは消費者物価指数の1つで、生鮮食品・エネルギーを除いた総合指数のこと)

そんな中、このところ、原油先物価格は、年初来高値をつけて上昇しています。

(出所:CQG)
こういう状況で追加緩和するのは、やはり整合性が取れないでしょう。
さらに、2016年1月の金融政策決定会合でのマイナス金利導入は、市場が混乱していることに対する措置であったと説明していますが、今回はそのような金融市場の混乱が起きていません。
むしろ、かなり落ち着きを取り戻していると言えます。
■「提灯」がついてしまった相場に対する反動
本日の日銀金融政策決定会合の決定を受けて、米ドル/円は111.885円の高値から一気に108.058円(※)まで急落となったほか、日経平均も620円を超える大幅下落となって、ゴールデン・ウィーク前の取引を終えました。
(編集部注:米ドル/円はその後さらに下落し、107円台をつける場面もあった)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

(出所:株マップ.com)
冒頭にお伝えした報道を受けて、市場には必要以上の追加緩和期待が広がり、相場全体にいわゆる「提灯(ちょうちん)」がついてしまったことによる反動が、大きく出ているのではないでしょうか。
■「円高・株安」の基調に変化はないが…
さて、今後の展開でありますが、前回のコラムでもお伝えしたとおり、「円高・株安」の基調に変化はないと思っています。
【参考記事】
●原油価格反転による安定感は一時的。米ドル/円は戻りのメドを慎重に見極めたい(4月21日、今井雅人)
ただ、米ドル/円は、これまで107円台で3回(4月7日の107.668円、4月11日の107.632円、4月18日の107.794円)、下値トライを止められています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
この、107円台半ばのサポートを下抜けるかどうかがポイントでしょう。
完全に抜けてくるのであれば、2014年10月15日の安値105.195円が当然ターゲットに入ってくるのではないでしょうか。
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