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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

引退したソロスが動くほど今後の相場は
おもしろい!? リーマン級ショックも想定内!

2016年06月10日(金)18:03公開 (2016年06月10日(金)18:03更新)
陳満咲杜

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■ドルインデックス急落は5月の行きすぎの反動

前回(6月3日)のコラムでは米ドル全体の頭打ちを想定していた。実際にそのとおり、ドルインデックスは急落し、先週(5月30日~)の96の節目手前から、一時93.50割れまで反落してきた。

【参考記事】
なぜ、ドル高になりきれない? 世にも怖い「キンチョウ」の夏の「冷やし中華」とは?(2016年6月3日、陳満咲杜) 

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:CQG)

 5月米雇用統計が市場予想より大幅に悪化していたことが直接の引き金となったが、注意すべきなのは、米追加利上げ観測によって、米ドルの切り返しが5月いっぱい先行していたということだ。

 要するに、同観測を過大に織り込んでいたために、その反動も大きかったのである。換言すれば、利上げ観測自体が行きすぎだったので、米雇用統計が仮に良かったとしても、米ドルが先行して上昇していた分、足元の米ドル高は限定的だったはずだ。このことは前回のコラムの趣旨であり、また、現時点でも変わらないと思う。

■米国株高なのに米ドル安・円高になっている理由とは?

 米ドル/円に関しては、前回のコラムで指摘したとおり、4月末高値111.88円を超えない限り、米ドル/円の下落構造は維持され、米ドル安・円高の底打ちといった安易な推測は現実的ではなかろう。

【参考記事】
なぜ、ドル高になりきれない? 世にも怖い「キンチョウ」の夏の「冷やし中華」とは?(2016年6月3日、陳満咲杜)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 実際、米国株が歴史的に高い水準をキープしているだけに、リスクオフの米ドル安・円高は理屈上、解釈されにくいが、米国を除いた主要中央銀行による量的緩和の流れにおいて問題を考えれば、「理外の理」がおわかりいただけるかもしれない。 

S&P500指数 週足
S&P500指数 週足

(出所:CQG)

 今週(6月6日~)、S&P500指数が10カ月ぶりの高い水準を記録した一方、商品指数も同じく10カ月ぶりの高いレベルに到達している。

CRB商品指数 週足
CRB商品指数 週足

(出所:CQG)

 その上、ジャンク債が今年(2016年)、9%も高くなり、金(ゴールド)、原油と円が揃って上昇してきた。こういった市況は、もはや単純にリスクオン・オフをもって説明できなくなっており、市場における高い流動性が唯一の背景として解釈されやすい。

 何しろ、EU(欧州連合)、日銀をはじめ、主要地域、国の史上最大規模の量的緩和は資金の氾濫をもたらし、過剰流動性が原因で各資産が「理屈なし」に買われている。どうやら、唯一の理屈があるとしたら、やはり、「米追加利上げ観測の後退が市場のコンセンサスとなっているため、米ドルだけが買われにくい」ということである。

 しかし、世界経済成長自体は明るい見通しになっていない。EU、日本はもちろん、比較的成長率の高い米国でも5月雇用統計で見られたように、景気回復の失速が現実味を増している。

 こういった流れを汲むと、市場関係者の多くが… 

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