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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円が160円の大台を打診すれば、介入の可能性!
衆院解散や総選挙などの材料があっても、2024年高値の
更新を回避できれば、トレンドの大転換を有力視する

2026年01月16日(金)17:59公開 (2026年01月16日(金)17:59更新)
陳満咲杜

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米ドル/円は衆院解散後の自民党勝利を織り込み済み、逆に過半数が取れなければ大きな反動が⁉

 先週(2025年1月5日~)末から大きなサプライズがあって、米ドル/円は再度、高値更新した。それはほかならぬ、高市首相による衆院解散や出直し選挙の決定だ。高市氏の人気に乗じて自民党の圧勝が予想されるなか、いわゆる「高市トレード2.0」の市況が演じられ、株高・円安の同時進行が見られたわけだ。

米ドル/円(右軸・ローソク足)VS日経平均(左軸・ライン) 4時間足
米ドル/円VS日経平均 4時間足チャート

(出所:TradingView

 ただし、史上最高値を更新し続ける日経平均に比べ、米ドル高・円安の進行は今のところ、比較的に小幅にとどまっている。米ドル/円は一時2025年1月高値を更新し、159円台半ばをトライしたものの、執筆中の現時点では158円台で推移している。

 それはほかならぬ、日米両サイドから円安牽制があったからだと思われる。片山さつき財務大臣は介入示唆のほか、ベッセント米財務長官と緊密に連携を取り、為替に対する懸念を共有していることを市場関係者に示した。実際、米財務長官は韓国ウォンの下落は行きすぎだと指摘したばかりで、円安にも歯止めがかかった模様だ。

 さらに、日銀の円安進行への懸念も強まっているという。昨年(2025年)1月利上げ後の円安進行は、輸入インフレを高める要素として無視できないと関係者が表明しており、場合によっては次の利上げが前倒しで実施される可能性もある。

 そして直近に出たサプライズは、直接、金融相場に衝撃を与えていないものの、これから織り込まれていく可能性が大きい。公明党と立憲民主党の新党結成が報道されており、選挙における自民党の優勢を崩す恐れがある。実際、高市内閣の高い支持率に比べ、自民党の支持率が驚くほど低く、選挙の結果は油断できない。

 しかし今のところ、長期金利の急騰があったにもかかわらず、日本株の急伸自体は「高市トレード2.0」のみの演出にとどまっている。そこに大きな落とし穴があるとすれば、自民党が過半数の議席をとれる場合はその大半が織り込み済み、逆に取れない場合はまったくと言っていいほど織り込まれていないから、大きな反動が来る。

手放しで米ドル/円の高値を追えない理由とは?

 より突っ込んで言うなら、自民党による過半数の議席獲得は、高市首相にとって政治の生命線と言っても過言ではない。衆院解散の結果が勝利ではなく、敗北となった場合、高市首相の退陣もあり得る。金融市場がすでに自民党の圧勝や単独政権を織り込んでいる以上、事実となればむしろ利益確定されやすく、逆にそうでなければ、「高市トレード」の結果を全部吐き出す恐れがある。

 だからこそ、手放しで米ドル/円の高値を追えない上、市場は徐々にリスクを意識するようになるかと思う。その結果、実際の選挙までではなく、今月(1月)の通常国会冒頭にて首相が解散を宣言すれば、金融市場が反動的な動きを見せてくれるかもしれない。

 言ってみれば、先週(1月5日~)から急速に進行してきた株高・円安は楽観論を十分織り込んでおり、これから落ち着いてくるかと推測される。衆院解散前後において、いったん大きな反動があってもおかしくないから、油断できない。

 米ドル/円における構造上の視点は前回のコラムをもって詳しくまとめたので、ここでは重複しないが、強調したいのは、その可能性が正しければ、衆院解散や選挙といった大きな材料があっても、同構造を否定できないということだ。これこそ相場の宿命である。
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 ゆえに、変動率を十分覚悟した上で、2024年高値の更新さえ回避できれば、今年(2026年)における米ドル/円の大転換をなお有力視する。単純にテクニカルの視点では、変動率の拡大を想定した上、当面160円以上のいったんの打診があってもおかしくないが、その上に定着することはなかろう

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート
 

(出所:TradingView) 

米ドル/円が160円の大台を打診すれば、当局は介入するとみる!
ただ、投機筋は介入自体を好機とみなす可能性も…

 現実的な問題として、恐らく160円の大台の打診があれば、当局の介入が確実に発動するかと思う。なぜなら、当局の示唆(特に片山財務大臣の発言)を読むとわかるように、当局は実弾介入を用意しているに違いない。仮に介入の結果が芳しくないとしても、介入しないという選択肢はもはや残されておらず、市場との攻防が規定路線というか、長い闘いになりそうだ。

 もっとも、最新のデータを確認しないとわからないが、直近までのIMM通貨先物ポジションを見る限り、円売りポジションの積み上げがまだ大した規模ではないから、当局の介入があっても空振りになる、といった思惑も根強い。言ってみれば、介入の「受け皿」として大損しない限り、投機筋は介入自体をむしろ好機と見なす可能性がある。
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円売りポジションを構築している投機筋の思惑が正しいとは限らず、むしろ円売りの一服につながるかもしれない

 一方、投機筋は円安の進行を見込んで、積極的に円売りポジションを構築しているといった報道がある。投機筋は極めて機敏に動くから、先週末から一気に円売りポジションが大きく積み上がってきた、という話があっても想定の範囲内だ。もしそうであれば、実際の介入まで、「踏み上げの下地」が整えられ、介入の効果が見られてもおかしくなかろう。このあたりは、あまり経験則に頼らないほうが無難だと思う。

 究極的には、投機筋の思惑が正しいとは限らない、ということを強調しておきたい。昨年(2025年)、投機筋が円高に大きく賭けたこと、そして昨年4月にて先物市場で円買いポジションの記録を更新したほど、円買いを仕掛けたことが記憶に新しい。

 その賭けが大きく外れたからこそ、目先の円安をもたらしたとも言える。ゆえに、大きく円売りに賭ける投機筋の動きがあれば、むしろ円売りの一服につながるかもしれない。市況はいかに。

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松崎美子