■ドル/円は1カ月続伸し、114円台半ばへ到達後に調整へ…
みなさん、こんにちは。
米ドル/円はこのコラムでご紹介させていただいたように、6カ月サイクルをきれいにトレースする形で上昇。
【参考記事】
●米ドル/円の6カ月サイクルは継続中!上昇トレンドは不変! 中期的には120円へ(7月6日、西原宏一)
●米ドル/円は半年サイクルでトレンド転換! FOMCきっかけの米ドル高は継続か?(6月22日、西原宏一)
6月14日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)前後に108.83円でボトムアウトした後は、目立った押し目もなく、ほぼ一本調子に上昇しました。
7月11日(火)には、114.49円まで急騰。
わずか1カ月弱で、約5.60円急騰したことになります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ECB(欧州中央銀行)の緩和解除観測が高まっていることを背景に、ユーロ/円も一時130.77円まで急騰しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
その後、本稿執筆時点では米ドル/円で112.86円、ユーロ/円では129.08円まで調整しています。
米ドル/円、ユーロ/円の急騰が一本調子であったため、どちらも調整することには違和感はないのですが、調整を深くする要因となりそうなのが、英ポンド/円の148円台の重さ。
■英ポンド/円は重要なレジスタンスをブレイクできず…
米ドル/円、ユーロ/円同様、英ポンド円も6月中旬の138円台から急騰。
ただ、英ポンド/円は148円というかなり重要なレジスタンスがあり、英ポンド/円は今回もそのレベルがブレイクできず反落しています。
以下は、英ポンド/円の日足チャートです。

(出所:Bloomberg)
英ポンド/円は、
(1)2016年12月15日(木)の148.46円
(2)2017年5月10日(水)の148.11円
と、148円台でダブルトップをつけて反落しています。
今回、このレベルを抜けるかどうかにマーケットの注目が集まっていましたが、今回は148円台までも届かず反落。
日足ではTDシーケンシャル(※1)もMACDプレディクター(※2)も調整を示唆しており、テクニカル分析では、今回も英ポンド/円は148円台をトップとして調整を示唆しています。
(※1 編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)
(※2 編集部注:「MACDプレディクター」とは、ジョー・ディナポリ氏が開発したテクニカル指標の1つ。MACDをローソク足の上に表示したもの)
この英ポンド/円の調整が、ユーロ/円や米ドル/円の調整を深くしています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■英国への投資機運が高まらず…。英ポンドの見通しは?
では、中期での英ポンドの動向はどうなのでしょうか?
先月(6月)からグローバルにはインフレ懸念が台頭しており、利上げ機運が高まっています
今週(7月10日~)も12日(水)にBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が利上げに踏み切ったことから、加ドル/円が急騰しています。

(BOCのデータを基にザイFX!編集部が作成)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:加ドル/円 1時間足)
英ポンドも一時利上げ機運が高まっていたことや、ユーロ/円の上昇に連れる局面もあるのですが、その流れはなぜか続きません。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)
それは欧州と違って、英国への投資機運が高まらないこと。
米国及び日本の投資家とミーティングをする機会があると、このところ必ず話題になるのが欧州。
多くの機関投資家は、ギリシャを筆頭に問題が山積みになっていた欧州に対しては、アンダーウェイトの傾向がありました。
それが今年(2017年)に入ってから欧州全般の景気回復と、フランス大統領選を無事に終えたことによりリスク要因が減ったことから、欧州への投資というのがキーワードになっています。
【参考記事】
●仏大統領選を無事通過してリスクオン再開。米ドル/円は115円に向けて反発する公算大(4月27日、西原宏一)
■中長期的に英ポンドは続落する可能性が高まる
ところが、そうした投資家から英国への投資という話題はあまり出てきません。
Brexit(英国のEU離脱)以降、グローバルな金融機関のロンドンの金融街、シティからの離脱なども現実味を帯び、どちらかというと、資金は英国へというよりも、英国から欧州や米国に流れるほうが目立っています。
これでは、中長期的に英ポンドが反発に転じるよりも続落する可能性のほうが高まっているといえます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足)
欧州の友人の間では、中長期的にはユーロ/英ポンドは極めて安定的に続伸を続けるという意見が、徐々にコンセンサスになりつつあります。
中長期では、ユーロ/英ポンドの押し目を丁寧に拾っていきたいところ。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 日足)
ただ、短期では別。
ECBの緩和解除というのがコンセンサスとなり、ユーロ/円を筆頭としたユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)のロングがコンセンサスとなり、いったん調整に入っているからです。
【参考記事】
●日銀は指値オペ実施で口先介入に成功!? ドル/円は目先115円台半ば、年末120円へ(7月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
この中で注目は、前述の英ポンド/円。
過去半年以上に渡って148円台のレジスタンスを超えられない英ポンド/円。
英国への資金流入も減少しており、上値余地が限定的な英ポンド/円の動向に注目です。
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