■トランプ政権の通商政策に注目
しかし、こうした反発を予想した上で、トランプ政権は公約を実行。
そんな中、再び問題になるのが通商政策。
トランプ大統領は就任当初から強硬的な姿勢を見せ、就任直後にはTPP撤退に加え、北米自由貿易協定(NAFTA)からも手を引く考えを示唆。
さらに、3月31日には、経済ニュース専門局CNBCが「貿易をより公平にするという選挙公約を実現するための基盤」と表現した2つの大統領命令にも署名した。
1つは米国の膨大な貿易赤字の要因を特定することを目的としたもので、もう1つの大統領令は不公平な貿易慣習に関与していると疑われる外国企業に関税を課すことで、反ダンピングおよび相殺関税を強化することを求めるものだった。
出所:東洋経済オンライン
こうした通商政策での仮想敵国は「メキシコと中国」といわれています。
しかし、就任当初トランプ大統領は、日銀の「大胆な金融緩和」に対しても否定的なコメントを述べています。
オバマケア撤廃や移民に関する問題を筆頭に、トランプ政権には、解決しなければいけない問題が山積みです。
そのため、2017年は通商政策に注目が集まっていませんでしたが、中間選挙を迎える2018年には、通商政策にもマーケットの注目が集まると想定しています。
■FRBの利上げと米10年債利回りの動向がカギを握る
まず、2017年同様、FRBの連続利上げにもかかわらず、米10年債利回りが続伸しなければ、米ドルが上昇するのは難しい展開。
逆に、減税で景気刺激効果を期待できる一方、財政赤字が膨らむ懸念も拡大し、米10年債利回りが急騰すれば、米国株の下落を誘引します。
株の下落は、米ドル/円にとってはネガティブ。
加えて、市場参加者の視点が通商政策に移行すれば、円高がさらに進行する可能性も高まります。
2018年後半の米ドル/円はユーロ/米ドル同様、米ドルの上値は重く、じりじりと105円方向に下落する可能性が高いのではないでしょうか?
(出所:Bloomberg)
仮に中東問題や、北朝鮮のような「地政学的リスク」が再燃し、株が調整局面に入るようだと、105円を割り込んで急落するリスクもはらんでいると考えています。
中間選挙に向けてトランプ政権の舵取りに注目です。
2017年はマーケットのコンセンサスとは裏腹に、米ドル/円は値幅を伴わず、ボラティリティの低い相場に終始しました。
しかし、こうしたマーケットが続くと金融市場ではオプションの売り手が増え、一定の時間が過ぎると、ボラティリティの反発がオプションの買い戻しを誘引し、結果、為替市場のボラティリティを大きく高めるという展開になりがちです。
そのため、2018年の米ドル/円は、マーケットのコンセンサスと相違し、値幅を伴って大きな動きとなるのではないか? と想定しています。
月曜の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」も含め、本年も大変お世話になりました。次回の「ヘッジファンドの思惑」は、来年1月11日(木)からのスタートになります。
良い年をお迎えください。
2018年もよろしくお願いします。
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