■米ドル高止まらず! ドルインデックスは5カ月ぶり高値
米ドルの上昇が止まりません。
昨日(5月16日)は、イタリアで連立協議を進めるポピュリズム政党の「五つ星運動」と極右政党の「同盟」が、「ECB(欧州中央銀行)にイタリアの債務2500億ユーロの免除を要請する方針」と報じられたことをきっかけに、ユーロが対米ドルで下落。他の通貨に対しても米ドル高が進みました。
【参考記事】
●イタリア政局の不透明感でユーロ急落! リスクオフ要因多数!? 地政学的リスク警戒(5月17日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
主要通貨6通貨バスケットに対するドルインデックスは、一時、約5カ月ぶりとなる水準まで上昇しました。

(出所:Bloomberg)
■今はまだ、米ドルの高値を試す動きになりそう
ただ、米ドル高の大きな背景にあるのは、好調な米国経済です。
米国の長期金利(10年物国債の利回り)は、とうとう、3%を超える水準になってきています。

(出所:Bloomberg)
来月(6月)には、追加利上げが確実視されている状況です。こうしたことを好感して、米ドルが買われているということです。
以前のコラムでも申し上げたと思いますが、相場は気まぐれです。
数カ月前は、逆の反応をしていたにもかかわらず、今は、米国の金利上昇=米ドル高という相関関係になっています。
【参考記事】
●FXレバレッジ規制騒動に、近く結論が? 米金利上昇→ドル高の相関復活の背景とは(4月26日、今井雅人)
かなり一方的に米ドル高が進んできたため、上昇トレンドが転換する時期もそう遠くないと考えていますが、足元はまだ、米ドルの高値を試す動きになるのではないでしょうか。
■米ドル/円は113円台が視野入り!?
米ドル/円を見ると、節目であった110円で、いったん跳ね返されて落ち着いていましたが、ユーロ/米ドルでの米ドル高につられる形で、110.00円をしっかり上に抜けてきました。
節目をいったん上に抜けたのですから、市場がさらなる上値を試しにいく可能性は高いと、今のところ考えています。

(出所:Bloomberg)
今年(2018年)の年初の高値圏である113円台というのも、視野に入ってきたのではないでしょうか。
【参考記事】
●長期保有の新興国買いは今が仕込み時!? ドル/円は再び110円乗せなら113円だが…(5月10日、今井雅人)
また、ユーロ/米ドルも、1.15~1.16ドルあたりまでの下落の可能性をみておきたいと思います。

(出所:Bloomberg)
■リスクは北朝鮮と日米通商交渉
その上で、リスクについても考えてみます。まずは、北朝鮮です。
最近の報道では、北朝鮮が米国に対して、再び攻撃的な発言をしています。
6月12日(火)に予定されている米朝首脳会談が破談ということになれば、地政学リスクを意識して、リスクオフの市場になる可能性があるので、注意しておきたいです。
2つ目は、日米通商交渉です。
この問題は、深刻化する可能性があると、ずっと考えてきましたが、リスクはかなり、先送りになっているというところです。
鉄鋼とアルミニウムへの関税は、日本は適用が除外されてはいないものの、その金額は相対的に小さいため、これを放置しておくこと自体は、日本経済にとって大きな影響はありません。ですから、これから時間をかけて交渉していくことになります。
■参考になるのは米韓FTA。大きく円高になる可能性も…
その日米通商交渉にあたって参考になるのは、米韓FTA(自由貿易協定)の見直しです。
見直されたFTAでは、自動車市場で米国の要求を取り入れる韓国側の譲歩があったほか、付帯協定として為替条項が設けられました。
つまり、韓国が意図的に韓国ウォン安に誘導しようとすることを、規制する内容となっているのです。
米国が定期的に発表している為替報告書では、円はまだ、円安だと指摘しています。

(出所:Bloomberg)
今後の交渉次第では、大きく円高になる可能性が、依然として残っていますので、やや中長期的な懸念材料として、頭に入れておきたいと思います。
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