■タマネギ価格暴騰が国民の不満を爆発させる?
インフレ圧力の弱まりと経常赤字の縮小は、ポジティブな動きですが、事前にわかっていて、すでに為替に織り込まれた内容でもあります。
一方で、中長期的なインフレ対策は、まだ打ち出されておらず、政府はどちらかといえば短期的な対策ばかりにフォーカスしている印象があります。
トルコメディアの報道によれば、政府から生産者・販売者に対して、値上げをしないよう圧力がかけられているそうです。政府はインフレ対策として10%値下げキャンペーンを打ち出していて、小売業者は半強制的にこのキャンペーンに参加させられているようです。
直近でタマネギの価格が暴騰しているのも大きな問題になっています。タマネギは、今夏以降に1キロ=7トルコリラまで上昇し、価格は今年(2018年)に入ってから約250%も上昇しました。
タマネギはトルコ料理に欠かせない素材のひとつであり、タマネギ価格の高騰は国民の不満を爆発させる恐れがあります。
この事態を重く見たトルコ政府は、タマネギ業者の倉庫に押し入って、大手販売業者などの関係者をタマネギ価格を意図的に吊り上げているとの理由で逮捕しました。
日本の米騒動ならぬトルコのタマネギ騒動です。
■CPI発表後にトルコリラ/円は21円割れ…
CPI発表まで堅調に推移していたトルコリラですが、発表後に下げに転じて21円を割ってしまいました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
織り込み済み、材料出尽くしという側面がある一方で、CPI下落を見たトルコ中銀が利下げを行うのではないかとの投資家の懸念が下落の要因だと考えます。個人的には、政策金利の引き下げの可能性は低いと考えます。
懸念すべき点は、トルコ政府による景気刺激策という名の間接的な金融緩和。これを選挙前に実施する可能性が高く、そのしわ寄せが選挙後に来ることです。
トルコリラが3月まで堅調、その後は要注意だと考える理由はここにあります。
【参考記事】
●トルコリラは、2019年3月まで堅調と予想。だけど…2つのリスク要因には警戒を!(11月21日、エミン・ユルマズ)
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