■ご祝儀相場でも、米ドル/円と日経平均は失速気味
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでご紹介させていただいたように、新年度スタートのご祝儀相場にも関わらず、米ドル/円と日経平均は早々に失速気味。
【参考記事】
●112円目前のドル/円、一転反落の可能性!? 事態好転の兆しに英ポンドの上昇余地拡大(4月4日、西原宏一)
米ドル/円は節目の112.00円にも届かず、反落(高値は4月5日の111.82円)。一時、111.00円を割り込む展開。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
一方、日経平均も続伸できず。
米国株の続伸を横目に上昇するも、200日移動平均線が位置している2万1895円が上値を押さえている展開です。

(出所:Bloomberg)
日経平均の上値を押さえているのが、本邦機関投資家の「期初の益出し」。
一部の本邦機関投資家は、新年度入りの早い時期に保有株を売却して、当期の利益を一定の度合いで確保する傾向があります。
これは、「新年度の収益目標達成への気持ちに余裕が出る」効果を狙っての行動のようです。
そのため、先週(4月1日~)は新年度入りし、「株高・円安」相場となっても、今週(4月8日~)に入ると、一部の機関投資家から「期初の益出し」による株売りが出て、日経平均は上値の重い展開となっています。
結果、今週(4月8日~)の「日経平均と米ドル/円」は、上値の重い展開となり、調整局面入り。
■IMFが世界経済は「不安定な状況」と警告
一方、4月2日(火)の欧米市場では、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が「世界的に成長が鈍化する中、世界経済は不安定な状況にある」とコメント。
このコメントは、現在、多くの中央銀行が緩和に移行しつつあることを裏付けるものであるともいえます。
つまり、世界経済は不安定な状況に向かっていると認識しているため、主要中銀が緩和スタンスに変更しているということになります。
そして今週(4月8日~)、IMFは2019年の世界成長率見通しを3.3%とし、金融危機以降で最低の水準に下方修正した模様(1月の予想は3.5%)。
米国を中心とした関税引き上げが貿易を圧迫していることを、要因のひとつとして挙げています。
このIMFの発表が、「セル・イン・メイ」の時期を控えた米国株の上値を重くしています。

(出所:Bloomberg)
■日本と米国のTAG交渉にも注目
来週(4月15日~)からTAG(※)交渉が始まります。
(※TAG(Trade Agreement on goods)=物品貿易協定)
一時期と違って「為替条項の懸念」などから、大きく円高に振れる可能性は低下しています。
ただ、TAG交渉に向けてマーケットが神経質となるため、日米TAGも円高材料になると考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■米ドル/円の調整局面入りは、中期での買い場となるか?
本稿執筆時点は、4月10日(水)。
今年(2019年)の日本の大型連休と「セル・イン・メイ」に向けて、米ドル/円と日本株は調整局面入りする可能性が高まっています。
ただ、米ドル/円の中期の流れは「米ドル高・円安」。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
こうした調整での米ドル/円の反落は、中期の上昇トレンドの中の米ドル/円において、良い押し目を形成することになるのではないか?と想定しています。
調整局面入した米ドル/円と日経平均の動向に注目です。
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