■市場関係者がリスクオフを警戒!?
この1週間の金融市場の動きですが、まず、一番目立っているのは、各国の債券に断続的に買いが入っていて、世界的に長期金利が低下傾向にあります。

(出所:Bloomberg)
どうやら、債券をショート(=売り)していた人たちが、リスクオフに備えて、買い戻しをしているようです。
また、株価も世界情勢に不透明感が増してきていることを背景に、徐々に下落していっています。

(出所:Bloomberg)
■為替相場は緩やかな米ドル高。でも、米ドル/円は…
一方の為替相場ですが、こちらの方は、米国が一番、安定しているという判断から、緩やかに米ドルが買われています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
しかし、米ドル/円に関しては、リスクオフへの懸念から、米ドル高・円安にならないという動きとなっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
それでは、足元の注目材料について、それぞれどういう状況であるか、考えていきたいと思います。
■EUの混乱は中長期的なユーロ安要因に!
まず、注目された欧州議会議員選挙ですが、連立を組んでいる主要政党2党では、過半数を割るという結果となりました。
親EU(欧州連合)派の政党の議席を全部合わせると、3分の2を上回っているので、とりあえず、難を逃れたということになります。
しかし、イタリアでは、EUに対しての反対勢力が大きく躍進し、ギリシャでは、EUの方針に従って緊縮財政を続けてきた政権が倒れました。
EUの混乱は、今後も続いていくことになるのは間違いありません。
こうした状況は、中長期的にはユーロ安要因となってくる可能性が高いと、私は考えています。

(出所:Bloomberg)
■メイ首相が辞任。英ポンド安はまだまだ進む?
英国では、とうとうメイ英首相が来月(6月)、辞任をすることになりました。
これから、次の首相が誰になるのか、EU離脱の問題はどこに向かうのか、まったく予断を許さない状況です。
リスクとしては、まだまだ、英ポンド安方向にあるのではないかと考えています。
【参考記事】
●メイ英首相が辞任表明! 米中貿易戦争は長期化へ…米ドル/円は105円台目指すかも(5月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
●買われやすい通貨と売られやすい通貨は? ユーロ/英ポンドが0.90ポンド台へ上昇中!?(5月28日、バカラ村)

(出所:Bloomberg)
■米中貿易交渉で中国が秘密兵器を投入!?
また、米中の貿易交渉が来月(6月)、重要な局面を迎えることになります。
大阪で予定されているG20サミット(20カ国・地域首脳会合)の際に、米中首脳会談が行われ、なんらかの合意がなされるか、非常に注目されることは間違いありません。
今までは、米国優位に交渉がなされてきましたが、ここに来て、中国は秘密兵器を投入することを検討し始めました。それは、レアアース(希土類)の輸出規制です。
レアアースは、全世界の8割を中国が産出しています。米国の多くの産業も、中国からのレアアースに頼っています。もし、これを中国がストップさせるようなことをすれば、米国の産業が相当なダメージを受けることは必至です。いよいよ、米中双方がチキンレースに入ってきた感が出てきました。
■日米貿易交渉は参院選後に本格化。状況によっては円高に!?
さらに、日米貿易交渉ですが、今回のトランプ米大統領の来日では、本格的な議論は回避され、参議院選挙後に本格化することとなりました。
【参考記事】
●米中貿易戦争は米ドル高を招く結果に!? トレードはスワップも稼げる米ドル買いで!(5月23日、今井雅人)
トランプ米大統領は、8月に合意ができるとの見通しを示しました。また、共同記者会見のときに、日米貿易交渉にあたっては、TPP協定(環太平洋パートナーシップ協定)は関係ないと言い放ちました。
つまり、TPP以上のものを、日本は要求される可能性があるということです。
安倍総理は、さぞ困ったと思いますが、日本はこれから、厳しい交渉を迫られることになります。状況によっては、円高要因になる可能性があることを、頭に入れておく必要があるでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■対ユーロ、対英ポンドでの米ドル買い方針を継続へ
以上のような状況ですが、足元は、欧州通貨を中心に、緩やかな米ドル高傾向が続くと考えています。
ユーロ/米ドルは1.10ドル、英ポンド/米ドルは1.24~1.25ドルあたりが、視野に入ってくるのではないでしょうか。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
米ドル/円に関しては、109円近辺に日本の機関投資家の買い注文が並んでいるようなので、とりあえずは下値を支えていますが、上昇していく可能性はかなり低いと考えています。

(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルでのショートポジション(米ドル買い)方針を、継続していきたいと思います。
【参考記事】
●米中貿易戦争は米ドル高を招く結果に!? トレードはスワップも稼げる米ドル買いで!(5月23日、今井雅人)
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