■中国当局の「18兆円供給」報道で株価反発
みなさん、こんにちは。
先週(1月27日~)は、コロナショックでグローバルに株が急落する展開となりました。
【参考記事】
●上値重いユーロ/円は115円レベルへ下落か。市場はECBの金利正常化時期の遅れを懸念(1月30日、西原宏一)
しかし、今週(2月3日~)、上海市場が再開したことをきっかけに相場は一変。
世界的に、株価は大きく反発しています。

(出所:Bloomberg)
その要因として挙げられるのが、まず、中国当局の対応。
中国人民銀、18兆円供給へ 春節明け3日に
中国人民銀行(中央銀行)は2日、3日に公開市場操作(オペ)で金融市場に1兆2千億元(約18兆7千億円)を供給すると発表した。
出所:日経新聞
中国当局が事態の沈静化に動くというのは、ある意味、予想されていたことではありますが、金額が巨額であるため株式市場は反発を開始。
さらに、新型コロナウイルスのワクチン開発で大きな進展があったとの報道もあり、米国株は上昇に転じます。

(出所:Bloomberg)
さらには、アイオワ州で実施された民主党の大統領候補者選の混乱がトランプ大統領の再選の可能性を高めたことで、米国株の上昇に弾みがつき、ナスダック総合指数は史上最高値を更新しました。

(出所:Bloomberg)
■トランプ大統領の弾劾裁判は予想どおり「無罪」に
こうした中、米上院の弾劾裁判で、トランプ大統領は、コンセンサスどおり無罪判決となり、これも米国株にとってプラス材料とされているようです。
【参考記事】
●2大イベント終了で利益確定の動き加速!? トランプ大統領の弾劾裁判の影響は…?(2019年12月19日、西原宏一)

米上院の弾劾裁判で、トランプ大統領はコンセンサスどおり無罪に。これも米国株にとってプラス材料とされている模様 (C)Mark Wilson/Getty Images
米上院でトランプ大統領が無罪判決になるのは、個人的には織り込み済みだと想定していましたが、CNNなどでは、一時「トランプ大統領はもしかすると有罪になるかも?」との報道も目立っていたので、マーケットはトランプ大統領の無罪判決を素直に受け取り、ポジティブに反応。
余談ですが、民主党のナンシー・ペロシ下院議長が、トランプ大統領の一般教書演説の原稿を破り捨てたことが話題になっています。
約1時間20分のトランプ大統領の一般教書演説を聞き終えたペロシ議長が、演台を後にしようとするトランプ大統領に見せつけるように、原稿を数度にわたって破リ捨てた映像が全米に流れました。
これにより、米国政治が深刻な「対立と分断の時代」に陥ったという印象を残した一般教書演説でしたが、政治とは別に、米国株は絶好調という展開です。
ただ、アイオワ州での民主党・大統領候補者選の結果でマーケットが動くのであれば、この後…
● 2月11日 ニューハンプシャー州予備選
● 2月22日 ネバダ州党員集会
● 2月29日 サウスカロライナ州予備選
とイベントが続き、その間、コロナウイルスに関する新たな報道も加わることになるため、2月のマーケットが乱高下する可能性が高まります。
■「株高・米ドル高」の流れは一時的…?
ともあれ、株が急上昇している中、いつもと違う動きをしているのが為替相場。
通常、株が上昇しているときは、リスクオンであり、「米ドル安・円安」でクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇します。
しかし、今週(2月3日~)のリスクオン相場においては、「株高・米ドル高」の流れになっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
この流れが一時的なものなのか、ゲームチェンジになるのかにマーケットの注目が集まっています。
■株高・米ドル高で、英ポンド/米ドルが注目されるワケ
この米ドル高の流れの中、注目が集まっているのが、英ポンド/米ドル。
昨年(2019年)12月12日に実施された英総選挙で、1.3514ドルの高値に到達した後、1.29~1.32ドルのレンジでもみ合っていた英ポンド/米ドルですが、徐々に上値が重くなってきました。
【参考記事】
●2大イベント終了で利益確定の動き加速!? トランプ大統領の弾劾裁判の影響は…?(2019年12月19日、西原宏一)
要因は、ボリス・ジョンソン首相が、再び「瀬戸際戦略」を取り始めたこともありますが、英ポンドの上値を重くしたのが、「MiFID2」(※)修正の報道。
(※編集部注:「MiFID2(第2次金融商品市場指令)とは、2018年1月から施行された、EU(欧州連合)の金融・資本市場の包括的な規制のこと。2007年に制定された「MiFID」を改訂したもので、アルゴリズム取引など市場環境の変化への対応、デリバティブ取引に関するルールの導入、株式以外の金融商品への規制適用など、市場の透明性の向上と投資家保護の強化が図られている)
EUが英離脱でMiFID2修正を検討、ロンドン拠点銀行を狙い撃ち
英国の欧州連合(EU)離脱で自由になれると感じているのは、当の英国だけではない。英国の影響から解放されたEU当局は、ロンドンの金融街に対して行った妥協を取り返そうと攻勢に出る。
出所:Bloomberg
この報道が、英ポンドの上値を抑える形で、英ポンド/米ドルは再び1.3000ドルを割り込む展開となっています。

(出所:Trading View)
先週(1月27日~)のリスクオフ局面では、豪ドル/米ドルの下落が目立ち、米ドル高は豪ドル/米ドルが中心でした。
しかし、今週(2月3日~)は、前述のように株高なのですが、米ドル高。
そして、その中心は英ポンド/米ドルです。

(出所:Trading View)
EU(欧州連合)が、英国離脱でMiFID2修正を検討しているという報道から上値が重くなり、再び1.2500ドルに向けて下落を開始した英ポンド/米ドルの動向に注目です。
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