■株価はいったんピークに達したか
ここ1カ月ほど、大量の資金供給を背景に上昇を続けてきた、米国を中心とする先進国の株価ですが、ここ1週間の動きを見ていると、そろそろ、いったんピークに達したように見えます。
(出所:Trading View)
もう少し詳しく見ていきたいと思います。ここ最近、米国発の注目したいニュースが2つありました。
1つは、FRB(米連邦準備制度理事会)はこれまで、社債のFTF(上場投資信託)を購入していたのですが、個別企業の社債にまで、その対象を広げるという内容でした。
FRBは6月15日に、緊急融資プログラムのSMCCF(セカンダリーマーケット・コーポレートクレジットファシリティー)のもと、米国の個別企業の社債買い入れも開始すると発表した。写真はFRBのパウエル議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
当然、株式市場には上げ材料であり、株価は一時的に急上昇しました。
■巨額のインフラ投資計画はトランプ大統領の焦り!?
2つ目は、トランプ米大統領が、11月の大統領選挙に向け、民主党のバイデン候補に支持率で10ポイントもの差をつけられていることに焦りを感じて、さらなる巨額のインフラ投資を計画しているという報道が出たことです。
総規模1兆ドルほどの国家インフラ投資を計画していると報じられたトランプ大統領 (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
これも、株価の上昇を招きましたが、長続きはしませんでした。
こうした動きを見ていると、株式市場の上げ相場も一服したかな、という印象です。
■クロス円も上昇の勢いが弱まってきている
FX市場の動きも、株式市場と同様です。
株式市場の上昇によって、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が買われて上昇したものの、株価が伸びなくなってくると、その後はピークアウトして、そこから反落。
そして、現在はレンジの中に入ってきています。
【参考記事】
●リスクオンからの円安、そろそろ息切れ…。反動を期待した円買いが、おもしろそう!(5月21日、今井雅人)
●日経平均の上昇は、そろそろ9合目! 「株高・円安」の相関は戻りつつあるか(5月28日、今井雅人)
●雇用統計後のドル/円、クロス円の下落は過剰反応の反動。買いへ転じるチャンス待ち(6月11日、今井雅人)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
こうして、新しい買い材料が出てきても、株式市場が上がりきらないという動きを見る限りにおいては、上昇の勢いが弱まってきていると考えるのが自然ではないかと思います。
さて、株式市場の上昇が一服したのだとすれば…
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