■バイデン、討論会で不用意な発言か
10月22日(木)(日本時間10月23日(金)午前)の米大統領選討論会で白熱したのが、環境問題でした。
バイデンさんは「石油業界からのシフトを目指す」とし、討論会後には石油産業への補助金をカットする方針も示しています。
これに対して、トランプさんは「バイデン氏は石油業界を破壊するつもりだ」と応戦。
石油産業を敵に回す発言ですし、バイデンさんの“失言”と捉えていいのでしょうか?
10月22日(木)の米大統領選討論会は環境問題で白熱した。バイデン氏の「石油業界からのシフトを目指す」との発言に対し、トランプ氏は「バイデン氏は石油業界を破壊するつもりだ」と応戦した。写真は第1回米大統領選討論会のもの (C)Bloomberg/Getty Images
民主党左派の支持を確実にしたい意図でしょう。
石油を主要産業とする州で不利に働くのはもちろんですが、一方では民主党左派の支持を固めることもできます。
■隣人調査はトランプ当選を示唆
バイデンさんの次男であるハンター・バイデン絡みのスキャンダルも続報が出ています。
当初は黙殺していた大手メディアですが、ウォールストリート・ジャーナルなどは取り上げていますね。
【参考記事】
●米大統領選、形勢逆転の可能性も浮上か。バイデン次男がオクトーバー・サプライズ!?(10月19日、西原宏一&大橋ひろこ)
「toss up」、つまり、情勢がコイン投げのように五分五分の激戦州をどちらが制するかが焦点。
ここをどう読むかで、予想はガラッと変わります。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
●市場がバイデン勝利を織り込まないワケは? 米ドル/円は104~106円のレンジトレードで(10月22日、今井雅人)
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
11月3日(火)の大統領選まで10日を切って、予想も盛り上がっています。
最近話題となっていたのが、調査会社トラファルガー・グループ。
「あなたの隣人の大半はトランプ支持か?」と尋ねることで「隠れトランプ」を暴き出して、前回2016年選挙の結果を見事に的中させました。
今回の隣人調査だと、激戦州ではいずれもトランプ有利との結果が出ているそうです。
大統領選では、市中にも混乱が広がるかもしれません。
ビバリーヒルズにあるショッピングストリートのロデオドライブは、警察から11月3日(火)、11月4日(水)と店舗の閉鎖を求められています。
今夏(2020年夏)に起きたBLM(ブラック・ライブス・マター)による略奪の記憶も新しいだけに、再来を恐れての措置です。
【参考記事】
●米ドル/円の戻りを慎重に売っていきたい。株価下落のトリガーは香港めぐる米中対立か(7月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米大統領選まで4カ月! トランプの支持率は低下…バイデン大統領誕生なら何が起こる?(7月1日、志摩力男)
●株価上昇=経済政策が正しいと言えるのか? 迫る大統領選、人種問題がトランプの逆風に!(6月10日、志摩力男)
■米追加経済対策は決まらないまま、大統領選突入か
株式市場が期待している米国の追加経済対策ですが、先週(10月19日~)も決まりませんでしたね。
決まらないまま、大統領選へと突入するのでしょう。
下院で過半数を占めている民主党からすれば、11月3日(火)の大統領選と上院選を押さえて「トリプルブルー」となれば、2.2兆ドル規模でも2.5兆ドル規模でも自分たちの好きなように決められる。
ここで焦って妥協する必要性はありません。
【参考記事】
●米ドル下落、株価上昇、金利上昇という「バイデントレード」に必要な条件とは?(10月21日、志摩力男)
●米大統領選、形勢逆転の可能性も浮上か。バイデン次男がオクトーバー・サプライズ!?(10月19日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米大統領選前の追加経済対策とりまとめは難しいか。為替市場は、神経質な展開続く(10月15日、西原宏一)
すぐに決まらないからといって、株式市場が失望している様子もありません。
大統領選後に決まる可能性が高そうですね。
■米ドル/円は大統領選をきっかけに大きく動く可能性高まる
為替市場へ目を向けると、米ドル/円は先週(10月19日~)、105円を勢いよく割る場面がありました。
デリバティブ取引で大きな損切りが入ったという噂もありますし、中国人民元高の余波で円高になったと見る人もいますね。
(出所:TradingView)
今週(10月26日~)、中国では「5中全会」が開催されます。
来年(2021年)からの次期5カ年計画を決定する重要な会議。
ここで、中国人民元高を誘うようなニュースが漏れてくると、円高リスクがありそうです。
とはいえ、大統領選を控えて104円を割るイメージはなく、今日(10月26日)も105円手前まで戻しています。
前回大統領選のあった2016年には、ブレグジットという歴史的な出来事があっても90円台が定着せず、「それなら何があれば下がるのか」と思っていた中で上がっていった。
今回も、何があっても下がらず、かといって上がりもしない。上下、どちらに動いてもおかしくないくらいに収束しています。
大統領選をきっかけに、大きく動く可能性が高まっています。
(出所:TradingView)
■あえて言うならユーロ/米ドルの押し目買い
今週10月29日(木)には日銀とECB(欧州中央銀行)の政策決定会合が開催され、7-9月期の米GDPも発表されます。
大統領選前に政策を変更するとは思えませんし、大きなイベントにはならないでしょう。
米GDPにしても、よほどインパクトのある数字でないかぎり、市場は動きづらいですね。
今週の戦略はどう考えますか?
大統領選前ですから、積極的にリスクを取る時期ではありません。
その中で、長期的に有望なのはユーロ。
ユーロ/米ドルの1.20ドルには大きなオプションがあり、1.19ドル台ではECB高官からユーロ高牽制発言も出てくるでしょう。
そのため、1.20ドルを上抜けるには時間がかかりそうですが、下げたところを押し目買いしていくのは良さそうです。
【参考記事】
●米大統領選挙後も、ドル安継続の可能性。ユーロ/米ドルは中期的に1.30ドル予測も(10月22日、西原宏一)
●米大統領選、形勢逆転の可能性も浮上か。バイデン次男がオクトーバー・サプライズ!?(10月19日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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