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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米大統領選前の追加経済対策とりまとめは
難しいか。為替市場は、神経質な展開続く

2020年10月15日(木)11:35公開 (2020年10月15日(木)11:35更新)
西原宏一

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■米追加経済対策、大統領選前の合意は難しい状況か

 みなさん、こんにちは。

 今週(10月12日~)の為替市場は、2つのテーマに翻弄されて方向感なく神経質な展開です。

 まず、米国の追加経済対策の行方。

 先週(10月5日~)は、追加経済対策の合意の可能性が高まり、米国株は反発。豪ドル/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も反発といった流れでした。

 しかし、今週(10月12日~)に入ると、ペロシ米下院議長は、トランプ政権が提示した追加経済対策の最新案について「著しく不十分」とコメント。

 加えて、10月14日(水)には、ムニューシン米財務長官の「追加経済対策の選挙前の合意は難しい」ことを示唆するコメントにより、米国株は反落。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:TradingView

 豪ドル/円も、再び75円近辺まで反落しました。

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

(出所:TradingView

 米国の友人によれば、米大統領を目前に控え、追加経済対策に関して民主党が妥協することは、まずありえないということです(米国株の上昇を伴うため)。

 可能性があるとすれば、共和党が妥協する場合ですが、本稿執筆時点ではその可能性も低く、「追加経済対策の選挙前の合意」は難しい状況となっています。

 これは、米国株とクロス円に対してネガティブな材料です。

■ジョンソン首相の期限設定は「瀬戸際外交」の可能性

 もうひとつは、英国政府とEU(欧州連合)首脳による通商協議について。

 ジョンソン英首相は、これまでEU首脳会議が始まる10月15日(木)までに明確な進展がなければ交渉を打ち切ると言明していました。

 しかし、「英国政府は、EU首脳が通商合意成立に向けて最後の努力をする用意がある限り、ジョンソン首相が期限に設定した10月15日(木)を過ぎても交渉を続ける見通しである」との報道が流れると、英ポンド/米ドルは、再び1.30ドル台を回復。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

(出所:TradingView

 結局、10月15日(木)というデッドラインは、ジョンソン首相の「瀬戸際外交だった」という結論となる可能性が高まっています。

通商協議について、EU首脳会議が始まる10月15日までに明確な進展がなければ交渉を打ち切るとしていたジョンソン首相だったが、期限が過ぎても交渉を続ける見通しとの報道が流れたため、英ポンド/米ドルは再び上昇した  (C)Justin Sullivan/Getty Images

通商協議について、EU首脳会議が始まる10月15日までに明確な進展がなければ交渉を打ち切るとしていたジョンソン首相だったが、期限が過ぎても交渉を続ける見通しとの報道が流れたため、英ポンド/米ドルは再び上昇した  (C)Justin Sullivan/Getty Images

 しかし、先に紹介した米国の追加経済対策に関する協議、そして、英国政府とEU首脳による通商協議は、まだどちらも続いているため、この2つの協議の行方に注目。

■マーケットで話題の「欧州グリーンボンド革命」とは?

 このところ米大統領選挙の話題が多くなっているので、今回は視点を変えて「欧州グリーンボンド革命」について、取り上げてみます。

 米大統領選を目前に控え、今月(10月)はユーロ/米ドルも狭いレンジでの乱高下に終始していますが、マーケットではポストコロナでのユーロの動向を探るカギとして、「欧州グリーンボンド革命」が話題になっています。

欧州グリーンボンド革命、ユーロ高要因にも-環境意識する資金が流入

欧州はグリーンボンド発行で世界的リーダーになろうとしている。これはユーロ高の一因となる可能性があると、スタンダード銀行が指摘した。

欧州連合(EU)は新型コロナウイルス禍からの復興基金の一部として2250億ユーロ(約28兆円)のグリーンボンド発行を計画している。グリーンボンドは環境問題を解決するための資金を調達する債券。環境に優しい資産への投資家需要が急増している中で、これがユーロへの資金流入を促す可能性があると同行は分析した。

出所:Bloomberg

 為替市場の規模から考えれば、欧州グリーンボンド発行は、ユーロ高要因とはならないという意見もありますが、政治的要請もあることから欧州の銀行はこうしたグリーンボンドの購入を考えているでしょうし、欧州発でグリーンボンド革命が始まる可能性もあるでしょう。

■金融市場は米大統領選挙と連邦議会選挙の結果待ち

 本稿執筆時点での為替市場は、今年(2020年)最大のイベントである米大統領選挙を控えて、明確な方向性を出せずにいます。

前回のコラムでご紹介させていただいたように、トランプ大統領の再選はもとより、トリプルブルーの場合でも米国株買いという考え方が浸透してきており、11月3日(火)の米大統領選挙と連邦議会選挙の結果を待たないと、金融市場では明確な方向性を出すのが難しい展開です。

【参考記事】
米大統領選、トリプルブルーなら増税を掲げるバイデン氏勝利でも株高・円安に!(10月8日、西原宏一)

11月3日(火)の米大統領選挙と連邦議会選挙の結果を待たないと、金融市場では明確な方向性を出すのが難しい展開となっている。写真は9月末に行われたトランプ大統領とバイデン氏による討論会のもの (C)Bloomberg/Getty Images News

11月3日(火)の米大統領選挙と連邦議会選挙の結果を待たないと、金融市場では明確な方向性を出すのが難しい展開となっている。写真は9月末に行われたトランプ大統領とバイデン氏による討論会のもの (C)Bloomberg/Getty Images News

 ただ、米大統領選挙以外にも、マーケットでは前述のような欧州グリーンボンド革命のようなものが話題になっており、ポストコロナでのユーロ/米ドルの方向性を探る要因のひとつとなっています。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(出所:TradingView

 11月3日(火)の米大統領選挙と連邦議会選挙の行方のみならず、欧州グリーンボンド革命によるユーロ/米ドルの行方にも注目です。


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