■米ドル/円は安値圏でのレンジ変動にとどまっている
米ドル/円は、依然、安値圏でのレンジ変動にとどまっている。
(出所:TradingView)
前回のコラムで指摘していたように、103.50~105.50円というレンジの脱出が前提条件なので、ブレイクがない限り、これからのトレンドを計り知れない。断定的な判断は誰でもできないが、円高傾向の継続を有力視するのが、どうやら市場の主流な見方のようだ。
【参考記事】
●米ドル/円は上下どちらに抜けても大きなトレンドに! 行方は「神のみぞ知る」か(2020年11月20日、陳満咲杜)
もっとも、米ドル全面安の流れにおいて、円高の傾向を特別視すべきではないだろう。
株高の進行が鮮明になっている中、「リスクオンの円高」云々も事実ではない。なにしろ、主要な外貨のうち、円はむしろ一番弱い方であり、それは、ドルインデックスと米ドル/円の値動きを比較すれば一目瞭然だ。
■なぜ、「リスクオンの円安」が見られていない?
主要な外貨と言えば、一般的にユーロや英ポンド、豪ドルが挙げられるが、コロナショックが起こった3月高値と見比べればわかるように、ユーロと豪ドルは、現状、米ドルに対して、かなり高い水準に位置している。英ポンドも、3月高値以上をキープしている状況だ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
対照的に、米ドル/円は11月6日(金)安値で測っても、3月安値(つまり円の高値)から2円以上の差があったから、円高云々が誇張されるべきではないというわけだ。
(出所:TradingView)
ゆえに、円高より米ドル全面安の方が、目下、市場のテーマである。
米ドル全面安の流れにおいて、主要な通貨のうち、比較的、弱い円だけを挙げて円高とはやすのは適切ではなく、また健全な見方ではなかろう。
米ドル安の懸念が「ホンモノ」だとすれば、円高懸念があっても、目先なお杞憂と言えるわけも、そこにある。
そもそも、歴史的な世界緩和ムードの中、また米国株が史上最高値を継続的に更新している中、「リスクオンの円高」はあっても限定的で、継続されるわけはなかろう。
むしろ、逆に聞きたいのは、なぜ、「リスクオンの円安」が見られていないか、である。
ただし、こういった疑問に答えるのは困難ではない。前述のように、米ドル全面安なので、米ドル/円における円安が進まない原因はほかならぬ、米ドル安の本流に対抗できないからである。
また、視点を変えれば、円安の流れが維持される、という答えも見つかるかと思う。
言ってみれば、米ドル全面安の中…
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