■パウエル議長発言が、米国株安・クロス円急落を止める
みなさん、こんにちは。
先週(6月21日~)のFOMCで米国のテーパリング(※)観測が根強い事が確認され、マーケットは米ドル高に大きく振れました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(出所:IG証券)
米国株も総じて反落し、豪ドル/円を筆頭にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は急落。
しかし、その動きをいったん封じ込めたのが、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長。6月22日(火)、パウエル議長が「インフレ圧力は一過性のものにとどまる」との見解をあらためて示した事が要因で、米国株は反発しました。
パウエル議長は下院特別小委員会での証言で、物価はいずれ下がるという「一定の確信」があるとし、1970年代型のインフレが見られる「可能性は極めて低い」と指摘。
出所:Bloomberg
このコメントを受けて、6月22日(火)のNY市場では、ナスダック総合指数が最高値で取引を終了しています。
(出所:IG証券)
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■今後、パウエルFRB議長の手腕に注目が集まるか
先週(6月14日~)、大きく値を崩していたクロス円も今週(6月21日~)は反発しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
FRB(米連邦準備制度理事会)は、早期利上げの可能性を否定しないのですが、米国株も崩さないというスタンスを維持するというタイトロープを渡っています。ですが、今のところうまくバランスをとっています。
数年前までのパウエル議長は「市場との対話が下手」であり、彼がメディアに出てコメントするたびに、米国株が崩れていたものですが、それが大きく変貌しています。
ただ、そのバランスはいつまで続くのでしょうか?
■米ドル/円は年初来高値更新。米ドル上昇トレンドは不変
今週(6月21日~)のパウエル議長のコメントで一時、米ドルは反落したわけですが、その下落は限定的にとどまっています。
以下は、ドルインデックスの週足チャートです。
(出所:IG証券)
先週(6月14日~)は、一時92.405まで反発した後、反落していますが、下落は91.513までと極めて限定的です。
それを反映しているのが、ユーロ/米ドル。以下は、ユーロ/米ドルの週足チャートです。
(出所:IG証券)
先週(6月14日~)は、FOMCというイベントがあり、ユーロ/米ドルは1.2147ドルから1.1848ドルまでの大陰線を形成したわけですが、今週(6月21日~)、パウエル議長のコメントで米ドルが反落したとはいえ、高値は1.1970ドルまでと限定的。
米ドル/円に至っては一時、111.12円と年初来高値を更新しています。
(出所:IG証券)
前回のコラムのとおり、米ドル/円は米10年債利回りの下落にもあまり追随しなくなっているため、下値がじりじり切り上がってきており、米ドル上昇トレンドは変わりません。
【参考記事】
●FOMCは2023年末までに2回の利上げ示唆。ユーロ/米ドルは、1.1600ドルへの下落過程に(6月17日、西原宏一)
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■ユーロ/米ドルは、1.1600ドルへの下落過程続く
ただ、仮にユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルに対して、米ドルが上昇する局面では、クロス円の下落の影響で、米ドル/円は値を崩す局面があるため、高値を買わず辛抱強く押し目待ちのスタンスは変わらず。
(出所:IG証券)
注目は、先週(6月14日~)と変わらずユーロ/米ドル。
今週(6月21日~)は、株価の反発局面で、豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルなどの資源国通貨の反発が目立ったのですが、ユーロ/米ドルはそうした資源国通貨と比較すると
反発も限定的。
ユーロ/米ドルは引き続き、1.1600ドルへの過程にあると想定しています。
パウエル議長のコメントを受けても反発が限定的な、ユーロ/米ドルの行方に注目です。
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