FOMCのメンバーの態度に変化が出て、米ドル高の流れとなる見方が本物か、FOMC議事録で確認できた
先週(8月9日~)のコラムの中で、FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーの態度に変化が出てきて、これが米ドル高の流れを作っていくかもしれないという私の見方を紹介しました。
【参考記事】
●米ドル買い戦略を継続! FOMCメンバーは考え方をすり合わせ、強気方向に統一している(8月12日、今井雅人)
今週(8月16日~)に入って、益々そうした見方に自信を深めています。
先週の見方が本物かどうかを確認するのに、今週発表された7月27日(火)~28日(水)開催のFOMCの議事録が非常に重要だったのですが、議事録には「ほとんどのメンバーが今年(2021年)年内のテーパリング(債券購入の規模段階的縮小)開始を支持していた」ということが記されていました。
つまり、先週ご紹介しましたが、FOMC関係者の発言が、FOMCの中で議論されたことに平仄(ひょうそく)を合わせた形になっていることが確認されたわけです。
米国経済は、コロナウイルスと共存しながら回復していくとFOMCの関係者は考えている
現在の新型コロナウイルスの感染状況をみてみますと、インド発祥であるデルタ株の強力な感染力の影響で、日本だけではなく、米国でも感染が再急拡大しています。
しかし、それにもかかわらず、FOMCの関係者がテーパリングの議論をしているのは、非常に注目すべきことだと思います。
つまり、米国経済は、コロナウイルスと共存しながら回復していくと彼らが考えているということです。
これだけ金融政策についてはっきりした変更が示唆されたのは、本当に久しぶりです。
米ドル/円は109円を底値として、緩やかに112円台を目指していく
ですから、これをきっかけにしたひとつの流れ、つまり、米長期金利(米10年債利回り)上昇と米ドル高相場ができてきても、まったく不思議ではありません。
ただ、最近の相場は急激な動きになることがあまりないことを考えると、そのペースは非常に緩やかになるのではないかと思います。
米ドル/円で見ると、109円を底値として、底堅い動きになっていて、緩やかではあるものの、112円台を目指していくことになると思います。
(出所:TradingView)
タリバンのアフガニスタン各地占拠による円高圧力は、あまり気にしなくてもいい
今週(8月16日~)、タリバンがアフガニスタンで各地を占拠したことで、一時、地政学リスクを意識したリスクオフの流れとなる局面がありました。
その影響で、FX相場では円高になりましたが、アフガニスタンという1つの国で起きていることですので、影響は一時的になると思います。
ミャンマーで軍事政権がクーデターを起したあとと同じような状況です。(ただ、少し違った観点で見ると、世界各国で9.11のような事件が起きやすくなるというリスクは出てくるのかもしれませんが)
ということで、円高圧力もあまり気にしなくてもいいと思いますので、米ドル/円は多少ジグザグしながらも、ジリジリと強くなるというイメージを持っておきたいと思います。
ユーロ/米ドルの次のターゲットは1.16ドル。そこが切れれば1.12ドルが見えてくる
ユーロ/米ドルで見ると、ついにずっと切れなかった1.17ドルを下に割り込んできました。こうなると、次のターゲットは1.16ドルということになります。
さすがに、1.16ドルはかなり頑丈で、簡単には下に切れないとは思いますが、そこが切れることがあれば、1.12ドルというレベルが見えてくるのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
いずれにしても、当面は米ドル高相場になる可能性が高いという認識を持ちながら、米ドル買い方針を継続したいと思います。
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