米国と日本の株式市場が、それぞれバラバラな動きに
最近の金融市場全体を見回して、今回はFX市場以外で起きている注目すべき傾向を、最初に2つ紹介したいと思います。
1つ目は、株式市場の動向です。
一般的に言って、世界中の主要国の株式市場の連動性はかなり高いというのが、これまでの傾向でした。
ところが、最近、米国と日本の株式市場が、それぞれバラバラな動きになっています。
NYダウと日経平均のチャートを見ると、NYダウは堅調な動きをずっと続けている一方、日経平均はだらだらと下落傾向になっていることが分かります。
(出所:TradingView)
なぜこういう動きになっているのでしょうか?
私の意見は、菅政権の新型コロナ対策に対する不信感だと思います。
正直言って、デルタ株の猛威もある中で、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるのは並大抵のことではありません。そこはみんなも理解していると思います。
しかし、たとえそうだとしても、緊急事態宣言を発出するタイミングなどを含め、最近の菅政権が打ち出すコロナ対策が、あまりにちぐはぐになってしまっていると感じている方は多いのではないのでしょうか。
そういうなかば諦めにも近い感覚が、今の株式市場に反映されているのではないかと思います。
そして、それがクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を全体的には徐々に円高方向にむけている要因になっていると思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
米長期金利は上昇するはずが、現実はまったく逆の現象が起きている
2つ目は、米国の長期金利(米10年債利回り)の低迷です。
GDPベースで見ると、米国経済はコロナ以前の水準にほぼ戻ってきています。自動車も良く売れていますし、住宅の需要もしっかりしてきています。
こういう状態になると普通は、インフレ期待から米長期金利は上昇するはずでした。
しかし、現実はまったく逆の現象が起きています。一体どうしてなのか、私自身もよく分かりません。
(出所:TradingView)
日本で言うところの赤字国債を発行して、米国は財政赤字を増やしているのですから、債券に下落圧力が働き、その結果、米長期金利が上昇するという流れも起きていません。非常に不思議な状況となっています。
こうした通常では考えられないような流れが、FX相場の方向感を失わせているのだと思います。
そうすると、これらの流れに何か変化が起きてこないと、トレンドが見えてこないということになると思います、
米雇用統計がよければ米長期金利が上昇。米ドル高の展開へ
そういう点において、明日(8月6日)の米雇用統計は非常に注目度が高いと思います。
【参考記事】
●「米雇用統計」とは【FX初心者のための基礎知識入門】
市場の事前予想は失業率が5.7%、非農部門就業者数が88.8万人の増加となっています。
このところ、思ったより数字が伸びなかったことが何回か続いており、米国の雇用環境の改善にまだ確信が持てない人が多いというのが現状だと思います。
【参考記事】
●米ドル/円は米雇用統計まで、109円台で買って110円台で売りぬくことに努めるしかない(7月29日、今井雅人)
●ドル/円、110円台半ばから前半を押し目買い。クロス円下落も株はしっかり。これはリスクオフなのか?(7月8日、今井雅人)
●米雇用統計は100万人増との見方も。今回は希望を持てるかも…と考えるワケは?(7月2日、今井雅人)
●底値が切り上がる米ドル/円を109円台前半で押し目買い。米雇用統計がとても重要に!(6月3日、今井雅人)
●失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)
FRB(米連邦準備制度理事会)も、雇用環境が改善してくるのかをもっとも注視していると言っているわけですので、もし、結果がよければ、いよいよ米長期金利が上昇。そして、そこからの米ドル高という展開になるのですが、さて、指標の結果を注目しておきたいと思います。
足元の相場を見ると、今週(8月2日~)は米ドル/円の108円台の堅さが目立っていたのではないかと思います。
米ドル円の押し目買いを基本戦力としておきたいと思います。特に、108円台はしっかり買っておきたい水準です。
(出所:TradingView)
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