■時間稼ぎの手段として介入せざるをえない事情とは?
時の経つのは早いもので、約6年半ぶりに行われた政府・日銀の為替介入から早くも20日が過ぎようとしている。介入が実施された9月15日、82円台に突入していた米ドル/円は介入後、一気に円安に向かい、介入2日後の9月17日には85.94円まで上昇した。
ただ、その後はまたずるずると円高方向に下げており、この原稿を執筆している10月4日の時点では一時、83.20円割れとなった。
もし、9月16日の記者会見で仙谷官房長官が言及してしまったように、82円台突入が介入のシグナルだとすれば、その防衛線ともいえる83円ラインに刻一刻と近づいているわけだ。当然、次の疑問がわいてくる。果たして、2度目の介入はあるのか?
(チャート提供:サイバーエージェントFX)
「あると思います」
こう語るのは、元・大和銀行(現りそな銀行)チーフディーラーの井上義教さん。「半年で成果がなければ席もない」と言われるほど厳しいディーリング業務に10年以上も携わり、為替・債券・スワップ市場で常に結果を出し続けてきた。
現在は、FX取引会社や証券会社にシステムトレードやテクニカル分析などのウェブコンテンツを提供する(株)オスピスの取締役兼チーフアナリストを務める傍ら、投資セミナーや執筆活動を通じて個人投資家への啓蒙活動も積極的に行っている。
「あると思います」
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「市場は菅内閣の政策を催促する動きに出ている」と、井上さんは直近の動きを分析する。
「菅内閣は『雇用を守る』とか『円高を止める』と言っているが、そのための有効な政策が打ち出されていないじゃないか、早くちゃんとやりなさいと市場は催促しているんです」
しかし、政策をまとめ上げるには時間がかかる。そこで政府はやかましい市場をとりあえず黙らせようとする動きに出た。それが先般の為替介入だったわけだが、焦る政府を見透かすように市場はまた為替を円高方向に戻してきた。
けれど、依然として政策はまとまっていない。こうなれば、再度、政府は介入する、いや介入せざるを得ない……井上さんが「介入は1回ではすまないだろう」と推測する理由だ。
■介入効果は限定的に。安易なドル買いは大ヤケドのもと
では、再度の介入があるとして、今度もまた、9月15日のような大きな値動きになるのだろうか? 井上さんは首を横にふる。
「過去の経験から推測すると、最大で9月15日の値動きの3分の2程度でしょう。もっと小さいかもしれません。市場が慣れてくるんです、介入に」
しょせん為替介入は、本格的な政策をまとめて実行するまでの間の時間稼ぎの手段でしかない、と井上さん。
「政府・日銀はこれまで何度も介入して、何十兆円もつぎ込んできましたが、円高は止められなかった。今度もそうなります。為替レートの最終的な落ち着きどころに関しては、介入は影響を与えないのです」
だからこそ、二匹目のドジョウよろしく再度の介入を当て込んで、あるいは確たる根拠もない値頃感での「安易な米ドル買いはまったくよろしくない!」と、井上さんは一刀両断する。
「ごくごく超短期のトレードを行っていて、なおかつよほど機敏に動ける人は別ですが、一般的な個人投資家のレベルなら、ここはじっくりドル売りに徹すべきです」
なぜならチャートが歴然とそれを物語っていると、井上さんは力説する。
■すべての移動平均線が下向きに!
「何も難しいテクニカル分析をする必要はありません。ローソク足と移動平均線だけでいい。その2つを見れば、米ドル/円相場で取るべきトレードは自ずと決まります」
(チャート提供:サイバーエージェントFX)
まず移動平均線。上のチャートでは75日線が長期線、25日線が中期線、5日線が短期線となっているが、これは実は、それぞれ約3カ月、1カ月、1週間でみた場合の売り買いの平均コストを表しているのだと、井上さんは説明する。
で、こうした線より為替レートが上にあれば、米ドルを買っている人は評価益を抱えることになるのだとも。しかし、現実は真逆だ。
「7月以降、為替レートは、長期ならびに中期の移動平均線よりも下にあり、短期線より下にある場合が多い。介入後に短期の移動平均線は一時的に上向きましたが、すぐにまた下向きになりました。
ということは、円を売って米ドルを買っている人はそれだけ評価損を抱えていることになる。つまり、買い方は不利な状況が続いているのです」
ローソク足にもご注目を。7月にすべての移動平均線が下向きになってから、何回も何回も下値を切り下げてきている。
「明らかに下落トレンドが発生しています。値段が下がってきている時は下がる方にいきやすいのです。これを見るだけで、米ドルを売っていく方が儲かりやすいというのは自明の理なのです」
コロンブスの卵ではないが、タネを明かされると「なーんだ、そんなことか!」と呆れた人もいるかもしれない。そういう人に質問を。あなたはこれまでこうした視点でローソク足と移動平均線を見ていましたか?
■ローソク足と移動平均線で市場の動きは80%わかる
投資セミナーなどで個人投資家と接することの多い井上さんは、個人投資家のチャートの見方やトレードの仕方には大いに問題があると思っている。
「ダブルトップなどのチャートの形状には注目しても、ローソク足単体には関心がない。ゴールデンクロスやデッドクロスは尊重しても、移動平均線の向き自体には目もくれない。
で、押し目買いと称して、値が下がったところで値上がり方向に賭けるといった逆張りを行う。これでは儲かるほうが不思議でしょう」
井上さんという為替のプロが実践し、勝ち続けてきたチャートの読み方は実にシンプルかつ合理的なのだが、それを知る個人投資家はいない。これはあまりに残念。というわけで、井上さんは本を出すことにした。
それが、この9月30日に発売された『FXチャートリーディングマスターブック』(ダイヤモンド社)だ。
まず移動平均線。上のチャートでは75日線が長期線、25日線が中期線、5日線が短期線となっているが、これは実は、それぞれ約3カ月、1カ月、1週間でみた場合の売り買いの平均コストを表しているのだと、井上さんは説明する。
で、こうした線より為替レートが上にあれば、米ドルを買っている人は評価益を抱えることになるのだとも。しかし、現実は真逆だ。
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「この本に書きましたが、実はローソク足と移動平均線だけで、市場の動きの80%は予測可能なのです」
もちろん、細かな売買タイミングを調べるためにはMACDとかストキャスティクス、あるいはボリンジャーバンドといったテクニカル指標も役立つが、基本はあくまでもローソク足と移動平均線だと井上さん。
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(取材・文/原田康行 撮影/堀内慎祐)
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