2022年1月のハイライトはグロース株の急落。米国株が急落する中、選好するならオセアニア通貨(対円)
みなさん、こんにちは。
2022年に入り1月はあっという間に終了。1月のハイライトは、いよいよFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに向かうという流れの中、グロース株が急落したこと。
1月の米国株パフォーマンスは、S&P500指数は5.3%のマイナス。そして、グロース株がメインのナスダック総合指数は8.9%の急落。金利上昇に敏感なナスダック総合指数は、200日移動平均線(1万4734ポイント)を割り込んだままで、調整局面入りが濃厚。
(出所:TradingView)
グロース株が急落するという環境下、為替の動向をチェックしてみましょう。以下は、年初来の対米ドルの主要通貨の騰落率。
対円と対英ポンド以外は、米ドル高となっています。
米ドル/円の2022年のオープンは115.08円。本稿執筆時点の米ドル/円は、114.40円レベルで推移しており、わずか70銭程度円高になっただけ。
一方、対ニュージーランドドルでの円の変動幅は4円あり、米国株が急落する中、FXトレードにおいて選好すべき通貨ペアは、やはりニュージーランドドル/円を筆頭としたオセアニア通貨(対円)ということになります。
前回のコラムでも触れましたが、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の連続利上げはマーケットでほぼ織り込まれているため、豪ドル/ニュージーランドドルが急騰しています。そのため豪ドルよりニュージーランドドルのほうが、米国株の下落に追随しているといえます。
【参考記事】
●NZドル/円の下値余地が、大幅に拡大中!ナスダックの調整幅がさらに広がれば、NZドル/円は60円に向けて続落の可能性も(1月17日、西原宏一)
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FRBはまだ何もアクションを起こしていない。インフレを抑え込むのはかなり難しいか…
では、今後も米金利の上昇は続き、グロース株は大きく値を下げ、そして、リスクアセットであるオセアニア通貨(対円)の下落は続くのでしょうか?
本稿執筆時点では、FRBはまだ何もアクションを起こしていません。
そして、米国の金利先物市場では、FRBの利上げとQT(量的引き締め)を急速に織り込み始めています。
しかし、仮にFRBが0.25%ずつ刻んで8回連続で利上げを行ったとしても、FF金利(※)はやっと2.00%になるだけです。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
一方、2021年12月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比7.0%の上昇となり、39年半ぶりに7%台に達しています。
【参考記事】
●米ドル/円は116.35円が当面の天井となり、短期的に下値余地が拡大! 米国の3月利上げは間違いなく、資産縮小の開始時期に注目(1月13日、西原宏一)
つまり、2.00%までFF金利が上がったとしても、実質金利はマイナス5.00%程度となり、7%に達しているインフレは封じ込められないということになります。
これでは追いつかないため、3月には0.50%の利上げ幅になるのではないかという予測も台頭。
しかし、インフレに対抗するために利上げを急げば、グロース株が急落する恐れがあります。それを無視し、パウエル議長は大胆に連続利上げを決行するのでしょうか?
インフレに対抗するために利上げを急げば、グロース株が急落する恐れも…。パウエル議長は大胆に連続利上げを決行するのだろうか (C)Bloomberg/GettyImages
結論として、今回のインフレを抑え込むのはかなり難しいと想定されます。
バイデン政権の支持率低下の要因は「インフレ高騰」。FRBとバイデンフレーションの戦いは始まったばかり
米国ではバイデン政権がインフレの主因と見ている国民が増えているようで、「バイデンフレーション(※)」という造語まで登場。
(※「バイデンフレーション(Bidenflation)」とは、「バイデン大統領」と「インフレーション」を関連付けた造語。共和党支持者の間で急速に広まっている)
これに対し、インフレの要因は新型コロナであるとバイデン政権は反論してきました。
確かに、欧州をはじめ多くの先進国で、(米国ほどではないものの)物価上昇が起きています。
しかし、米ポリティコ紙と米調査会社のモーニングコンサルトの共同世論調査(2021年11月13~15日)によると、62%の米国の有権者が国内のインフレについてバイデン政権の政策に責任があると述べ、大統領にはまったく責任がないとの回答は11%にすぎないと報じています。
つまり、バイデン政権の支持率を大きく落としているのが「インフレの高騰」ということになります。
結果、FRBが利上げを急ぐことになり、米国株は調整、リスクアセット通貨であるオセアニア通貨(対円)の下値余地は拡大していくと想定しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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米国株の下落は、2000年のドットコムバブルの時代と非常に似ている!?
前回ハイテク株が急落した局面といえば、2000年前後のドットコムバブルでした。
株式市場は「ドットコムバブル崩壊前に酷似」、バンカメが警告
出所:Forbes
実際、今回の米国株の下落がドットコムバブル崩壊時と同じであると仮定すれば、その下落幅はかなり深いものとなります。それを論ずるのはまだ時期尚早ではありますが…。
ともあれ、FRBとバイデンフレーションの戦いははじまったばかり。
同時に米金利の上昇、そしてグロース株とオセアニア通貨(対円)の下落も長期化すると想定しています。
今月(2月)も下値余地が拡大しているナスダック総合指数とニュージーランドドル/円の動向に注目です。
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