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エミン・ユルマズの「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」

【トルコリラ見通し】トルコの実質金利はマイナス75%!
総選挙の選挙キャンペーンがスタート、トルコリラの
長期見通しは、政権交代が起きるかどうかにかかっている

2022年11月09日(水)08:13公開 (2022年11月09日(水)08:13更新)
エミン・ユルマズ

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トルコCPIは17カ月連続の上昇。PPIも上昇し、生産者のエネルギーコストは5倍に

 TUIK(トルコ統計局)は10月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。10月のCPIの上昇率は前年同月比で85.51%、前月比で3.54%となりました。24年ぶりの高水準ですが、マンスリーベースで17カ月連続での上昇となりました。エネルギーと食料品価格を除くコアCPIも上昇を続け、10月に70.45%を記録しました。

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トルコCPI
トルコCPI

(出所:TUIK

トルコCPI 前年同月比
トルコCPI 前年同月比

(出所:TUIK

 主要項目の中で物価がもっとも上昇したのは117.5%の上昇率となった交通・運輸、続いて99.05%の食糧・ノンアルコール飲料でした。

トルコCPIの詳細
トルコCPIの詳細

(出所:TUIK

 10月のPPI(生産者物価指数)は前年同月比で157.69%の上昇率となり、生産者物価に含まれる電気・ガス価格の上昇率が554.56%に達しました。生産者のエネルギーコストが1年間で5倍に膨らんだことを意味しています。

トルコPPI 前年同月比
トルコPPI 前年同月比

(出所:TUIK

実質金利はマイナス75%でもトルコリラが動かないのは、為替を動かす要因が金利差だけではないから

 今週(11月8日~)のトルコリラは対米ドルで大きく動かず18.60リラ前後で推移していますが、対円ではFOMC(米連邦公開市場委員会)後に乱高下していて、7.90~8.00円のレンジで激しく動いています。

米ドル/トルコリラ 日足
米ドル/トルコリラ 日足

(出所:TradingView

トルコリラ/円 日足
トルコリラ/円 日足

(出所:TradingView

 10月のインフレ指標の結果を受け、トルコの政策金利と名目インフレの差が75%になりました。つまり、トルコの実質金利はマイナス75%ということになります。

実質金利のマイナス幅が拡大しても為替が動かないのは、為替の動きは金利差だけではなく、さまざまな要因に左右されることを示しています。米ドル/円に関しても同じことを言えるわけで、FOMCのタカ派スタンスにも関わらず米ドル/円は下げに転じました。

総選挙に向けて各政党のキャンペーンスタート。トルコリラの長期見通しは政権交代が起きるかどうかにかかっている

 トルコの総選挙は遅くても来年(2023年)の6月18日(日)までに行われる予定ですが、各政党の選挙キャンペーンはすでにスタートしています。

 エルドアン大統領が率いるAKP(公正発展党)が極右のMHP(民族主義行動党)と結成している同盟に、野党6党から結成されている「6党のテーブル」が対抗しています。

 クルド系政党のHDP(国民民主主義党)はこの野党ブロックには入っていませんが、彼らのスタンスが選挙の勝者を決める可能性が高いです。エルドアン大統領は直近でクルド系政党へアプローチしていて、クルド人の人権強化を条件に支持を取り付けようとしています。

 しかし、HDPのデミルタシュ党首がいまだに監獄に入れられていることと、AKPのパートナーである極右MHPがHDPの宿敵であることから、エルドアンがクルド人票を獲得できる可能性は低いとされています。トルコリラの長期見通しは政権交代が起きるかどうかにかかっています。

エルドアン大統領はクルド人票獲得を目指し、クルド系政党のHDP(国民民主主義党)にアプローチしているが、可能性は低そう (C)Anadolu Agency/Getty Images

エルドアン大統領はクルド人票獲得を目指し、クルド系政党のHDP(国民民主主義党)にアプローチしているが、可能性は低そう (C)Anadolu Agency/Getty Images

エブリシング・バブルの崩壊(エミン・ユルマズ著)
エブリシング・バブルの崩壊
エミン・ユルマズ

<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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