4年ぶりの円高となるか?今の市場予測は、22年末の予測に似ている?
みなさん、こんにちは。
早いもので今回で本年最後のコラムとなります。
そこで来年2024年の為替相場を展望してみましょう。
本稿執筆時点(2023年12月21日)では、2024年は4年ぶりに円高になるのでは?という意見が増えています。
具体的には日本銀行が世界最後のマイナス金利政策から脱却する一方、海外の主要中央銀行が利下げに向かうことで、「2024年は円高が進む」という見通しになります。
しかし、実は昨年2022年末も同様な意見が多数でした。
FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げに向かい、日銀はマイナス金利政策から脱却する。
これをマーケットでは、米国のFRBピボット(緩和への政策転換)と日本のBOJピボット(緩和解除への政策転換)と称し、米ドル/円は円高に進むという予測が台頭していました。
こうした予測が拡大していたのは当然で、2022年末の米国金利先物市場では、2023年の夏頃からのFRBの連続利下げが予測されていましたし、2022年の12月20日、日本銀行は10年国債利回りの上限を0.25%から0.50%に引き上げると発表し、市場に大きなサプライズを与えていたからです。
2023年、日銀は動かず、米国の利下げ期待も後退
ただ、そうした予測は2023年2月の段階で大きく修正を余儀なくされました。
その要因は日銀です。
多くのマーケット参加者が「日銀の植田和男新総裁が超金融緩和政策を解除する可能性が高い」と予想していました。しかし日銀は全く動きませんでした。
一方、米国のインフレも全く沈静化せず、米国の利下げ期待も大きく後退。
日米の金融政策の逆回転は起きず、それに呼応して、米ドル/円は再び151.91円まで反発するという展開になりました。
(出所:TradingView)
しかし、2024年までわずか2週間弱の本稿執筆時点では数カ月以内に日米の金融政策は政策転換が訪れるとの見方で、エコノミストは足並みを揃えています。
日銀執行部も将来の緩和解除の意味合いについて公に論じているようです。
2023年2月早々に大幅修正を余儀なくされた日米の金融政策の逆回転予測ですが、今年も昨年同様のスタンスでマーケットが来年に臨もうとしているのはなぜか?
それは先週のFOMC後のパウエル議長のコメントが大きく影響しています。
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マーケットが待ちのぞんでいたFRB議長のハト派コメント
152円でダブルトップを形成した後の米ドル/円は、高値から7円ほど調整し145~147円でもみ合っていました。
その米ドル/円を一時141.00円割れまで急落させたのが、FRBパウエル議長のコメント。
「利下げが視野に入り始めており、明らかに世間で議論されている話題であり、今日の会合でも議論される」
(出所:TradingView)
同議長は12月1日に全く違う意見を述べています。
「われわれが十分に制限的なスタンスを達成したと確信を持って結論付けるのは時期尚早であり、いつ政策が緩和されるかを推測するのは時期尚早だ」
この間なにが起こったのか?
再選を目指すバイデン大統領に配慮したとの見方もあるようですが、パウエル議長がなぜハト派に豹変したのかは謎。
しかし米国金利先物市場はパウエル議長のコメントに一気に反応しています。
本稿執筆時点の米国金利先物市場では、2024年に0.25ポイントの利下げを6回実施するとなっています。
加えて最初の利下げは3月に実施されることがマーケットでは完全に織り込まれています。
※執筆者提供のデータをもとにザイFX!編集部が作成
米ドル/円と相関性の高い米2年債利回りも4.33%まで反落。
結果、米ドル/円も一時140.97円まで急落しています。
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FRBピボットの可能性が高まる!2024年は米ドル安へ
では、FRBピボットによって2024年の米ドル/円はどこまで下落するのか?
それはBOJピボットにも影響されるので、円高の深さは各主要銀行のストラテジストによって分かれていますが、今のところ132~135円程度円高が進むのではないかという意見が増えてきているようです。
筆者も2024年の米ドル/円相場は、日米金融政策の逆回転により、132~135円程度まで円高が進行するのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
視点を変えれば、このシナリオに関してのリスクは日米中央銀行の金融政策の変化。
繰り返しになりますが、2023年は2月早々に、日銀の金融政策のスタンスにより円高予想が早々に崩れ始めました。2024年も日米中央銀行の金融政策の変化に留意し、変化があれば見通しを修正しながらうまく乗り切って行きたいところですね。
今回で本年最後のコラムとなります。本年もご愛読ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。良い年をお迎えください。
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