市場が間違えることもある!? その2つの原因とは?
「市場のことは市場に聞け」という格言があります。これは、市場の価格の動きこそが正しいという考え方です。
しかし、この格言にはいつも疑問を感じていました。それは、市場はしばしば間違った反応をするからです。
そうした間違った反応はおおむね2つの原因で起きます。
ひとつは、経済指標が発表されたあるいは何か事件が起きたときなどに、最初単一的な分析に従って反応してしまうときです。こういうときはその後、総合的な判断をして、実は逆だったとマーケットが逆流を起こします。
もうひとつのケースは過剰反応です。マーケットの特徴として、何かムードが出来てくると、バイアスがかかりすぎてそちら方向に一気に動いてしまい、現実の状況から乖離してしまうケースです。
2024年は年初から、各国、特に米国の利下げに注目が集まりました。その結果、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の先物市場では3月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを一時8割近く織り込む状況になりました。
これについて、私はやりすぎと指摘してきましたが、こうした状況が過剰反応のケースです。
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⇒米ドル/円は当面147~149円レンジの小幅な値動き想定。「じっとスワップを稼ぐ」メキシコペソ/円の買いをキープしながらレンジトレードを継続したい(2月8日、今井雅人)
冷静に考えると、3月利下げの可能性はどれだけ高くみても5割程度であったと思いますが、マーケットのムードは加熱してしまいました。
そして、その後発表された経済指標が軒並み好調だったことを受けて、利下げムードが一気にしぼんでいます。
(出所:CME)
2月2日(金)に発表された雇用統計も、失業率、NFP(非農業部門就業者数)、平均時給いずれも予想を上回りました。同13日(火)に発表されたCPIも総合が前年同月比+3.1%、コアも同+3.9%とどちらも予想を上回っています。
これで、3月FOMCでの利下げはほぼなくなったどころか、5月FOMCでも利下げは難しくなってきました。
もちろん、今後のデータ次第ではありますが、現時点では利下げは早くても夏以降になる公算が高いと考えています。
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米ドル押し目買いトレードを継続。米ドル/円はいずれ152円を上抜けるが少し時間がかかるか
さて、一連の経済指標の結果を受けて、市場は現在ファンダメンタルズを反映した正常な状況に近づいています。歪みが解消されてきたと言い換えてもよいかと思います。
今後ですが、ここから一気に米ドル高の流れが出来るかと言えば、まだ力不足で、さらなる米ドル買い材料が必要になってくると考えています。
ただ、基調としては、米ドルは底堅い展開になると思いますので、トレード方針としては米ドルの押し目買いを続けます。
米ドル/円はすでに149円台が買い水準になってきたと考えています。ただ、上に一気にいくにはさらなる材料が必要になってきます。いずれ152円を上に抜けていくと予想していますが、それには少し時間がかかるかもしれません。
(出所:TradingView)
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相場の動きが鈍くなると高金利通貨が優位に。メキシコペソ/円は次のステージに?
また、一般的に相場の動きが鈍くなってくると金利差が効いてくるようになります。
つまり、スワップポイントにより注目が集まるようになるということです。
現在、メキシコペソ円が上に抜けそうな状況になっていますが、こうした経済が安定していて高金利の通貨の優位性は今後も続くと考えています。
メキシコペソ/円は8.8円をしっかり抜けてくると次のステージに入り、9円を超えてくることも期待できそうです。
(出所:TradingView)
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