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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は米ドル安が一服して調整が進んでも、151円
台より上の水準へ定着するのは容易ではない! 米ドルの
安値は追えず、安値更新に時間がかかることも想定すべき

2025年03月21日(金)16:40公開 (2025年03月21日(金)16:40更新)
陳満咲杜

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米ドル安のモメンタムはいったん低下へ。ただし、より
健全な下落トレンドを形成するためのフェーズと予想

前回のコラムで予想したとおり、ドルインデックスは103の節目前後で下げ止まりの様相を呈している。

【※関連記事はこちら!】
米ドル全体の本格的な下落はこれから! ただし目先の目標達成感は強く、いったんは一服する可能性も。米ドル/円は今後も緩やかに下落と見込んで売り方針で!(2025年3月14日、陳満咲杜)

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 ユーロ/米ドルも1.09ドル台半ばで頭が重くなったようで、相場のモメンタムはいったん低下していくと推測される。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

 モメンタムの低下はトレンドの進行を証明するだろう。なぜなら、米ドルは急落してきたので、途中のスピード調整があったほうが、これから「より健全」な下落トレンドを形成できる、と思われるからだ。

ドルインデックスがトランプ・トレード前の100の大台に
迫るまで、米ドル安相場が完了したとは言えないか

 米国の株式市場では、すでに「トランプ・トレード」以来の上昇幅を帳消ししている。

NYダウ 週足
NYダウ 週足チャート

(出所:TradingView

 しかし、ドルインデックスはまだ高い位置にいるから、米ドル安の大局観は変わらない

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足チャート

(出所:TradingView

 「トランプ・トレード」と言えば、米大統領選でトランプ氏が当選する可能性が高いと伝わった、去年(2024年)9月末の時点に遡る。そのとき、ドルインデックスはいったん100近辺まで低下していたから、少なくとも再び100の大台に迫るまで、米ドル安が完了したとは言えないのではないだろうか。

 とはいえ上述のように、途中の調整があったほうが健全、そして、米トランプ政権の迷走を織り込んでも、目先は金利差から軸が大きくかい離しにくい状況にあると思う。そして、米国株も本格的なベア(弱気)トレンドへの転換より、大きな調整の範疇にあると推測されるので、米ドル安一辺倒にはならないだろう。

米ドル/円の今の水準は「居心地が良い」!?
目先は米ドルの安値を追わないのが賢明

 もちろん、市場のセンチメントの激変も織り込んでいる。1月末や2月末までのつい最近まで、今年の米国の利下げはなく、ユーロ/米ドルのパリティ(1.00ドル)を想定していたウォール街は、一転して米国の年内3回の利下げや、米ドルの暴落を予想し始めているようだ。だからこそ、目先は米ドルの安値を追わないのが賢明だ。

米ドル/円は大きな下落トレンドを維持しているが、そもそも「下げ切っていなかった」からで、引き続きまだら模様の動きではないかと思う。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 IMM通貨先物市場(CFTC建玉報告)における、投機筋の米ドルに対する円のポジションは、大幅な円の買い越しの整理が進行していると推測できるが、それを根拠に米ドル/円のトレンドが大きく修正され、再び円安方向へシフトする、といった見方には同意できない。

シカゴIMM通貨先物ポジション推移(日本円)
シカゴIMM通貨先物ポジション推移(日本円)

(※詳しくはこちら:IMM通貨先物ポジション

 その理由は前回のコラムに書いたので、ここでは重複しないが、強調したいのは米ドル/円は日米の金利差から見ると、現在は「居所地のよい」水準にあり、このバランスは早晩、崩れるとは思うが、崩されるまではまだら模様の市況が継続する可能性が高く、相場より先走りする必要はない。

【※関連記事はこちら!】
米ドル全体の本格的な下落はこれから! ただし目先の目標達成感は強く、いったんは一服する可能性も。米ドル/円は今後も緩やかに下落と見込んで売り方針で!(2025年3月14日、陳満咲杜)

 むしろ、この間、ユーロや英ポンドなどが対米ドルで大きく切り返してきたから、米ドル全体の反発があれば、比較的、値幅をもって調整してくるのでは、と推測できる。

 さらに金利差から見ると、主要なクロス円の切り返しに行きすぎの感じが目立っているので、主要なクロス円の調整が鮮明になれば、米ドル/円の頭も押さえ込まれる可能性がある。

米ドル/円が151円台よりも上の水準に定着するのは容易ではない。
ただし、安値を更新するまでには時間がかかることも覚悟したい

 たとえば、代表的なユーロ/円の日足を観察すればわかるように、大きなレンジを形成してきたうえ、「複合型ヘッド・アンド・ショルダーズ」のフォーメーションを形成しているようにみえる。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(※筆者提供)

 直近では、164円台前半で再度、頭打ちになった構図が鮮明なので、メインの戦略としてレンジ内のトレードを実行するなら、まだまだ戻り売りの段階にいると推測できる。

 そうなると、米ドル全体の反発につれ、米ドル/円もある程度の切り返しが推測されるが、仮にユーロ/円の頭打ちや続落がより鮮明になれば、米ドル/円が151円台よりも上の水準に定着するのは容易ではないだろう。ゆえに、米ドル/円の戻り売り、というメインスタンスは変わらないが、安値を更新するまで、時間がかかることも覚悟しなければならないか。

 最後に誤解されないよう強調しておきたいが、ドルインデックスの反発があっても、それはブル(強気)トレンドへの復帰ではなく、あくまでスピード調整である。したがって、ユーロ/米ドルも調整が済めば、再び押し目買いの好機に恵まれるはずだ。次のチャンスまでに少し時間がかかるかもしれないが、大きな方向が間違っていない限り、マーケットの変化を楽しみにしておきたいところだ。

 市況はいかに。

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