ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

西原スーパーバナー
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル安が緩やかに続きそう。イラン戦争勃発後の米ドル高を喪失したが、米財務長官が米国債ぜったい守るマンに。ユーロ/円の上昇は続くも、米ドル/円の介入に警戒!

2026年04月23日(木)15:10公開 (2026年04月23日(木)15:10更新)
西原宏一

FXのキャンペーンおすすめ10選! キャッシュバックがもらえる条件が簡単なFX会社や、「ザイFX!」限定のお得なキャンペーンを厳選して紹介

米ドルはイラン戦争未終結でも、戦争勃発後の上昇をすべて喪失。脱米ドルで通貨の分散が進んでいるのが要因か

 みなさん、こんにちは。

 本稿執筆時点で、米国とイランによる紛争解決への動きは膠着したままです。

 ニューヨーク・ポスト紙は、トランプ米大統領とパキスタン側関係者の話をもとに「第2回協議が4月24日(金)にも実施される可能性がある」と報道しています。

 一方、イランの準国営タスニム通信は「現時点でイランが4月24日(金)に米国と協議する計画はない」と報じています。

 英海事貿易機関(UKMTO)によると、イランの砲艇はホルムズ海峡付近で貨物船とコンテナ船に向けて発砲しました。「さらに3隻目の船舶が攻撃を受けた」とウォールストリート・ジャーナル紙が伝えています。

 その結果、北海ブレント先物は4月22日(水)NY時間午後に1バレル=100ドル超に上昇。

原油は高止まりしたままですが、米ドルはオセアニア通貨を中心に軟調な展開となっています。

 振り返れば、イラン戦争勃発後、米ドルは唯一の避難通貨として注目を集めました。

 株のようなリスクアセットに今回の戦争のような強い負荷がかかると、多くの参加者はそうしたリスクアセットを売って現金に戻します。

 米国に限らず、主要国の投資家にとって現金とは米ドルです。よって、イラン戦争勃発後、米ドルは一気に買われます。

 原油が急騰しましたので、エネルギー純輸入国であり「円=安全資産」という神話が終焉している円は、あっさり値を崩します。

 そして、ユーロ圏もエネルギーの多くを輸入に頼っているので、マーケットの注目を集め、ユーロが値を崩します。

 ただ、ユーロ/米ドルはマーケットが想定したより早く、ボトムアウトします。戦争勃発、わずか2週間後の3月13日(金)に1.1411ドルの安値に到達した後は、じわじわと値を戻し、4月17日(金)には1.1817ドルまで反発。

 結果、米ドルは戦争後に急騰した上昇幅をすべて失って、値を戻したことになります。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView(トレーディングビュー))

 前述のように、本稿執筆時点で戦争が終わっているわけではありません。

 つまり、今回のリスクオフ局面で、米ドルは避難通貨として買い戻されたわけではないということになります。

 この要因については、現在の米国政治の不安定さから米ドルが回避されるという面もありますが、過去2年間ひんぱんに脱米ドルと言われ、通貨の分散が進んでいるのが要因だと考えます。

ベッセント米財務長官は「国家最高の国債セールスマン」。米国債の投げ売りを防ぎ、緩やかな米ドル安が継続しそう

 ただ、一部の報道にあるような基軸通貨からの脱落ということではなく、あくまでも米ドルが重要な通貨であるということは変わりません

 それは、各国が通貨スワップ協定(Swap lines)を米国に要請したことに表れています。

 4月23日(木)の主要各社の報道によれば、ベッセント米財務長官は、ペルシャ湾岸の多数の同盟国に加え、複数のアジア諸国から米国に、通貨スワップ協定の提供要請があったとしています。そのうえで、国外での米ドル建て融資を支援するような取り決めがまとまる可能性が指摘されています。

 そもそも、通貨スワップ協定とはなんでしょうか。

 ベッセント米財務長官は「通貨スワップ協定は、米ドル資金市場の秩序を維持し、米国資産が無秩序に売却されるのを防ぐためのもの」と説明しています。

 イラン戦争による米ドル急騰が、米ドルペッグ制を維持する国々に介入圧力をかけており、それへの対応策として浮上したのが、通貨スワップ協定です。

 もっと簡単に言うと「必要なときに米ドルを借りられる契約」のこと。

 相手国の中央銀行はいったん自国通貨を担保のように差し出して、米国から米ドルを受け取る。その後、決められた条件で米ドルを返して、自国通貨に戻す。そのため、「米ドルが足りない!」となっても、市場で無理に米ドルを買いに行かずに済むといった流れが想定されます。

 米国の狙いとしては、市場がパニックになって各国が米国債を投げ売りしたり、米ドル不足で金融が混乱するのを防ぐこと。

 通貨スワップを要請することの意味は「米ドルの『安全資産』としての求心力がまだ機能している」と言えると同時に、「産油国の収入喪失→米国債売り圧力」という連鎖リスクも内包していると言えます。

 「米国資産の無秩序な売却を防ぐため」というベッセント米財務長官の発言は、脱米ドル化の進行を米政府自身が警戒していることの裏返しと指摘するエコノミストも。

 しかし、いつも米国債が売られそうになるとベッセント米財務長官が登場します。

 トランプ政権では、トランプ米大統領が株価を、ベッセント米財務長官が米国債市場をそれぞれ「守る」という役割分担が生まれていると言われています。

 ベッセント米財務長官はみずからを「国家最高の国債セールスマン」と公言。「米国債市場を強化し維持することが米国を再び生活しやすくする(Make America Affordable Again)ための本質だ」と繰り返し強調しています。

 それではなぜ、彼は国債市場にこだわるのでしょうか。

 具体的には「国債金利を下げる→住宅ローン・自動車ローン・企業借り入れコストが下がる→庶民の生活が楽になる」という論理構成のようです。

ベッセント米財務長官が米国債の投げ売り(米長期金利の急騰)を防いでいると言えます。

 彼が目を光らせている限り、米国債の急落、つまり米金利の急騰、ひいては米国株安、米ドル安のトリプル安を防げるのかもしれません。

 結果、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルを中心に緩やかな米ドル安が継続しそうです。

米ドル/円の160円超えで介入警戒! ユーロ/円や豪ドル/円の上昇は変わらず

 一方、仮に戦争が早期終結したとしても、原油価格がすぐに急落するわけではありませんので、日本の貿易赤字拡大傾向は続き、円安も継続しそうです。

 ユーロ/円は短期的には188円がちょっと重いので、幾分調整するかもしれませんが、ユーロ/円、豪ドル/円の上昇トレンドも変わらないと見ています。

 警戒すべきは、米ドル/円の介入警戒感の高まりです。

米ドル/円が160円を超えてくると、介入警戒感がぐっと高まるので、短期的には米ドル/円のショートでヘッジしたほうがいいかもしれません。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は160円超えで売り! 日米財務相が今まで以上に緊密な連携を取るとし、160円超えは実弾投入の可能性高い。米イラン交渉は進行中で米ドル安、円安は継続(4月20日、西原宏一&叶内文子)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 結果、ユーロ/円、豪ドル/円の上昇トレンドは変わりませんが、米ドル/円の160円超えによる当局の介入にも警戒しています。


【ザイFX!編集部からのお知らせ】

 ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)です。

西原宏一投資戦略メルマガ「トレード戦略指令!」

「トレード戦略指令!」10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
CFD口座おすすめ比較 MT4比較 「ハンガリーフォリント/円」スワップポイント比較
CFD口座おすすめ比較 MT4比較 「ハンガリーフォリント/円」スワップポイント比較
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る
今井雅人