2026年 は「第二の基軸通貨」が試される1年
2026年の相場展望という事で、私は「ユーロ」を取り上げて考えてみたいと思います。
2026年の為替予想では、多くのエコノミストが共通して、「ユーロ買い推奨、対米ドルで1.22~1.25ドル目標」といった強気予想ばかりです。これまで長らく「今ひとつパッとしないユーロ」に対し、評価の見直しが始まりつつあるようです。

(出所:TradingView)
私は、2026年は「金利差」よりも「通貨の質」が問われる年になると考えており、その視点でユーロをみていきたいと思っています。
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強いだけのユーロではないリスク
2026年のユーロ相場は単純な強気・弱気で語れるものではないと考えます。そこで、ユーロが買われる条件、売られる条件を整理したうえで、2026年という年が持つ本質的な意味を考えてみましょう。
●ユーロが買われる条件
1.米ドルの信認低下と「消去法としてのユーロ」
2026年における最大の外部要因となり得るのは、米国の金融政策運営でしょう。仮にFRB(米連邦準備制度理事会)新議長がトランプ政権の強い影響下に置かれ、積極的な利下げや財政ファイナンス的な政策が進めば、「中央銀行の独立性」に対する市場の疑念は避けられません。
米ドルの基軸通貨としての地位が一気に揺らぐとは考えていませんが、「米ドル一強」という相場観への違和感が強まれば、投資家達は通貨分散を進めます。ヘッジ比率もさらに引き上げるでしょう。
その際、規模・流動性・制度面を考えると、現実的な受け皿は依然としてユーロしかないとも言えます。
その場合、2026年のユーロ高シナリオの本質は、「積極的にユーロを買いたい」というより、「米ドルを持ち続けるリスクを下げたい」という消極的選択になってしまう点には注意が必要です。
2.ウクライナ戦争終結と欧州経済の再構築
ウクライナ戦争が完全に終結し、エネルギー価格が安定すれば、欧州経済にとっては大きな追い風となります。特に製造業を中心に、エネルギーコスト上昇が長らく成長の足かせとなってきたドイツ経済にとっては、構造的な回復余地が生まれるでしょう。
戦争終結は単なる「リスク後退」ではなく、欧州が中長期の成長戦略を再設計できる環境が整うという点で、ユーロの評価を底上げする要因となる事は間違いありません。
3.ドイツ主導の防衛・インフラ投資の本格化
ドイツが掲げる約5000億ユーロ規模の防衛・インフラ基金は、2026年のユーロ相場を語るうえで極めて重要な要素です。これが単なる「計画」にとどまらず、実際の支出として欧州全体に波及すれば、ユーロ圏における財政主導型成長の象徴と捉えられるでしょう。
従来のユーロは「金融政策は統一、財政はバラバラ」という弱点を抱えてきましたが、防衛・エネルギー・インフラ分野での実務的な一体化が進めば、市場の見方は大きく変わる可能性があります。
●ユーロが売られる条件
1.政治不安の再燃
ユーロにとって最大のリスクは、依然として政治である事は間違いありません。フランスをはじめとする少数政権国家で、予期せぬ議会解散や総選挙が実施されれば、市場は即座に反応するでしょう。
ユーロは米ドルや円、英ポンドのような「完成された通貨」ではなく、危機のたびに分裂リスクを意識させられてきた「進化途中の通貨」です。2026年にかけても、政治イベントが相場の上値を何度も抑える展開は十分に想定されるはずです。
2.ウクライナ戦争の長期化と防衛統合の遅れ
仮に戦争が長期化し、米国がウクライナや欧州防衛への関与を縮小する場合、欧州独自の防衛体制構築が急務となります。しかし、その調整が遅れれば、地政学リスクはむしろ高まるという悪循環は無視できません。
「欧州は危機のたびに意思決定が遅れる」という従来の評価が再確認されれば、ユーロは再び売られやすい通貨に戻らざるを得ません。
3.東欧諸国における政治的リスク
ハンガリーなど、2026年に総選挙を控える国々で予想外の結果が出た場合、EU(欧州連合)への懐疑的な動きが再燃する可能性も否定できません。
加盟国の離脱リスクにまで事態が急変した場合は、たとえ現実味が低くとも、市場にとっては十分な売り材料となります。
4.景気低迷とECBの予想外の利下げ
ユーロ圏の景気低迷が続き、ECBが市場予想を超える利下げに踏み切る場合、ユーロは下押し圧力を受けるはずです。
そして、もっとも重要なのは「利下げの有無や幅」ではなく「利下げの理由」ではないでしょうか?長年低迷を続けている経済に対し、成長回復を伴わない景気対策型の利下げとなれば、ユーロにとって明確なマイナス要因となると考えています。
つまり、2026年は「インフレと戦うECB」から「成長と財政をどう支えるECB」への転換期という捉え方を私はしています。
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2026年ユーロ相場の本質とは?
2026年は、ユーロが「第二の基軸通貨」としての役割をどこまで果たせるかが試される年になるでしょう。

来年(2026年)はユーロは「第二の基軸通貨」としての役割をどこまで果たせるかが試される年になる。写真はECB(欧州中央銀行)
米ドルが相対的に弱含む局面では、ユーロは買われやすくなります。しかし、1.22~1.25ドルといった水準に到達したとしても、そのレベルで「安定的に定着」するかどうかは別問題です。
政治、財政、防衛などの分野で欧州が「前に進んでいる」と市場が感じられるかどうか?
それこそが、2026年のユーロ相場を左右する最大の分岐点となると、私は考えます。

(出所:TradingView)
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