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ロンドン発!松崎美子のFXマーケットレター

英国のスターマー政権終焉が迫る!この事態はなぜ起きた
のか?次期首相候補のバーナム氏にも金融市場大惨事の
リスク!?英10年国債利回りのチェックするクセをつけたい

2026年02月10日(火)09:00公開 (2026年02月10日(火)09:00更新)
松崎美子

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奈落の淵に立つスターマー政権の「余命」

 英国政治は、ここにきて一気に崩れてきました。

 スターマー首相を巡る状況は、「bad(悪い)」から「worse(いっそう悪い)」に変わってきたことは明白で、首相の右腕だったマクスウィーニー首席補佐官が週末に辞任したことを受け、首相としての「存続の可否」ではなく、「いつ、どのように幕を引くのか」というカウントダウンの段階に入った印象を強く受けました。


●マンデルソン・スキャンダル

 事の発端となったのは、駐米大使であった労働党のスピン・ドクターであるマンデルソン卿の任命を巡るスキャンダルでした。

 スターマー首相はマンデルソン卿がエプスタイン氏と深い関係があることを知っていながら、駐米大使に任命したことは単なる人事の失敗という生易しい問題ではなく、政権の倫理観と統治能力を根本から揺さぶりました。

 マクスウィーニー氏という、首相にとっては最大の「盾」であった人物が、責任を取る形で辞職したことは、一見するとトカゲの尻尾切りに見えますが、現実はちょっと違います。盾を失ったスターマー首相は、怒れる党内の議員や党員達、そして何より冷徹な金融市場という「審判」の前に、丸腰で立たされているのです。


●辞任のタイミング

 今年(2026年)5月7日には、英国の地方選挙とスコットランド・ウェールズ議会選挙が同日に実施されます。私はこれらの選挙で労働党が惨敗し、その責任を取ってスターマー首相が辞任すると考えていました。

 しかし、現時点では、もっとも早い辞任時期は、今週(2月9日~)中。仮に週末まで持てば、5月の選挙直後というイメージです。労働党としても、5月選挙で負けることがわかっているので、誰も次期首相に手を挙げたがらないリスクがあり、どうせならこのまま5月まで首相をやってもらおうという動きとも言えます。

スターマー首相辞任のタイミング

(出所:英国のメインの賭け屋サイトの総合評価

●次期首相候補

 次期首相候補として名前が挙がっている人は、5人います。こちらに表にまとめてみましたが、その中でもっとも注目されているのが、レイナー元副首相とバーナム・マンチェスター市長です。

(出所:英国のメインの賭け屋サイトの総合評価


 そもそもスターマー首相の辞任観測は、マンデルソン・スキャンダル以前から騒がれておりました。最大の理由は同首相のままでは、2029年の総選挙で労働党は勝てないからです。そのため、2027年に入る前に労働党としては「勝てる党首(首相)」が欲しいのです。

 絶大な人気があるのに労働党の党首として立候補できないのが、バーナム・マンチェスター市長。理由は、党首選に出馬するためには現職の国会議員である必要があるからです。

 先月(1月)の補欠選挙でも、バーナム氏は市長を辞任しても良いので補欠選挙に立候補したいと労働党全国執行委員会(NEC)に届けを提出しましたが、NECはスターマー首相に近い人達で構成されているため、8対1で却下されました

 しかし、もし5月の地方選挙やスコットランド・ウェールズ議会選挙で労働党が予測通りの大敗を喫すれば、この防衛策も崩壊するという意見が出ています。つまり労働党議員や党員達は、ルールを変更してでも「勝てるリーダー」を求めているのです。


●バーナム・リスク

 しかし、バーナム氏が首相になれば、金融市場では大惨事が起きるかもしれません。

 バーナム氏は、過去に「英国の外国資金への依存を減らすべきだ」という主張をしていました。これは、自律的な国内経済の復興を求める有権者の耳には心地よく響きますが、慢性的な「双子の赤字」を抱え、「外国からの投資」に依存している現在の英国にとっては、この主張は極めて危険な劇薬と言わざるを得ません。

 外資を遠ざけるようなナショナリズム的、あるいは左派的な経済政策は、資本の流出を招き、さらなる金利上昇と通貨安を引き起こします。

 言い換えれば、バーナム氏が掲げる「富の再分配とインフラの国有化」は、スターマー首相が直面している目の前の混乱よりも、はるかに深刻な危機を英国にもたらす可能性があるという事です。

 バーナム氏以外の首相候補メンバーも、少なくともスターマー首相よりは左寄りと言われているため、財政規律を緩めることを何とも思わない人物が財務相になれば、英国はより長期的な信用失墜の始まりとなるかもしれません。


●ここからのマーケット

 為替に関しては、ユーロ/英ポンド 0.8600~0.8750ポンドのレンジ内であれば、特に大きな動きにはならないと考えています。

ユーロ/英ポンド 日足
ユーロ/英ポンド

(※筆者提供)

 問題は、長期金利でしょう。こちらは、英10年物国債利回りチャートですが、執筆時は4.54%です。これが4.60%を超え上昇(債券価格は下落)してくると、さらなる国債の投げが出て来ないとも限りません。

 そうなると、英ポンドにはネガティブな影響が出るため、英ポンド取引をする読者の方は、是非とも英10年物国債利回りをチェックするクセをつけてください。

英10年国債金利 日足
英10年国債金利 日足

(※筆者提供 TradingView


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