クロス円が底堅い。株が強く、他通貨で米ドル安が進んでいる影響で。米ドル/円は157.50~160.50円の狭いレンジに終始
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 イラン情勢に加え、ホワイトハウスで発砲事件があるなどリスクオフ的な要因満載ですが、リスクアセットの代表である株が強いですよね。
ウクライナの問題は最近あまり報道されなくなりました。ヘッドラインは次々と変わりますね。そして今週(4月27日~)は中銀ウィークを迎えます。
それでは叶内さん、さっそく先週(4月20日〜)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 中東情勢は不透明なものの、米国とイランの和平合意期待が根強いなか、株式指数は上昇しました。
S&P500は前週末比0.55%高で、4週連続の上昇。4月24日(金)に4月半ばから5回目の最高値更新となりました。AI・半導体関連が相場を牽引する展開が続いています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
ナスダック総合指数も最高値更新、先週は1.5%高で4週連続上昇。半導体株指数SOXも最高値更新、18連騰という記録的な上昇です。特にインテルの決算、強いガイダンスが好感されました。
半導体相場の象徴銘柄NVDAは4月24日(金)に昨年(2025年)10月以来の最高値更新(終値ベース)、時価総額が世界で初めて5兆ドル(約750兆円)を突破しました。
半導体関連の影響が大きい日経平均の上昇も目立ち、ついに6万円の大台にのせました。
一方でNYダウは前週末比0.4%安、TOPIXは1.2%安となっており、「歪み」も気にされています。原油価格高止まりが懸念される中、景気敏感株はさえません。
これは世界的にも言えそうで、半導体の影響が大きい台湾や韓国の株価指数が大きく上昇する一方、エネルギー価格上昇の影響を受ける欧州が出遅れています。
2極化という意味ではIBM、サービスナウの決算を受けて米ソフトウェア関連株の大幅下落も目立ちました。米10年債利回りも4.3%台に再び上昇気味でした。
ただ、これには好材料が出てきています。4月24日(金)、首都ワシントン地区のジャニーン・ピロ連邦検事が、FRB(米連邦準備制度理事会)庁舎の改修をめぐるパウエル議長への刑事捜査を終了すると表明しました。共和党のティリス議員が捜査を理由に承認を拒否していましたので、これでウォーシュ氏の議会上院での承認に1歩前進したとみられます。利下げ期待につながるかもしれません。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 リスクアセットの代表である株が強いので、為替市場もリスクアセット通貨である豪ドル/円やニュージーランドドル/円を中心に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が底堅く推移しています。豪ドル/円は115円をうかがう展開で、120円に向けて上昇中。
ただ、これは基本的に、他通貨で米ドル安が進んでいる影響でのクロス円の上昇です。
米ドル/円はイラン戦争勃発以来、157.50〜160.50円の狭いレンジでの神経質な展開に終始しています。これは当局の円安牽制が効いています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
加えて、先週の注目は通貨スワップ協定(Swap Lines)でした。
ベッセント米財務長官は、ペルシャ湾岸の多数の同盟国に加え、複数のアジア諸国から米国に、通貨スワップ協定の提供要請があったとしています。そのうえで、国外での米ドル建て融資を支援するような取り決めがまとまる可能性が指摘されています。
そもそも、通貨スワップ協定とはなにか? 2つの中央銀行間で、あらかじめ決められた為替レートで自国通貨を交換する協定です。
ベッセント米財務長官は「通貨スワップ協定は、米ドル資金市場の秩序を維持し、米国資産が無秩序に売却されるのを防ぐためのもの」と説明しています。
イラン戦争による米ドル急騰が、米ドルペッグ制を維持する国々に介入圧力をかけており、それへの対応策として浮上したのが、通貨スワップ協定です。
もっと簡単に言うと「必要なときに米ドルを借りられる契約」のこと。
相手国の中央銀行はいったん自国通貨を担保のように差し出して、米国から米ドルを受け取る。その後、決められた条件で米ドルを返して、自国通貨に戻す。そのため、「米ドルが足りない!」となっても、市場で無理に米ドルを買いに行かずに済むといった流れが想定されます。
この通貨スワップ協定に関してはいろいろな指摘があるのですが、FT(フィナンシャル・タイムズ)のジリアン・テットが面白い視点で解説しているので紹介しています。
金融危機の際、これまではFRBが中心となって、世界の中央銀行へ米ドルを貸し、金融市場を落ち着かせてきました。
しかし今後は、米財務省やホワイトハウスが『味方には米ドルを貸す、逆らう国には貸さない』という形で使う可能性が出てきていると警鐘を鳴らしています。
振り返ってみれば、2008年のリーマン危機や2020年のコロナ危機では、FRBが他国の中央銀行と協力して米ドルを供給しました。この時に大事だったのは、FRBが政治からある程度独立した専門機関と見られていたことです。FRBは金融安定を最優先に動くため、同盟国・市場はFRBを信頼し、危機時に各国中央銀行が協調しやすいという関係を築いていました。
つまり、米ドルの通貨スワップ協定は米国の政治的ご褒美ではなく、世界金融の安全装置として機能してきました。
これが変わろうとしているというわけです。今後は米国に協力する国が米ドルスワップを提供してもらえる。逆にいえば「金融危機時に見捨てられるかも」=「米国側につかないと危ない」という発想になります。
米ドルを貸す・貸さないを、外交上の武器として使われるのではたまったものではありません。
この文脈は「米ドルは急落はしないまでも軟調に推移する」という個人的な考えに一致します。
今週は中銀ウィークなので、主要中銀の金融政策決定会合については展望で触れますね。
それでは叶内さん、今週のイベントと株の注目点をお願いします。
米ドル/円は160円超えで実弾介入の可能性が高く、ショートでヘッジを。クロス円のロングはキープ
MC叶内 日本は水曜(4月29日)に祝日をはさみ、この週末からは本格的にGW(ゴールデンウィーク)に突入します。その前にポジションを落としておきたい投資家もいるでしょうし、もう調整を終えているかもしれません。ただでさえ、反応が鈍くなったとはいえ、中東情勢のヘッドラインリスクがあるなかでの長期休み、そして休み明けすぐにSQ(特別清算指数)がやってきます。
そして、今週は重要イベントが目白押しです。まずは中銀イベント。4月27日(月)から4月28日(火)にかけて日銀会合(日銀金融政策決定会合)が開催されます。4月28日(火)には「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)が公表され、植田日銀総裁が会見予定です。
4月28日(火)から4月29日(水)にかけてFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、4月29日(水)にはパウエルFRB議長会見が予定されている。4月30日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会、MPC(英金融政策委員会)が開催されます。日銀のかじ取りは難しそうですね。。。
そして、大手ハイテクの決算発表が集中します。4月29日(水)にはアルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフトの4社、4月30日(木)にはアップルが1~3月期決算を発表する予定です。設備投資額とそれに対するマーケットの反応が注目です。そのほか、4月28日(火)にコーニング、シーゲイト、4月30日(木)にキャタピラーが決算発表予定。
国内では4月27日(月)の日立、アドバンテスト、4月28日(火)の信越化学、三菱電機、NEC、4月30日(木)の東京エレク、村田、レーザーテック、5月1日(金)の総合商社などが注目です。
経済指標は、海外で4月28日(火)に米住宅価格指数、4月CB消費者信頼感指数、4月29日(水)に住宅着工件数、4月30日(木)にユーロ圏1~3月期GDP、米3月個人所得・個人支出・デフレーター、米1~3月期GDP、5月1日(金)にISM製造業景況感指数の発表があります。米国債入札も予定されています。
国内では、4月30日(木)に3月鉱工業生産、4月消費動向調査、5月1日(金)に4月東京都区部消費者物価が発表予定です。
需給面では、月末の米国年金リバランスが250億ドルの米国株売りとなる見込みであり、四半期末ではない月末としては過去最大金額となるそうです。一方、米国税還付による資金流入期待は5月中旬まであります。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 中銀ウィークなので、まずそのコンセンサスから。
4月27日(月)から4月28日(火)にかけては日銀会合。金利は据え置きが予想されています。焦点は金利変更ではなく、「展望レポートの物価・成長見通し」と「夏の利上げをどう示唆するか」についての植田日銀総裁の会見です。
4月28日(火)から4月29日(水)にかけてはFOMC。金利は据え置きが予想されています。注目はこちらも4月29日(水)のパウエルFRB議長会見です。
4月30日(木)のECB理事会も金利据え置き予想。MPCもありますが、金利は据え置き予想です。
マーケットは、4月29日(水)のパウエル会見が最大のボラティリティイベントと見ているようです。
先週に続いて、ユーロ/米ドルを中心に米ドルは軟調に推移すると想定していますが、米ドル/円だけは別です。
原油高の影響で数カ月後には日本の貿易赤字が拡大することが判明するため、円安は変わらず。
結果、ユーロ/円が200円に向かうというスタンスは変わりませんが、気になるのが当局の円安牽制コメント。先週も片山さつき財務相が登場しました。
片山さつき財務相は為替市場について、日本の当局者は米国側と24時間態勢で緊密に連絡を取り合っていると述べた。過去の為替介入は効果があったとし、当局は再び行動を取り得ると語った。介入に関しては「われわれにフリーハンドがある」と述べ、あらゆる可能性が想定される中でも、強い姿勢を貫いていくと表明した。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円のマーケットのボラティリティが極めて低いにもかかわらず、片山さつき財務相のコメントが頻繁になってきたことが、個人的にちょっと気になるところ。
中銀ウィークというイベントの中で、仮に米ドル/円が160円台に入った場合、当局が実弾介入に入る可能性が高くなってきているので要注意です。
ユーロ/円、豪ドル/円はロングキープでいいと思うのですが、当局の動きが気になるため、米ドル/円が160円台に入れば、ショートでヘッジしておいたほうがいいかもしれませんね。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。























株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)