米ドルの買い戻し続く。中東情勢の混迷が収まらず、株のようなリスクアセットから資金を抜いて、キャッシュへ戻す動きに
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
MC叶内 西原さん、中東情勢の混迷が収まらないですね。
トレーダー西原 相場はファンダメンタルズで動いているわけではなく、流動性を確保するためにキャッシュ、つまり米ドルの買い戻しが続いています。
それでは叶内さん、さっそく先週(3月23日〜)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 イランでの戦争の出口が見えないなか、米国主要3指数はそろって7カ月超ぶりの安値を付けました。
S&P500は前週末比2.12%安で5週連続の下落。2022年4月から5月にかけての7週続落以来の長さとなりました。トランプ米大統領が停戦に前向きな発言をするといったん買い戻されるものの、イラン側の発言との食い違いなどから不安は沈静化せず、原油価格も下げていません。インフレ懸念が高まり、年内の利下げ観測が消滅、金利が上昇していることも嫌気されています。
また、未成年者のSNS依存をめぐる裁判で「有害」とされたメタなど、ビッグテックの下落も目立ちました。
Googleが新しい技術を発表したことで、この1年ほど急伸してきた半導体メモリ関連が急落。プライベートクレジット問題も残り、金融株もさえませんでした。
一方、日経平均は前週末比54銭(0.0%)高の5万3373円07銭と、かろうじて4週ぶりに反発、TOPIXも1.1%の上昇となりました。3月期末の権利取りの動きや、配当再投資への期待があったものとみられます。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 相変わらず、株や為替、そして債券や仮想通貨も含めたすべてのマーケット参加者が注目しているのが原油です。
その原油相場の鍵を握っているのが中東情勢ですが、ますます混沌としてきました。
中東紛争勃発時は、マーケットにまだ早期解決の期待があったため、エネルギーの供給国かどうかが問題でした。
つまり、エネルギー供給国の米ドルや、カナダドル、豪ドルは強く、エネルギーを輸入している日本円やユーロは弱いというのがコンセンサス。
しかし、このイラン戦争が地上戦に移行する可能性が出てきたため、マーケットはファンダメンタルズとは関係なく、キャッシュ、つまり米ドルに戻す動きとなっています。
たとえば、株のようなリスクアセットなどから資金を抜いて、流動性のある米ドルに戻しているわけです。
イラン戦争勃発時から本稿執筆時点までの、主要通貨の対米ドル騰落率を見てみると、すべての主要通貨に対して米ドル高となっており、米ドル独り勝ちの状態。

イラン戦争の行方に話題が集中していますが、今週は3月末でもあり、本邦企業の半期末の動きも気になりますね。
そしてケアするべきは日銀の介入。そのあたりは展望で触れますね。
それでは叶内さん、今週(3月30日~)のイベントと株の注目点をお願いします。
米ドル/円を辛抱強く押し目買い! 三村財務官の「そろそろ断固たる措置」発言で介入も近そうだが、円安のトレンドを変えるのは難しい
MC叶内 引き続きイラン戦争が終結に向かうのか、ホルムズ海峡は通れるのかに投資家の関心は向かわざるを得ません。また、中東のエネルギーインフラが大きく破壊され、修復して再稼働させるには3年から5年かかるとも言われており、影響は長引くかもしれません。
そのほかでは、先週後半の半導体メモリ関連の動向が気になります。過剰反応だとの声もありましたが、「Google版『DeepSeek』だ」との見方もありました。
米国の経済指標では、4月1日(水)にADP雇用報告、4月3日(金)に(聖金曜日ですが)米雇用統計が発表になります。2月の雇用統計は市場予想を大きく下回りました。特殊要因はあったものの、「雇用は底堅い」という市場の信頼が崩れる結果となりました。今回は非農業部門雇用者数が+5.7万人と回復予想になっています。失業率は4.4%で横ばいの見込みです。
日本では、3月31日(火)に東京都区部CPI(消費者物価指数)が発表になります。先週、日銀はCPIの新たなコア指標を拡充し、2月の前年比上昇率は2.2%と発表しました。4月会合での追加利上げの思惑が高まるかもしれません。
4月1日(水)には日銀短観が発表になります。中東情勢悪化の影響は一部の反映にとどまるでしょうが、それでもどの程度の悪化なのか、どの業種で顕著なのかなど注目されそうです。
日本株は需給面に注意です。3月30日(月)の大引けでTOPIXのリバランス、3月31日(火)の大引けで日経平均の銘柄入れ替えがあります。日経平均採用銘柄には約1900億円程度の買い需要になります。
先週末下支えになっていた配当再投資の買いは、3月30日(月)の寄り付きでほぼ一巡するそうです。3月物の権利取りも終わり、需給面での支えはなくなります。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 まず、注目通貨は米ドル/円です。米ドル全面高の展開の中、ついに160.00円をブレイク。3月30日(月)早朝には、一時160.46円の高値に到達しました。
そこで三村財務官が登場。「この状況続けばそろそろ断固たる措置」とコメントしたため、米ドル/円は160.00円を割り込んできています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
「そろそろ断固たる措置」と言っているので、早晩単独でも介入をするのでしょう。
ただ、それが160円台なのか、ノックアウトがあると言われている162.00円超えなのか? 問題は単独介入の効果がどの程度なのか?
原油もLNGも輸入に頼っている日本ですので、円安のトレンドを変えるのは難しい。
仮に日銀が年内3〜4回の利上げをすれば、米ドル/円のトレンドを一時的に変えることはできるのでしょうが、連続利上げは日本株の暴落を誘引するので難しい。
結果、円安のトレンドを変えるのは極めて困難であるため、仮に日銀の実弾介入が出れば、そこが米ドル買いのチャンスでしょうか?

(出所:TradingView)
一方、現状までの報道によれば、戦争の長期化は避けられないというのがマーケットのコンセンサスですが、突然早期解決の目処がたてば、ユーロ/米ドルなどは踏み上がる可能性があるため要注意です。

(出所:TradingView)
イランの戦局の動向によってマーケットは神経質に動くため、リスクは限定的にして短期トレード中心に。
株のようなリスクアセットの資産は減らして、実弾介入の可能性が高まった米ドル/円を辛抱強く押し目を待って米ドル買いというスタンスでしょうか?
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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