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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル/円の行方を左右するのは日米欧の金融政策会合ではない!? AI関連株の急落で市場が揺れるなか、本当に警戒すべきは米中間選挙!

2026年10月27日(火)14:41公開 (2026年10月27日(火)14:41更新)
志摩力男

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AI関連株の急落を受けてリスク回避が広がる

 今週(10月26日~)、FOMC(米連邦公開市場委員会)、ECB(欧州中央銀行)理事会、日銀金融政策決定会合が行われます。

 3会合はいずれも「据え置き」が市場のメインシナリオ。焦点は12月会合に向けたシグナルです。

 このところAI関連株の急落をきっかけにリスク回避が広がり、米ドル/円が158円前後のレンジを下抜けて156円台まで円高に振れました。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView)

 こうした市場変動が、各中央銀行の関係者に多少影響を与える可能性があります。

中央銀行金融政策イベントと注目ポイント

(※筆者提供)

●FOMC(10月27~28日)

 政策金利の据え置きがほぼ確実視されており、焦点はウォーシュ議長が足元の株安と金利低下をどう評価するかに移りました。

・9月会合で0.25%利上げし、FF金利の誘導目標は3.75~4.00%。9月のドットチャート(ドットプロット)中央値は「年内あと1回の利上げ」を示唆。

・CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchでは、10月据え置きの確率が約90%、12月利上げは73%程度。Polymarket(賭けサイト)でも10月据え置き確率は94%。

FedWatchによるFOMCの政策金利予想

(出所:FedWatch)

・注意すべきポイント

1.直近の株安・金利低下をどう評価するか。米長期金利の低下で金融環境が緩んだ面と、AI関連株の急落と信用不安で引き締まった面があるが、市場の混乱や景気への配慮を示せば12月利上げ観測が後退しドル売りになる可能性がある。

2.9月のドットプロットでは年末までにもう1回の利上げを予想しています。ウォーシュ議長はフォワードガイダンスを否定しているが、会見で12月利上げへの示唆があるか?

3.中間選挙直前という制約。選挙の6日前で、選挙直前の利上げは1990年以降1度しかない。

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ECB理事会(10月28~29日)仏国債市場の対応に注目

 預金金利2.50%での据え置きがコンセンサス。急落する仏国債市場にECBがどう対処するかがポイントとなりそう。

 結果は日本時間29日(木)22時15分、会見は22時45分です。今回はスタッフ見通しが出ない会合で、新しい見通しは12月17日に公表されます。

・ECBは6月と9月に0.25%ずつ利上げし、預金金利は2.50%。ユーロ圏の9月インフレ率は3.7%に上振れています。

・12月の2.75%への利上げは約75%織り込まれている。12月に利上げすれば、今回の利上げ局面はいったん終了と見られている。

・ECBの総裁人事も注目。フランス大統領選挙で、ルペン氏が勝つ可能性が高い。潜在的に欧州委員会を否定する極右政権が誕生する前に、次期ECB議長を選出するほう良いとの認識が高まっている。

●注目すべきポイント

1.仏スプレッド拡大を受けてTPI(伝達保護措置)による国債購入の可能性があるかどうか。ラガルド総裁のコメントに注目。

2.12月利上げへのシグナル。ラガルド総裁は、9月以降の長期金利上昇が景気を減速させ、エネルギーコストの転嫁を和らげると述べています。会見がハト派寄りになるリスクは前回より高まっています。

3.ラガルド総裁の去就。早期退任の正式表明があれば、後任候補(クノット氏、エルナンデス・デコス氏)の政策スタンスを巡り、ユーロが振れやすくなります。

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日銀金融政策決定会合(10月29~30日)

 政策金利1.25%での据え置きがほぼ確実で、焦点は展望レポートの物価見通しと、植田総裁が12月利上げにどこまで含みを持たせるか。基調的物価上昇率が2%に到達したと宣言するかもしれません。

 しかしながら、世界的な株安という新たな材料が加わり、日銀が利上げを急がない理由とする可能性もあります。

 2024年8月に日銀の利上げと米雇用統計悪化を受けて、米ドル/円が急落し、日本株も瞬間的に大きく下落しましたが、その後、内田副総裁が「金融市場が不安定な状況で利上げすることはない」と明言し、相場をサポートしました。

 結果は30日(金)昼ごろ、植田総裁会見は15時30分ごろの見込みです。同日朝8時30分には10月東京都区部のCPIも発表されます。

 日銀は9月に1.00%から1.25%へ利上げしました。31年ぶりの高水準で、浅田委員と佐藤委員が反対し7対2での決定となり、2人の反対がその後の円安要因とみなされました。

・市場参加者の多くが今会合では政策据え置きと見る一方、次の12月会合での利上げ確率は8割近くなっています。

・23日の9月全国CPIは、コアが前年比2.1%と9カ月ぶりに2%台、コアコアが2.4%で、いずれも予想通りでしたが、短期の物価上昇ペースが加速しています。

・植田総裁は16日、基調的な物価上昇率についてこれ以上の上昇は容認できないとの認識を示しました。氷見野副総裁も21日、物価上振れリスクが高いなかで緩和の調整が遅れれば景気悪化につながりうると指摘しています(タカ派的)。

●注目すべきポイント

1.展望レポートの物価見通し。基調的な物価上昇率が2%程度にほぼ到達したとの判断と、2027年度コアCPI見通し(7月時点2.4%)の小幅な引き上げが見込まれています。

2.植田総裁の12月への言及。総裁・副総裁の最近の発言はタカ派寄りで、会見でもこの流れが確認されれば円高要因になります。

3.株安の評価。世界的な株安や市場の混乱が長引けば、日銀が利上げに慎重になり、12月の利上げ観測が後退して円売りにつながる可能性もあります。

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金融政策イベントよりも11月3日の米中間選挙が超重要

 総合的に見て、今回は個々の政策決定会合の影響は限定的かなと思います。それより、11月3日(火)に控える米中間選挙の影響が大きいと思われます。

 共和党の敗北はトランプ大統領の敗北であり、トランプ大統領が敗北すると、データセンター投資等がスローダウンする可能性大です。

(C) Chip Somodevilla/Getty Images News

中間選挙での共和党の敗北はトランプ大統領の敗北でもある(C) Chip Somodevilla/Getty Images News

 データセンター投資がスローダウンすると、米国経済もリセッション(景気後退)入りしかねないと見ている人も多くいます。そうなると、株安・米ドル安が加速します。

 また、中間選挙後にトランプ大統領がどのような行動に出るのか、そこに世界も戦々恐々とさせられています。

 選挙で敗北しても、議会が新しくなるのは、次の年の1月以降となります。その間は、ある意味トランプ大統領にフリーハンドが与えられます。

 イラン攻撃があるのか、それともキューバなのか、個人的なレガシー作りに邁進すると思われます。要警戒でしょう。


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