米ドル/円がようやく下落! AI・半導体株安で米国債に資金流入、米2年債利回りが低下
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(10月19日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 コアウィーブショックの余波で、AI・半導体関連への売りが続いた1週間でした。
米スペースXの好決算、特にAI関連の売り上げ急増を評価して戻りを試す場面もありましたが、メタ・プラットフォームズの決算発表時に示された設備投資計画を受けて、再び半導体株への売りが強まりました。
メタは10年以上ぶりにフリーキャッシュフローがマイナスとなり、信用リスクを示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も過去最高を更新しました。また、半導体製造装置の米ラム・リサーチの決算も中国需要の鈍化を想起させました。
S&P500は前週比0.5%安、ナスダック総合指数も同0.7%安と、ともに続落。前週に11%下落した半導体株指数SOXは同3.2%安と、3週続落となりました。
半導体株の寄与度が大きい日経平均は前週末比2631円(4.0%)安の6万2693円と2週連続で下落し、約3ヵ月ぶりの安値水準をつけました。TOPIXは前週末比2.5%安で、銀行株の下げが目立ちました。
NYダウは週間では0.4%高と3週連続プラスを保ちましたが、中東情勢の悪化で原油先物が上昇し、金曜(10月23日)には大幅下落しています。
安全資産とされる米国債に資金が流入し、米10年債利回りは3週連続で低下。一時5%を下回りました。
個別では、ネットを支える「PHP」に重大な脆弱性が発見され、サイバーセキュリティ関連が賑わいました。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の為替市場は、米ドル/円が久しぶりに動意を見せた1週間でした。一時156.08円まで下落しています。
最大の要因は、米2年債利回りの低下だとみています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
9月29日(火)に一時4.9576%と、5%目前まで迫りましたが、この高値を頂点に上値が重くなり、先週は一気に4.68%前後まで低下しました。
叶内さんのお話にあったように、AI・半導体株が売られる中で安全資産の米国債に資金が流れ込んだことが大きいですね。
以前からお話ししているとおり、私はAI投資の拡大を背景に米ドルロングが過剰に積み上がっており、その調整で米ドル安になると見ていました。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル安を招くAI株急落、欧州の混乱でユーロにも逆風! 主役は避難通貨のスイスフラン買い。注目の通貨ペアは?(10月22日、西原宏一)
⇒米ドル買いがリスクオフでも続かず! AI株投資と米ドルの深い関係とは? 米ハイテク企業の決算発表と避難通貨スイスフランに注目(10月19日、西原宏一&叶内文子)
実際、AI投資の減速が意識されると、まず米ドル/スイスフランを中心に米ドル安が進みました。
米ドル/円はなかなか下がりませんでしたが、米2年債利回りの低下を受けて、ようやく下落してきました。米ドル/円は日米の短期金利差にもっとも敏感だと改めて感じています。
もう1つ目立ったのが、円の全面高です。米ドルだけでなく、ユーロやスイスフランに対しても円が買われました。投機筋だけでなく、実需の円買いも出ていたようです。
それでは叶内さん、今週(10月26日~)のイベントと注目点をお願いします。
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FOMC、日銀会合、米ハイテク決算に注目! 米2年債利回りを見ながら米ドル/円の戻り売り
MC叶内 先週はメタが相場急落のきっかけをつくりました。今週もハイパースケーラー(※)の決算発表に注目せざるを得ません。
(※「ハイパースケーラー」とは、クラウドサービスを大規模に構築・運用する企業のこと。アマゾンやマイクロソフト、アルファベット、メタなどが含まれる)
10月28日(水)にアルファベット(GOOG)とマイクロソフト、29日(木)にアマゾンが決算発表予定です。
半導体関連の決算もあります。28日(水)にアドバンテスト、29日(木)に米インテル、米サンディスク、30日(金)に東京エレクトロン、キオクシアと続きます。
22日(木)にエヌビディアのフアンCEOが、ネオクラウド需要は「桁外れだが資本不足だ」と指摘したと伝わりました。AI産業ではGPUが足りない、電力が足りないと言ってきましたが、「資本」という新しいボトルネックが加わってきているように見えます。
23日(金)に公表された日銀「金融システムレポート」では、AI関連投資の収益性に対する期待が低下し、海外ノンバンクが保有資産を調整することで、金融市場のショックが増幅される可能性を指摘していました。
AIと金融をめぐる動きは今後も注視していきたいと思います。
そして27日(火)~28日(水)はFOMC(米連邦公開市場委員会)、29日(木)~30日(金)は日銀会合(日銀金融政策決定会合)が開催されます。
超重要イベントが重なり値動きが大きくなることも想定される一方、翌週、11月3日(火)に米国中間選挙を控えていて、様子見ムードもありそうです。
経済指標は、米国で27日(火)に米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、29日(木)に米PCE(個人消費支出)物価指数、米7~9月期GDPが発表されます。
国内では27日(火)に9月企業向けサービス価格指数、29日(木)に10月消費動向調査が発表される予定です。同日には2年債の入札もあります。
30日(金)には10月東京都区部CPI(消費者物価指数)、9月鉱工業生産、9月完全失業率、9月有効求人倍率が発表される予定です。
そのほか、26日(月)から中国共産党第5中全会、27日(火)にはイスラエルの総選挙があります。
決算発表は、米国で26日(月)のベライゾン、27日(火)のコーニング、シーゲイト、29日(木)のキャタピラーなどの注目度が高いでしょう。
国内では27日(火)の信越化学工業、キヤノン、28日(水)の日立製作所、NEC、29日(木)に富士通、半導体関連のイビデン、キーエンス、30日(金)の村田製作所、レーザーテック、SCREENなどが注目されそうです。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 今週は基本、米ドル/円の戻り売りでいきたいと思っています。
AI投資の減速による米ドルロングの調整は、まだ始まったばかりだと考えています。
今週はアルファベット、マイクロソフト、アマゾンと、ハイパースケーラーの決算が続きます。設備投資の計画や資金調達への懸念がさらに強まれば、米2年債利回りが一段と低下し、米ドル/円の下押し圧力になります。
米2年債利回りの次の節目は4.58%、その下が4.54%です。これらの水準を割り込んでくると、米ドル/円の下落にもう一段弾みがつくとみています。
ただし、今週は超重要イベントが目白押しです。リスク管理はいつも以上に慎重にいきたいところです。
まず、28日(水)のFOMCの結果発表です。利上げ観測はいったん後退していますが、29日(木)にはPCE物価指数も控えています。
FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレへの警戒を強く打ち出せば、米2年債利回りが上昇し、米ドル/円も反発する可能性があります。米2年債利回りが4.58%近辺から切り返すかどうかが、最大のチェックポイントです。
次に、30日(金)の日銀会合の結果発表です。市場の織り込みを超えるタカ派的なサプライズは期待しにくく、円高の直接のきっかけにはなりにくいとみています。
むしろ「タカ派的ではなかった」と受け止められて、円が売られるリスクにも注意が必要です。
さらに翌週(11月2日~)は、11月3日(火)に米中間選挙、4日(水)に米財務省の四半期国債発行計画と続きます。
FOMCと日銀の結果発表、そして中間選挙と続く2週間は、値動きが大きくなりそうです。
基本は米ドル/円のショートですが、無理にポジションを膨らませず、イベントを1つずつこなしながら、戻りを丁寧に売っていきたいと思います。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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