■テクニカルに専念できれば、底打ちは予測できた
このような考え方ができるならば、マーケットはわかりやすいものとなるだろう。実例として、次の3つを挙げてみたい。
(出所:米国FXCM)
まずは、ユーロ/米ドルの日足チャート(3月7日作成)だが、ギリシャ問題云々など複雑に考えず、「基本的に、ユーロの調整は前の調整波と同じリズムを踏む」と見れば、いったん底打ちしてもおかしくないと考えられた。
(出所:米国FXCM)
続いては、英ポンド/米ドルの1時間足(3月7日作成)で、こちらも同じリズムで2回ほど大きく押していたので、短期スパンで見れば、いったん底打ちしてもおかしくはなかった。
ちなみに、この2枚のチャートは、筆者がツイッターで3月7日(水)につぶやいた際に提示したものだ。
前述のように、「ギリシャ問題は何とかなる」と筆者は思っていたので、テクニカルアナリシスに専念できたわけだ。
■ユーロの重要な節目は、ラインを引くだけで結構わかる
最後にもう一度、ユーロ/米ドルの日足チャートを見てみよう。これは3月8日(木)に作成したものである。
(出所:米国FXCM)
3月7日(水)の安値について、単純に考えれば、1月高値と2月高値を結んだラインを引き、それと平行に1月16日(月)安値を起点にラインを引けば、そこで合致しただけの話ではないだろうか?
ユーロの重要な節目については、ラインを引くだけで結構わかるものである。上記の他にも、このチャートから多くのことを「発見」できるだろう。
要するに、ギリシャ問題云々よりもドルインデックスのサイクル、ECB(欧州中央銀行)の金利政策動向よりも相場自体の内部構造とリズムが、ユーロの値動きを支配してきた。
老子曰く、「大道至簡」。相場のことは相場に聞けばよい。
本来、相場というものは、極めてシンプルでわかりやすいのかもしれない。
■クロス円は、反落前にいったんは高値を更新か
それでは、相場はこれから、どのように展開していくのだろうか?
まず、米ドル/円を除いて、ドルストレート通貨ペアに関しては、楽観視できるシナリオはあまり描けないと思っている。
目先で、ユーロをはじめとする諸外貨は、ギリシャ問題の一服で底割れを回避できるかのように見える。
だが、テクニカルの視点では、やはり、ドルインデックスの「78」割れがないかぎり、なかなか安心できない。つまり、米ドル安があまり進まない可能性がある。
また、ファンダメンタルズの視点では、もちろん、FRBの「次の一手」に注目が集まるが、バーナンキ議長が「QE3」に言及せず、かつ、マスコミに「不胎化QE」をリークしていることは、非常にあやしい。
つまり、足元でマーケットが想定しているほど「QE3」実施の可能性は高くないと見ており、米ドル安が進むかどうかは不透明だ。
続いて、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に関してである。
まず、米ドル/円は大幅上昇しており、一見すると買われ過ぎに見えるが、実際に検証していくと、82円台に乗せないかぎり、じつは「オーバーボート(買われ過ぎ)」とは言えないようだ。
ゆえに、ユーロ/円や英ポンド/円などクロス円が見せた3月7日(水)の下押しは、調整波のボトムに過ぎない。もし、上昇余地がそう大きくはなく、これから反落してくるとしても、いったんは高値を更新する蓋然性が高い。
このあたりの検証を含め、FRBの話とともに、また次回に詳説したいと思う。
(3月9日 東京時間13:00執筆)
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