■上値重たいが、下値も限定的なユーロ/米ドル
ただ、こうしたリスクオンの展開にまったく追随してこないのがユーロです。
6月26日(火)の欧米市場では、メルケル独首相が「私が生きている限り、欧州は債務の分担はしない」と驚愕のコメント。
6月27日(水)も、ユーロ共同債に対するメルケル独首相のたび重なる反対表明がユーロの上値を抑えている展開。
6月28日(木)からのEU(欧州連合)サミットを控えていることもあり、このところのユーロ/米ドルは、上記のようなヘッドラインや悪材料で、下げたところでは高い確率で買い戻しが入るため下げ渋っています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
しかし、こうしたコメントは「ユーロ債務危機の収束は困難を極める」という印象を多くのマーケット参加者に与えるため、中期的にはユーロの上値を抑えることになります。
■再び注目を集めるユーロ/豪ドル相場
こうした中、欧米の参加者の注目を浴びているのがユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)。
特に2011年11月の高値1.3811ドルから2012年2月7日の安値1.2133ドルまで約1700ポイントの急落を演じたユーロ/豪ドルが再び注目されています。
(出所:CQG)
この背景には、ドイツのブンデスバンク(ドイツ連邦銀行)が豪ドルのリザーブを増やすといった観測記事が出たことがまず1つあります。
加えて、ユーロ/スイスフランのマーケットに執拗に介入しているスイスSNB(国立銀行)が、通貨分散でユーロ/豪ドルやユーロ/英ポンドの売りをマーケットに持ち込んでいる、という見方がマーケットに浸透してきていることも挙げられます。
来週からは7月に入り、2012年の後半戦に突入します。
6月に調整で大きく反発したユーロですが、いっこうに進展しないユーロ債務危機を背景に、再びユーロの下値余地が拡大してきました。
当面はドルストレート(米ドルが絡んだ通貨ペア)であるユーロ/米ドルよりも、下げ基調が徐々に鮮明になってきたユーロ/豪ドルの動向に注目です。
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