■日経平均の下落は一服するが、急反発はしないだろう
さて、5月23日(木)に、日経平均が1000円以上急落してから、市場の雰囲気が一変してしまいました。その後も荒い動きを続けながら、下落してきています。
(出所:株マップ.com)
個人的には、そろそろこの下げも一服するのではないか、と思っています。ただ、ここから急反発して上昇していくかというと、若干疑問を感じます。
理由としては、まず1点目に、今回の混乱で「市場関係者に安心して買っていく自信がなくなってきたこと」が挙げられます。「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがありますが、のど元を過ぎるのに、少し時間がかかるということです。
2点目は、「プロの投資家にとって、1つ大きな誤算があったということ」です。それは、これほど日本の長期金利が急上昇すると思っていなかったということだと思います。
5月上旬から中旬にかけて、日本の長期金利が急上昇しました。
(出所:CQG)
これは、米国の長期金利が急上昇した影響が大きいとは思いますが、日本の長期金利が急上昇する、つまり日本の国債価格が急落するということは、金融市場にたずさわるものとしては、非常に不安材料になります。
結局このことを心配して、日本株を大量に売ったというのが本当のところではないかと思います。となると、今後は、このリスクを意識しながらの投資となるため、これまでのように強気一辺倒ではいけないということです。
まだ全体的には、さらなる株高、円安の余地があるとは思っていますが、もう少し冷却期間が必要だということではないでしょうか。
■安倍政権第三の矢「成長戦略」への失望から日経平均急落
ただ1つ心配なのは、安倍政権が発表した第三の矢である「成長戦略」です。6月5日(水)、安倍総理が講演で、成長戦略の概要について発表しました。
その直後から、日経平均は急落しました。中身が踏み込み不足だということで市場が失望したのが要因です。
(出所:株マップ.com)
今回は、目標はいろいろと並んでいますが、本当に痛みを伴う改革を先送りしています。たとえば、農業に関しても、もっとも必要な株式会社の参入を促す農地法の改正を外してしまいました。
また、医療では、混合医療の解禁も極めて部分的に留めてしまいました。中国、韓国などと競争するために不可欠である法人税の引き下げも盛り込まれていません。
これでは「絵に描いた餅」になりかねません。この部分が中途半端に終わってしまえば、また日本経済も腰折れしてしまいます。今後の、政府の姿勢をよく見ておく必要があることを書き添えておきます。
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