■中長期の米ドル高トレンドは変わらずもスピード調整は必要
今週(3月30日~)はイースターホリデーを控えて、米ドル/円、ユーロ/米ドルとも、ポジション調整が主体のマーケットであり、レンジ圏での推移。
ただ、米国の経済指標はまだら模様であり、4月1日(水)に発表されたADP全米雇用報告も芳しくない結果に。
発表によれば、今回の数字に影響を及ぼしたのが、原油価格の下落と米ドル高。
(出所:米国FXCM)
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米国経済が好調であることは明白ですが、第1四半期のユーロに対する米ドル高のスピードが速すぎたため、米国企業の対応が遅れがちになっていることもあるのでしょう。
ただ、ルー米財務長官は「強い米ドル(strong dollar)政策」をまったく変更していません。
強いドル、堅調な米経済の反映であれば好ましい=ルー財務長官
ルー米財務長官は31日、堅調な米経済を反映してドルが上昇している場合には特に、強いドルが米国にとって好ましいとの認識を示した。米中関係に関する講演の後、聴衆に対して述べた。
長官は「強いドルは米国にとって好ましい。他国と比較して堅調な米経済を反映している場合には、特に好ましいと言える」と強調。一方、「不公平な介入の結果、ドルが上昇しているのであれば全く別の話だ」と述べた。
出所:ロイター
米ドル高のスピードが米国経済に重大な悪影響を与えるようであれば、話は変わるのでしょうが、現状のレベルであれば、問題ないということなのでしょう。
実際、米ドル高が困るのであれば、米国は利上げをしなければいいわけですから。
結論としては、中長期の米ドル高トレンドは変わらないのでしょうが、ある程度のスピード調整は必要ということになります。
■日銀追加緩和期待による反動の円高に注意
ここで注目されるのが、昨年(2014年)後半に急速に米ドル高となった米ドル/円。
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前回のコラムでご紹介させていただいたように3月10日(火)でトップアウトしたと思われる米ドル/円は、本稿執筆時点で119.50円で推移。
【参考記事】
●米当局から米ドル高牽制コメント相次ぐ! 米ドル/円は115円に向けて下落開始か(3月26日、西原宏一)
マーケットでは、前述の山本幸三議員のコメントの影響で、にわかに日銀の追加緩和期待が高まっていることもあり、その反動での円高余地も拡大しています。
このところの米国の経済指標は、米ドル高の影響もあって少し減速気味であるため、4月3日(金)の米雇用統計の数字には要注意。
【参考記事】
●なぜ、4月3日の米雇用統計時の相場はいつも以上に荒れる可能性があるのか?(3月31日、西原宏一&松崎美子)
米雇用統計の数字が好ましくなければ、米ドル高の調整スピードが加速する公算が高まっています。
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引き続き、日銀の追加緩和期待の高まりでも上値を伸ばせず、調整モードが深くなってきている米ドル/円の行方に注目です。
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