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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

大義名分なき追加緩和を見送った日銀!
米FOMC利上げは6月ではなく9月頃か

2015年04月30日(木)17:09公開 (2015年04月30日(木)17:09更新)
今井雅人

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■かなり下方修正された米FOMC

 米国では、4月28日(火)~29日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 今回は、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の定例記者会見などが予定されていなかったこともあり、声明文のみの判断となりましたが、経済の現状認識が、「冬季の経済成長は鈍化した」などと、かなりの下方修正となりました。

 その理由として、「一過性の要因を一部反映している」と断ってはいますが、29日(水)に発表された1-3月期米GDP速報値が、年率換算0.2%と市場予想の1.0%を大幅に下回る弱い数字となったことからしても、そう簡単に回復の軌道に乗るとも思えず、どうしても時間がかかってしまうことは否めません。

■6月FOMCでの利上げ可能性への言及はなし

 今回の声明文では、フォワードガイダンスを「委員会はさらに労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想している」と、前回と同じ文言としましたが、同時にカレンダー的な言及を削除しています。

 前回は、「4月FOMCでの利上げの可能性は低い」と、次回FOMCでの利上げ可能性に言及。今回も、6月FOMCでの利上げ可能性への言及に注目が集まっていたのですが、あえて言及しないという判断となりました。

 前回の議事要旨からも明らかなように、数名のタカ派メンバーからは、6月FOMCでの利上げの議論がなされていたわけですが、今回もそういった意見なども尊重した形となりました。

【参考記事】
FOMC議事録公表で6月利上げ説に暗雲。猫の目みたいなユーロも最終的には下落(2月19日、今井雅人)
「辛抱強く(patient)」削除は予想どおり!ならばなぜFOMC後にドルは売られたか?(3月19日、今井雅人)

雇用統計も、6月会合までに4月、5月と2回の数字を見極める必要があり、現状では決断することができなかったのかもしれません。

米雇用統計

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移

■米利上げ開始の想定時期は2015年9月か!?

 ただ、前回のコラムでもお伝えしているとおり、たとえ今回の声明文から「6月FOMCでの利上げの可能性が排除されなかった」としても、それは、かなり可能性が低いことだと思っています。

【参考記事】
ギリシャの苦しい台所事情に危機感増大。国債が売られ、長期金利は約14%へ上昇!(4月23日、今井雅人)

 今後の想定としては、2015年9月頃に利上げがあるという認識となってくるのではないでしょうか。

■日銀黒田総裁は、大義名分がない追加緩和を見送った

 また、4月30日(木)には、日銀が金融政策決定会合を開催。金融政策の維持を決定しました。

 海外勢中心に直前まで「追加緩和期待」の憶測が台頭していましたが、やはり大方の予想どおり、追加緩和は見送られました

 一部からは「10兆円の資産買入れ増額」などが取り沙汰されてはいたものの、これも前回のコラムからお伝えしているように、最近の黒田日銀総裁の発言からは、追加緩和の兆しは感じられませんでした。

【参考記事】
ギリシャの苦しい台所事情に危機感増大。国債が売られ、長期金利は約14%へ上昇!(4月23日、今井雅人)
4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がる?しかし、その可能性は低いとみる理由は?(4月16日、今井雅人)

 一貫して「足元のインフレ率は低いままだが、インフレ基調自体は着実に上昇してきている」との認識を崩していません。

 黒田日銀総裁自身に、追加緩和に対する大義名分がない以上、選択肢にはなかったような気がしています。

■ユーロ/ドルのポジション調整進んだが、もう少し様子見か

 ところで、為替市場ですが、ユーロ/米ドルのポジション調整がかなり進みました。

 4月29日(水)の海外市場では、目先の戻りメドとして意識されていた3月18日(水)の高値1.10625ドルを上抜けて、一時1.1188ドルまで上昇。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 FOMCを前にして、かなりのショートカバーが進んだのかもしれません。

 テクニカル的には、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和が開始された3月2日(月)の高値1.1241ドルや2月27日(金)の高値1.1245ドルが極めて重要なレジスタンスレベルとなっていますが(※)、市場全体のポジションが本当に整理しきれているのかどうかは、もう少し様子を見る必要がありそうです。

(※編集部注:ユーロ/米ドルは本記事編集中の4月30日(木)16時台に急上昇。一時、1.248ドル台をつけている)

■ビッグイベント終えた米ドル/円も依然として動きづらい状況

 米ドル/円も、FOMCや日銀金融政策決定会合が終了したことから、一種のあく抜け感が出てくるとは思いますが、こちらも依然として動きづらい状況が続いています。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 日経平均や独DAX指数を中心に、海外ファンド勢からの利食い売りが先行しているなかでは、深い下押しを拾いたいとの思いはあるものの、なかなかポジションを作り難い状況でしょう。

日経平均 日足

(出所:株マップ.com

 明日5月1日(金)から、本格的なGW(ゴールデン・ウィーク)に突入することもあり、しばらくは様子を見たいと思っています。


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