■「辛抱強く(patient)」削除は予想どおりだったが…
昨日3月18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けての金融市場の反応は、予想を遥かに上回る激しい結果となりました。

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今回のFOMCでは、金融政策の正常化に対して、これまで使われていた「辛抱強く(patient)」という表現が削除され、いよいよ利上げの準備段階に入ることを確認する会合になると予想されていました。
結果としては、この「辛抱強く(patient)」という表現は削除されたため、それ自体は予想どおりではありました。
■市場関係者を驚かせたのは、利上げペースの遅さ
しかし、それとあわせて、「経済・金利見通し」で、2015年末の政策金利誘導目標の見通しをそれまでの1.125%から0.625%に大幅に下方修正しました。
これが、衝撃的だったということです。
つまり、「年内に利上げは開始するが、その後の利上げペースは極めてゆっくりとしたものにする」という考え方を示したということが、市場関係者を驚かせたのです。
■FOMCの判断の背景にある要因とは?
こうした判断をした理由は、まず、メンバーが、米国の景気が堅調ではあるものの、力強さをやや欠いているという認識を持っているということにあるでしょう。
また、原油価格の下落などによって、消費者物価が上昇してこないことも「利上げを緩慢にすべきだ」という根拠になっていると考えられます。

(出所:米国FXCM)
さらには、米国以外の国の景気状況が低迷しており、各国はむしろ金融緩和方向に政策をシフトしている中での、米国の利上げには、どうしても慎重にならざるを得ないという面もあるのではないでしょうか。
■米株価上昇、長期金利低下、米ドル前面安に!
こうした結果を受けて、市場では株価は上昇し、米長期金利は大幅に低下。為替市場では、米ドル全面安という展開になっています。

(出所:CQG)
ある意味、素直な反応ではありますが、その反応は想像を遥かに超えるものとなりました。
最も顕著だったのはユーロ/米ドルで、1.06ドル台の前半から1.10ドル台半ばまで一気に400pips以上も上昇しました。

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それだけ、予想外の決定であったということと、米ドルロングが積みあがっていたということになります。
■長期的に米ドルが強くなるという認識は維持
このような状況になると市場のボラティリティが高くなり、値動きが当面激しくなってくるかもしれないので、注意が必要です。
その上で、やはり、長期的に米ドルは強くなってくるという認識は、維持しておきたいと思います。

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昨日3月18日(水)に発表された日銀の資金循環統計を見ると、2014年10-12月期で、国内投資家による外国株や外国証券の買い越しは、約2兆4000億円になりました。
これは、円安要因であるのは言うまでもありません。
今回の発表で、相変わらず3カ月で2兆円前後の円売りが出るということは確認できました。こうした円売りは、今後も継続的に出てくることは、明らかです。
■ポジション調整が終われば、再びユーロ売りに
また、ユーロに関しても、米国の金融政策以前に、ユーロ圏の経済の低迷が鮮明であり、ユーロが上昇していく環境にはありません。
ポジション調整が終われば、いずれまたユーロは売られる展開になっていくでしょう。

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短期的な衝撃は大きかったですが、長期的に見れば、大きな流れが変わったわけではないと考えておきたいと思います。
【参考記事】
●FOMC議事録公表で6月利上げ説に暗雲。猫の目みたいなユーロも最終的には下落(2月19日、今井雅人)
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