■リスクオフに傾斜しそうなイベントはまだ多く控える
みなさん、こんにちは。
今週(4月17日~)も北朝鮮問題は解決策を見いだせず、不透明なまま。
加えて、マーケットがリスクオフに傾斜するきっかけになりそうなイベントが数多く控えています。
・4月23日(日)フランス大統領選挙第1回投票
・4月25日(火)北朝鮮軍創建85周年記念日
通常、こうしたイベント前は本邦機関投資家の動きは限定的なのですが、今週、4月18日(火)から、彼らからの円売りが突如マーケットに断続的に持ち込まれています。
米ドル/円相場では、108.30~108.50円で米ドル買い注文がかなりまとまって並んでいる模様。
(出所:Bloomberg)
これは2週間前、110円台前半で本邦機関投資家が米ドル買い注文を並べていたのと同じ風景です。
【参考記事】
●ドル/円の上値重いが節目110円も割れず。話題の「忖度」と米ドル買いに関係が…!?(4月6日、西原宏一)
マーケットのウワサによれば、前回、彼らは110円台前半でかなりまとまった米ドル買い注文を置いており、110.00円のサポートとなっていたのですが、地政学リスクがシリアから東アジアに移行したことで、その米ドル買い注文の多くをいったんキャンセルしたといわれています。
【参考記事】
●地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か?(4月13日、西原宏一)
前述のように、リスクオフに傾斜するようなイベントはまだ多く控えていますが、彼らのヘッジ外しと思われる円売りが再開したのはなぜか?
それは、今週、4月18日(火)に発表されたメイ英首相の決断だといわれています。
■メイ英首相の決断がマーケットを驚かせた
今週(4月17日~)、マーケットを驚かせたのが、メイ英首相の下記の決断でした。
メイ英首相は18日、議会を解散し6月8日の総選挙実施を目指すと発表した。強い基盤を持って欧州連合(EU)離脱交渉に臨むため、予想外の賭けに出た。
同首相が離脱の手続きを正式に開始してから1カ月に満たない。14日からの復活祭休暇に入る前は解散総選挙はないとしていた。
次回総選挙は2020年の予定だったが、与党・保守党の支持率が最大野党を20ポイント以上上回っている現状から、メイ首相は勢力を拡
大できる余地がある。キャメロン前首相から引き継いだ下院でのぎりぎ
りの過半数ではEU離脱交渉を乗り切れないとメイ首相は判断したもようだ。
出所:Bloomberg
議会を解散し6月8日(木)に総選挙実施を目指すと発表したメイ英首相。この決断はマーケットを驚かせた! (C)WPA Pool/Getty Images
この決断によって、英ポンド/米ドルは急伸。一時1.2905ドルと、あっという間に400ポイント急伸しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
マーケットではこの英ポンド/米ドルの反発に否定的な意見も多数。
その代表的な意見は下記のとおり。
英ポンド上昇は「行き過ぎ」-ステート・ストリートのフェリッジ氏
18日の英ポンドの上昇は、メイ英首相が解散総選挙を目指すと表明したことが「ソフトブレグジット」につながる可能性が高いとの見方に基づいているものの、 「メイ首相は結局のところ『ハードブレグジット(強硬離脱)』派だ」と、ステート・ストリートの北米マクロ戦略責任者、リー・フェリッジ氏が電話取材で指摘した。
メイ首相は移民と国境管理を優先事項に掲げている。これが交渉の出発点なら、ハードブレグジットは避けられない。今回の解散総選挙の方針表明によって英国のEU離脱のシナリオは大きく変化しない
英ポンドの動きは「ショートスクイーズにほかならない」
ユーロ・英ポンドは1ユーロ=0.8500ポンドを上回る水準に値を戻す見込みで、英ポンド・ドルは来週あたり1ポンド=1.26ドル前後に再び下げる見通し。英ポンドの軟調は中長期的に続きそう
出所:Bloomberg
ただ、前述のようにマーケットは英ポンド/米ドル急騰で反応。英ポンド/円を筆頭とした英ポンドクロス(英ポンドと米ドル以外の通貨との通貨ペア)も急騰しました。
その背景には、本邦機関投資家の存在が大きく影響していると…
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