■米ドル安見通しに確信を得た1週間
為替市場の状況は、前回のコラムでお伝えしたところから変化していません。むしろ、前回申し上げたことに対して、ますます確信を得る1週間となりました。
【参考記事】
●米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)
今の為替相場の流れを非常に簡単に申し上げれば、米ドル安、円安、それ以外の通貨高という流れになっています。特に、米ドル安はますます進んできています。
(出所:Bloomberg)
たとえば、ユーロ/米ドルは前回のコラムで、「テクニカル的には、2010年6月7日(月)の安値、1.1877ドルが視野に入ってきた」と申し上げました。今週(7月31日~)、ユーロ/米ドルは一時そのレベルを超え、1.19ドル台まで米ドル安が進む場面がありました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
■FRB高官からハト派発言、利上げ期待は後退
直近の米ドル安の直接的な原因は、FRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言でした。
セントルイス連銀のブラード総裁は、「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない。インフレ見通しは2017年に悪化した」と発言。
また、クリーブランド連銀のメスター総裁は、「インフレの弱さが続いているため、インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」と述べています。
こうした米経済に対するやや悲観的な見方、そして、利上げ期待の後退が米ドルの重しとなっています。
【参考記事】
●米ドル/円が下がりやすい8月が到来! まずは108円台を目指す動きを想定(8月1日、バカラ村)
■トランプ政権は末期症状、米ドルは買えない
しかし、それ以上に米ドルに下落圧力をかけているのは、何といってもトランプ政権に対する不信感でしょう。
今週(7月31日~)、トランプ大統領は新しく任命した広報部長を、なんと、わずか10日間で解任してしまいました。驚愕です。
これまで、トランプ政権では、人事に関して様々なトラブルがありました。今回が何度目になるのかすらわかりませんが、大統領就任から半年も経って、新しく任命した広報部長を10日間で解任するというのは、もはや末期症状と思えなくもありません。
発足から半年が経過しても、人事に関するトラブルが続くトランプ政権。末期症状とも思える状態に市場の不信感は高まっているようだ (C) Chip Somodevilla/Getty images
これはもう、不信感がなかなか回復するような事態ではないと考えるようになってきました。
「米ドルは買えない」。ますます、その思いが強くなってきています。
米ドル安と同時に円安も進んでいるので、米ドル/円は…
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