■米ドル安が進行、ユーロは2010年6月安値が視野に!
先週(7月17日~)から今週(7月24日~)にかけては、全体的に米ドル安が進んでいます。

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ユーロ/米ドルも、1.17ドル台までは上昇する可能性を指摘していたところ、あっさりと達成してしまいました。
【参考記事】
●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)
昨日、7月26日(水)のNY市場で、当面の上値メドとして非常に重要視されていた2015年8月24日(月)の高値1.1714ドルも上抜けて、一時1.17476ドルまで値を上げています。
(※編集部注:本記事の寄稿後、7月27日(木)の東京時間にユーロ/米ドルは一時、1.1777ドル付近まで上昇した)

(出所:Bloomberg)
テクニカル的には、2010年6月7日(月)の安値、1.1877ドルが視野に入ってきたといえます。

(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ユーロ/米ドルは1.2ドル打診もあり得る! 今後、豪ドルが買われるとみる理由とは?(7月21日、陳満咲杜)
●日本がゼロ金利固定の間に欧州や米国は金利正常化へ! ユーロに優位性あり!(7月20日、西原宏一)
■米ドル安なのに米株高の不可解な動きが継続
7月26日(火)~27日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、ほぼ予想どおりの結果となり、目新しいものは何もなかったのですが、それでも、発表後は米ドル安になっています。

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市場の声を聞いてみると、「インフレの現状認識を下方修正したほか、バランスシート正常化プランの開始時期を『比較的早く』と曖昧な表現にとどめたことで、全般ハト派的な印象が強まった」ようです。
【参考記事】
●本日のFOMCの発表は「現状維持」と予想、ドル/円短期チャートは買いシグナルだが…(7月26日、松田哲)
その一方で、NYダウは史上最高値を更新しました。

(出所:Bloomberg)
株はますます上昇するのに、米ドルは下がり続ける。なんとも不可思議な動きのようにみえます。その原因が何かということについては、前回のコラムで紹介しました。
【参考記事】
●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)
先週(7月17日~)から今週(7月24日~)の動きを見ていて、ますます、その見方に確信を持ってきています。
■原因はトランプ政権、みんな米ドルを買いたがらない!?
やはり、一番の原因となっているのは「トランプリスク」です。
就任してからのトランプ政権を見ていると、もはや政権の体をなしていません。現在も、ヘルスケア法案審議入りの動議こそ可決したものの、実際の法案審議は混迷の色を深めています。米議会は、いまだに夏休みに入ることができない状況が続いています。

発足から半年が経過したが、現在のトランプ政権は法案の可決もままならず、もはや政権の体をなしていない状態に… (C)Chip Somodevilla/Getty images
こんな姿を見ていると、とても米ドルを買おうという気が起きないということなのだろうと思います。
【参考記事】
●米ドル/円の上値が重い理由とは? さらに8月から米ドル/円は下がりやすい季節へ(7月25日、バカラ村)
その一方で、他の先進国は比較的景気も良く、政治、経済の両面から総合的に比較すると、やはり、米ドルより他の通貨の方が良い、ということになるのでしょう。
■日本だけが違うのに、それでもドル/円が上がらない理由は?
ただ、円だけは状況が違います。
今週(7月24日~)、日銀に新しく2名の審議委員が就任しました。片岡審議委員、鈴木審議委員の、それぞれの就任会見を聞いてみると、両名とも、かなりのハト派であることが良くわかりました。
つまり、日銀の金融緩和政策は、まだまだ続くということです。こうしたことが円安圧力となり、米ドル安圧力と引っ張り合いをしているので、米ドル/円は方向感のないレンジ相場に入り込んでいるということだろうと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■トレンドは緩やかに進行、米ドル/円はレンジ長期化か…
さて、今後の展開ですが、今のトレンドを変えるような要因が見当たらないので、まだ、「米ドル安、円安、その他の主要通貨高」という構図は変わらないと思います。
【参考記事】
●機関投資家が円キャリートレードで勝負!? 急速な円安。注意しつつ流れに乗りたい(6月29日、今井雅人)
●円キャリートレード継続! 金利先高感が強まった通貨を中心にクロス円チェック!(7月13日、今井雅人)
ただ、この動きはかなり進んできているので、相場は利食いをこなしつつ、細かい上下を繰り返しながら、徐々に進んでいくというイメージで見ておきたいと思います。
米ドル/円に関しては、110~113円を中心としたレンジが長期化すると考えています。
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