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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ドラギ総裁が3年ぶりにジャクソンホールへ。
その意味は?あえて賭ければドル安一服に!

2017年08月25日(金)17:57公開 (2017年08月25日(金)17:57更新)
陳満咲杜

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■ジャクソンホール待ちで市場は総じて保ち合い

 夏バテというか、ジャクソンホール会議(年次経済シンポジウム)待ちなので、マーケットは総じて保ち合いの基調を保ち、静かな値動きを繰り返している。

ユーロ/米ドルは高値圏、米ドル/円は安値圏をそれぞれキープしており、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長やドラギECB(欧州中央銀行)総裁の講演待ち、という気配を市場関係者なら誰でも無視できないから、事前に無闇な仕掛けもなさそうだ。

(※編集部注:ジャクソンホール会議でのイエレンFRB議長の講演は日本時間で8月25日(金)23時から、ドラギECB総裁の講演は日本時間で8月26日(土)早朝4時からある)

【参考記事】
8月25日(金)■『ジャクソンホール会議での[米)イエレンFRB議長の発言]及び[欧)ドラギECB総裁の発言]』と『主要な株式市場&米国の長期金利&原油価格の動向』、そして『注目度の高い米国の経済指標の発表』に注目!(羊飼い)

米ドル/円 4時間足
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ユーロ/米ドル 4時間足
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■ドラギECB総裁の3年ぶりの参加に大注目の理由は?

ドラギECB総裁の講演がより注目される

 なにしろ、ECBの政策転換(正常化)に関する示唆の有無が市場の関心事である上、氏は3年ぶりのジャクソンホール経済シンポジウム参加であり、また、講演時間はイエレン氏の倍を予定(イエレン女史は30分程度、ドラギ氏は1時間の予定)しているだけに、何か大きな示唆を与えてくれるのでは…と市場関係者たちは固唾をのんで見守っている状態だ。

 というのも、2014年にドラギ氏は同じくジャクソンホールにてQE(量的緩和)政策を示唆し、翌年(2015年)、ECBが量的緩和を開始した経緯があった。だから、QE政策終了の発表があるならば、今回のジャクソンホールがぴったりの場所では…と思われるのだ。

 もちろん、「3年ぶり」ということは、前回の参加が2014年ということを意味する。ドラギ総裁のジャクソンホール訪問はただの講演で終わらない、という思惑があるのもそこがミソである。

ジャクソンホールでの公演が待たれるドラギECB総裁

 

前回(2014年)参加時に、QE政策を示唆したドラギECB総裁。そこから今回のジャクソンホール訪問は、ただの講演で終わらないのでは…という思惑を持たれている (C)Bloomberg/Getty Images

■イエレン・ドラギ両氏の行動に対する予測は3パターン

 実際、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙はこのようなロジックを展開して、ドラギ氏の講演を重視し、ドラギ氏による政策正常化宣言を予想している。

 反面、ロイターはイエレン氏もドラギ氏も大したヒントをくれず、平穏な講演を予想しているから、どちらもあり得る。

 ところで、最近第三の見方も浮上してきた。すなわち、ドラギ氏は慎重に政策を推進していくから、政策転換について言わず、ユーロ高を牽制してくる可能性がある。逆にイエレン氏の任期は来年(2018年)1月までなので、大胆な発言ができるのでは…といった予想だ。

ジャクソンホールでの大胆な発言も予想される、イエレンFEB総裁

任期が来年(2018年)1月までのイエレンFRB総裁は、大胆な発言ができるのではないかといった予想も出ている (C) Bloomberg/Getty Images

 イエレン氏の大胆な発言とは何か?と聞かれれば、利上げを正常化する発言になる可能性が高いから、それは米ドルを押し上げる材料になりそうだという。

 いずれにせよ、以上の見方はすべて推測、あるいは思惑にすぎないから、FRBやECBトップの話を聞かないとわからない、というのが実情だ。

 ちなみに今回、黒田日銀総裁もジャクソンホール会議に参加するが、講演の予定がないので、心配の余地はない上、仮に講演の予定があっても従来の主張を繰り返すと予想されやすいから、サプライズにはならないだろう。

■完全に「ブレイク待ち」、先入観を持たない方が無難だが…

 となると、足元の相場は完全にと言っていいほど、「ブレイク待ち」の状態だ。材料次第でどちらへでも動けるから、先入観を持たない方が無難であろう。

 ユーロ/米ドルの1.2ドル大台の直接打診や1.16ドル節目割れのシナリオが両方あり得るように、状況は流動的である。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足) 

 しかし、やはり気になるのは市場の内部構造、またはポジションのバランスだ。足元、米ドルに対して弱気な見方が圧倒的ななか、果たして米ドル安が続くとしても、どれぐらいの余地があるだろうか。

 CFTC(米商品先物取引委員会)の統計では、ヘッジファンドなど投機筋が持つ米ドルのネットショートポジションは積み上げられ、その規模はすでに2013年1月以来の最高水準に達した模様だ。となると、ショートポジションが偏っているだけに、米ドル安のトレンドが続いても、逆に下値余地は限定的では…といった思惑も出てくる。

 実際、トランプ政権のゴタゴタに北朝鮮をはじめとした地政学リスクの圧迫もあって、2017年年初来、米ドルは対ユーロですでに11%の下げを記録、また、対円でも6.2%程度の下落を果たしている。米ドル安はすでにマイナスの材料を織り込み、また、行きすぎているのではないかという見方も少なくないようだ。

 だから、今回のジャクソンホールをきっかけに、相場が反転してくるのでは…と一部の市場関係者は考えているようだ。何しろ、イエレン女史の発言が「意外」にタカ派基調になる可能性を排除できないから、ドラギ氏がユーロ高を牽制してくれば、両方セットで米ドルを押し上げる効果を発揮する可能性があるからだ。

 もちろん、これらの予測はその他の見方と同様、「憶測」にすぎないが、現実味がないとは言い切れない。

■相場は、イベントの内容にかかわらず内部構造に従うことも

 相場の歴史に照らして考えてみれば、トレンドの転換は往々にして何らかの材料をもって図られるが、その材料の出現自体がむしろトレンド転換の「ニーズ」に応えてくれた、といった経験や感触を得られる事例が多いことがわかる。言ってみれば、米ドル安の行きすぎがすでに確認されている以上、大きなイベントであるジャクソンホールはきっかけになる確率も高いわけだ。

 驚くなかれ、時には重要なイベントの内容を問わず、相場は規定した内部構造に沿った形でトレンドを形成したり、また、トレンドを転換させたりしてきた。

 最近の好例として、昨年(2016年)1月29日(金)に日銀が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を決定したあとの米ドル/円の値動きが記憶に新しい。イベントの内容自体は米ドル高・円安を示すものだったが、実際には大きな米ドル安・円高トレンドをもたらす結果となった。

 これについて、事後的な解釈がいろいろ行われてきたが、今からみても不思議な感覚があるほどだから、内容に関わらず、大きなイベント自体が転換の節目になる可能性はやはり軽視できない。

■あえて言うなら、米ドル安一服に賭けてみたい!

 最後に、冒頭で申し上げたとおり、相場はブレイク待ちの状態なので、どちらへのブレイクがあってもおかしくなく、必ずしも米ドルの反転があるとは言っていないことを強調しておきたい。

 ただし、あえて言うなら、どちらの確率が高いと言えば、今回のジャクソンホールを機に、米ドル安が一服してくる可能性に賭けてみたい、というところではないか。

米ドルvs世界の通貨 週足
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 市況はいかに。

(14:00執筆)

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