■円高になっても投機筋のポジションは溜まったまま
リスクオフ相場で重要なことは、ポジションがどう傾いてしまっているかということです。
その参考の1つとなる、IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ると、投機筋の米ドル/円のロングポジション(=米ドルに対する円の売り越し)が、溜まったままの状態が続いてしまっています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
円高になってきているにも関わらず、なかなかこのポジションが減少していません。私はこのことを、少し甘く見過ぎていました。
■当面、正の相関関係は期待できそうにない
現状の市場の反応を見る限り、市場関係者は、これから各国の金融緩和政策が転換していくという段階にきていると見始めていて、その結果として、これまでのポジションを調整する、いわゆるリスクオフの動きが起きていると認めざるを得ません。
したがって、米国の長期金利と米ドル/円相場に、正の相関関係が出てくるのは当面は期待できないと考える必要があると、頭を切り替えています。
当面は、IMMのポジション動向も、よく注視しておきたいと思います。
■機関投資家の主だった買い注文がない…
さらに、このようなリスクオフの状況になって、日本の機関投資家の動きもピタッと止まってしまいました。
米ドル/円は、110円ぐらいまでは、買い注文が並んでいましたが、その後は、様子見気分が広がってしまい、ここに至っては、主だった買い注文がみられなくなってきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
そのことも、円高を加速する要因になってしまっています。
【参考記事】
●米ドル/円は107円を割り込んで売りシグナル点灯!100円近辺までサポート見当たらない(2月14日、松田哲)
■米財政赤字の拡大が米ドル安要因に!?
私自身は、リスクオフの流れの中で、一連のポジション調整が終わってしまえば、また緩やかに円安方向に戻るのではないかと思っていますが、米ドル高になるかと言えば、そうでもなさそうだというのが基本的な見方です。
さらに、もう1つ指摘するとすれば、米国の財政赤字が予想以上に拡大することが、明らかになったことです。
これが、米長期金利の上昇を加速させる要因になっているとすれば、こちらは米ドル安要因とされてしまう可能性があるということです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
このことも、米ドル高の流れを阻害する可能性があるということを、頭に入れておく必要があるかもしれません。
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