FOMCは0.25%利下げもパウエル会見はサプライズなく無風通過
前回のコラムの続きになります。FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合ともにほとんどサプライズはなく、マーケットに失望感が広がっただけの相場展開となりました。ここでもう一度、FOMCと日銀の金融政策決定会合の結果を見ておきましょう。
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⇒米ドル/円は押し目を狙った回転売買を効かせつつ、メキシコペソ/円のスワップ金利で稼ぐ!パウエル議長の会見は期待はずれで植田総裁の発言も期待薄か?(9月19日、今井雅人)
まず、9月16-17日に開催されたFOMCです。今回の会合では、政策金利であるFFレートが0.25%引き下げられました。
これはマーケットの予想通りの結果でした。マーケットの関心事は、年内にあと何回利下げがあるかという点に移っていましたので、パウエルFRB議長の会見での発言に注目が集まっていました。
パウエル議長は、最近トランプ大統領や政権幹部から大幅な利下げを要求される圧力ともとれるような発言が出ていることに対して、「FRBは独立性を維持する強い決意だ」と圧力をはねのける覚悟を見せました。

パウエル議長は記者会見でトランプ政権からの圧力をはねのける覚悟を見せた (C)Bloomberg/Getty Images News
そして、その上で、今後の金融政策運営に関しては「FRBは会合毎に状況を変える」「FRBは予測について議論したり合意しようとしたりしない」と、現時点で先行きの見通しは立てていないことを強調しています。結局、踏み込んだ発言はありませんでした。
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日銀会合はETF・J-REIT売却決定もインパクトなし
次に9月18-19日に開催された日銀の金融政策決定会合です。今回は、市場の予想どおり、政策金利は据え置きとなりました。
また、会合後の会見で、植田総裁はまず「現在の実質金利は極めて低い水準」であり、「経済・物価の改善に応じて政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整していく」と今後は利上げを視野に入れているとしながらも、「経済の下振れリスクはそこにある」「今後の金融政策に関しては、もう少しデータを見たい」と慎重な姿勢を崩しませんでした。
あえて今回の注目点としては、二点です。まず、メンバーの内の2名が利上げを主張したことです。最近にはない事象でしたので、次回以降、利上げ賛成派が増えていくことは考えられます。ただ、マーケットを動かすほどの影響はありませんでした。

(出所:TradingView)
もう1点は、今回ETF(上場投資信託)を毎年簿価で3300億円、J-REITを毎年50億円売却することを決定したことです。この発表を受け、株式市場が一時崩れましたが、このペースはETF、J-REIT売却、単純計算で100年以上かかるという緩やかなものであり、マーケット関係者も「実際にはあまり影響がないだろう」と、徐々に冷静になっていき、現在ではほとんど材料視されていません。
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高金利通貨でスワップ金利を狙いながら米ドル/円レンジトレード継続
両イベントともに、こんな感じで終ってしまいましたので、マーケットは本当に動かなくなってしまってきています。
そして、残念ながら、この傾向はしばらく続く可能性がかなり高くなってきたと感じています。こうしたときは、スワップ金利狙いの高金利通貨の買いをキープしながら、流動性の高い米ドル/円などでレンジトレードを続けていくしかないかと考えています。
米ドル/円は、当面147円台から148円台での推移を予想しています。

(出所:TradingView)
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