■30年レジスタンス突破で米長期金利の上昇が加速
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでご紹介させていただいた「株高と低ボラティリティ」相場が1月で終焉し、その巻き戻し相場が続いています。
【参考記事】
●VIX指数急騰で低ボラティリティ相場終焉! 株暴落でも底堅いドル/円も下値余地拡大(2月8日、西原宏一)
象徴的なのは、米10年債利回りの急騰。
以下は、米10年債利回りの月足チャートです。

(出所:Bloomberg)
過去30年、強烈に米10年債利回りの上値を抑えていたレジスタンスを先月(1月)ブレイク。
本稿執筆時点の米10年債利回りは、一時2.925%と高騰しています。

(出所:Bloomberg)
かつて債券王と言われたビル・グロス氏(※)、現在の債券王と言われているジェフリー・ガンドラック氏(※)。その両人とも、今年(2018年)年初から債券バブルへの警鐘を鳴らしていましたが、それが現実化した形です。
(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、世界的に有名なファンドマネージャー)
(※編集部注:「ジェフリー・ガンドラック氏」は、米国の資産運用会社「ダブルライン・キャピタル」の共同創業者。世界的に有名なファンドマネージャーで「債券王」の異名を持つビル・グロス氏に代わり、「新債券王」として市場の注目を集めている)
【参考記事】
●米長期金利が「30年レジスタンス」を突破! 日米株の乱高下に警戒! 米ドル/円は…!?(2月12日、西原宏一&大橋ひろ子)
●VIX指数急騰で低ボラティリティ相場終焉! 株暴落でも底堅いドル/円も下値余地拡大(2月8日、西原宏一)
●ムニューシン財務長官のドル安歓迎発言はやっぱり本音? ドル/円は105円目指す過程(2月1日、西原宏一)
●米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随できず…。111円割れなら107円台も視野!(1月11日、西原宏一)
米10年債利回りが2.80%に到達すると、米国株が調整に入る可能性が高いというのがマーケットのコンセンサスとなっていたのですが、米10年債利回りが2.92%と高騰し、米国債の急落が現実化すると同時に米国株の調整もスタートしています。

(出所:Bloomberg)
■債券バブル終焉で株の調整開始
債券バブルの終焉とともに、株の調整もスタート。
デマーク(※)のテクニカル分析に従えば、先週(2月5日~)末のNYダウの日足は、数日で大きく値を下げる可能性をデマーク・インディケーターが示唆。
(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
加えて、エリオットウェーブによれば、NYダウの月足も第5波を終了し、調整相場入りを示唆しています。

(出所:Bloomberg)
さらに付け加えると、日経平均の月足も第5波を完了しています。

(出所:Bloomberg)
結果、年末年始の高騰で、エリオット的にはどちらも最終波を形成し終わって調整色の濃い相場展開。
そこに、米金利が急騰したために、先週(2月5日~)からNYダウ、日経平均とも大きく値を下げています。
特に、円高も並走している相場環境の中、日経平均の下落が際立っており、3週間で約3000円も急落。
200日移動平均線が位置している2万1044円レベルで、いったん下げ渋っていますが、仮に米金利が続伸するようであれば日経平均の調整幅も大きくなるため、要注意です。

(出所:Bloomberg)
■トランプ大統領が日本に対し、貿易で非難
日経平均が続落する中、並走して米ドル/円も続落。
2月13日(火)には、トランプ大統領から米ドル/円の下落を加速させるようなコメントが飛び出し、マーケットは、一時騒然となっています。
トランプ氏、日本が貿易で「殺人」と非難 対抗措置を警告
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は12日、日本を含む貿易相手国が「殺人を犯しながら逃げている」と非難し、対抗措置を取る構えを示した。
トランプ氏はホワイトハウス(White House)で開かれたインフラ関連の会合で、出席した閣僚や州・地方自治体の関係者を前に、「他国に利用されてばかりではいられない」と述べ、「わが国は対中日韓で巨額を失っている。これらの国は殺人を犯しながら逃げている」と指摘。
「わが国以外の国、米国を利用する国々に負担してもらう。いわゆる同盟国もあるが、貿易上は同盟国ではない」「相互税を課していく。これに関しては、今週中、そして向こう数か月間に耳にすることになる」と予告した。
トランプ氏が具体的に何に言及しているのかは不明。AFPはホワイトハウスにコメントを求めたが、現時点では回答は得られていない。
出所:AFP
英語の原文では、
It’s a little tough for them because they’ve gotten away with murder for 25 years.
出所:ロイター
この「murder」を直訳すると「殺人」という単語になり、極めてきついニュアンスになりますが、原文の内容をチェックしてみると、決して「殺人」という意味ではありません。
この点については、トランプ大統領のいつもの言い回しであると解釈した方がよさそうです。ただし、このコメントは、当コラムで再三取り上げている今年(2018年)のトランプ政権のテーマである「通商政策」について言及していることは確かです。
トランプ大統領のコメントなので、また訂正などが出てくるかもしれませんが、通商問題に関わることなので、ご紹介させていただきました。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
●米通商問題が争点となり米ドル安が進む。ドル/円は110円が決壊! 次は105円へ…!? (1月25日、西原宏一)
■米ドル/円は目標の105円に向けて急接近
この結果、日経平均の反落に加え、トランプ大統領のコメントも大きな負荷となり、米ドル/円は下落が加速。2月14日(水)には、昨年(2017年)の安値である107.32円をあっさりブレイク。
本稿執筆時点では、一時106.32円まで急落しています。

(出所:Bloomberg)
低ボラティリティ相場が終焉し、今年(2018年)は、ボラティリティの高い相場であるため短期的な戻しも急激ですが、米ドル/円のトレンドは、依然として下落基調。
当コラムの米ドル/円の当初のターゲットは105.00円であり、米ドル/円はそのレベルに向けて急接近中。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
しかし、米金利の上昇が止まらず、仮に日本株と米国株の調整が深くなれば、米ドル/円も調整が深くなり、100円レベルまで沈むことも想定しています。
【参考記事】
●米長期金利が「30年レジスタンス」を突破! 日米株の乱高下に警戒! 米ドル/円は…!?(2月12日、西原宏一&大橋ひろ子)

(出所:Bloomberg)
米減税・インフラ投資は、景気に対してはポジティブ。
しかし、財政赤字拡大が懸念され、米金利上昇が米ドル安圧力になるのではないかとの指摘も…。
通商問題に絡む報道も目立つようになり、下落が加速してきた米ドル/円の行方に注目です。
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