■トランプ大統領が日本に対し、貿易で非難
日経平均が続落する中、並走して米ドル/円も続落。
2月13日(火)には、トランプ大統領から米ドル/円の下落を加速させるようなコメントが飛び出し、マーケットは、一時騒然となっています。
トランプ氏、日本が貿易で「殺人」と非難 対抗措置を警告
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は12日、日本を含む貿易相手国が「殺人を犯しながら逃げている」と非難し、対抗措置を取る構えを示した。
トランプ氏はホワイトハウス(White House)で開かれたインフラ関連の会合で、出席した閣僚や州・地方自治体の関係者を前に、「他国に利用されてばかりではいられない」と述べ、「わが国は対中日韓で巨額を失っている。これらの国は殺人を犯しながら逃げている」と指摘。
「わが国以外の国、米国を利用する国々に負担してもらう。いわゆる同盟国もあるが、貿易上は同盟国ではない」「相互税を課していく。これに関しては、今週中、そして向こう数か月間に耳にすることになる」と予告した。
トランプ氏が具体的に何に言及しているのかは不明。AFPはホワイトハウスにコメントを求めたが、現時点では回答は得られていない。
出所:AFP
英語の原文では、
It’s a little tough for them because they’ve gotten away with murder for 25 years.
出所:ロイター
この「murder」を直訳すると「殺人」という単語になり、極めてきついニュアンスになりますが、原文の内容をチェックしてみると、決して「殺人」という意味ではありません。
この点については、トランプ大統領のいつもの言い回しであると解釈した方がよさそうです。ただし、このコメントは、当コラムで再三取り上げている今年(2018年)のトランプ政権のテーマである「通商政策」について言及していることは確かです。
トランプ大統領のコメントなので、また訂正などが出てくるかもしれませんが、通商問題に関わることなので、ご紹介させていただきました。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
●米通商問題が争点となり米ドル安が進む。ドル/円は110円が決壊! 次は105円へ…!? (1月25日、西原宏一)
■米ドル/円は目標の105円に向けて急接近
この結果、日経平均の反落に加え、トランプ大統領のコメントも大きな負荷となり、米ドル/円は下落が加速。2月14日(水)には、昨年(2017年)の安値である107.32円をあっさりブレイク。
本稿執筆時点では、一時106.32円まで急落しています。
(出所:Bloomberg)
低ボラティリティ相場が終焉し、今年(2018年)は、ボラティリティの高い相場であるため短期的な戻しも急激ですが、米ドル/円のトレンドは、依然として下落基調。
当コラムの米ドル/円の当初のターゲットは105.00円であり、米ドル/円はそのレベルに向けて急接近中。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
しかし、米金利の上昇が止まらず、仮に日本株と米国株の調整が深くなれば、米ドル/円も調整が深くなり、100円レベルまで沈むことも想定しています。
【参考記事】
●米長期金利が「30年レジスタンス」を突破! 日米株の乱高下に警戒! 米ドル/円は…!?(2月12日、西原宏一&大橋ひろ子)
(出所:Bloomberg)
米減税・インフラ投資は、景気に対してはポジティブ。
しかし、財政赤字拡大が懸念され、米金利上昇が米ドル安圧力になるのではないかとの指摘も…。
通商問題に絡む報道も目立つようになり、下落が加速してきた米ドル/円の行方に注目です。
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