■「合意なきBrexit」懸念を背景に英ポンドの下値余地拡大
では、米金利の急騰に対して、どの通貨ペアで米ドルをロングするのが適切なのか?
米ドルは、欧州通貨に対しても堅調に推移しています。
イタリアの財政とドイツの政治リスクを背景に、ユーロ/米ドルは、再び節目の1.1500ドルを割り込む展開です。
【参考記事】
●加ドル/円窓開け急騰! クロス円が強い! 日経平均27年ぶり高値達成でドル/円は…(10月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
加えて、米ドルに対して、一段と下値余地が拡大している欧州通貨があります。
それは、英ポンド。
9月には英国、EU(欧州連合)とも歩み寄りが期待され、英ポンド/米ドルは、一時1.3298ドルまで急反発しました。
しかし、9月のEU首脳会議では、メイ首相が7月にまとめたEU離脱案について説明したものの、交渉は進展せず…。
下の画像は、トゥスクEU大統領がSNSにアップしたものです。
(出所:トゥスクEU大統領のInstagramより)
トゥスクEU大統領がメイ首相にケーキを差し出す画像に、「ケーキはいかがですか。チェリーはありませんが」とコメントを付けています。
これは、EU離脱交渉で「チェリーピッキング(いいとこ取り)」をしようとしている英国を茶化しているとされ、英国からの不評を買っています。
こうしたことからも、英国、EU双方の歩み寄りに進展はなさそう…。
トゥスクEU大統領のコメントによれば、EU離脱交渉の正念場は、10月18日(木)開催予定のEU首脳会議(その次のミーティングは、11月17日~18日開催予定の臨時EU首脳会議)となります。
それまでに英国が事態を打開する必要があるのですが、前述のように進展が見られず、交渉は暗礁に乗り上げています。
このような状況が続けば、「合意なきBrexit」」懸念が拡大し、英ポンドの下値余地が拡大します。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
一方、米金利の急騰と米国株の続伸が並走することは困難です。
仮に、米金利の急騰により、米国株が調整に入ると、米ドル/円にとってはマイナス。
このような環境下、英ポンド/円の下値余地が大幅に拡大しています。
先月(9月)、上海総合指数の反発を示唆したデマーク(※)インディケーターも、英ポンド/円について、下値警戒のサインを出しています。
(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
今月(10月)は、英ポンド/円の動向に注目です。
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