■不信任投票でメイ首相続投決定! その意味とは?
今年(2018年)も残すところ、あと2週間となりましたが、相場を動かす可能性がある重要イベントとしては、12月18日(火)~19日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)、そして、Brexit(英国のEU離脱)があります。
まず、Brexitですが、12月11日(火)に英国議会で離脱協議の採決が行われることが予定されていましたが、否決される可能性が高かったこともあり、メイ首相は採決を延期しました。
それによって、英ポンド/米ドルは1.2476ドルまで下落しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
翌日(12月12日)は、メイ首相の不信任投票が行われることとなり、200対117でメイ首相の続投が決定しました。
【参考記事】
●保守党の不信任投票を乗り切ったメイ首相。再び問題山積みのBrexit交渉最前線へ…(12月13日、西原宏一)
●メイ首相ピンチ! 次は野党から不信任動議!? 混迷のEU離脱交渉。英ポンドさらに下落か(12月13日、今井雅人)
不信任投票ではメイ首相の続投が決定。メイ首相が信任されたということは、合意なき離脱を求めている人は少ないということか (C)WPA Pool/Getty Images
メイ首相が負けるようであれば、合意なき離脱の可能性が高まるところでしたが、メイ首相が信任されたということは、合意なき離脱を求めている人も少ないのではないかと思います。
■Brexit協議は難航を予想… 英ポンドの底打ちは?
今後は、EU(欧州連合)側と再協議を行い、英議会の承認を得ることができるような内容にしなければいけませんが、EU側は再協議しないことを表明しており、難航が続くことが予想されます。
期限は来年(2019年)3月末とされていますが、時間が無いこともあり、離脱延期の可能性や国民投票の可能性も出てきています。
国民投票に関しては、メイ首相が否定していることもあって、こちらも難しいですが、合意なき離脱を求めている人も少ないのであれば、期限ギリギリで英議会と折り合いがついて合意されるのではないかと思います。
ただ、期限ギリギリになるまでの間、何度も合意なき離脱への思惑が出てくるため、英ポンドはその都度、下がるのではないかと思います。
(出所:Bloomberg)
英ポンドはBrexit協議の終わりが見えてくるまでは、底打ちしたと言える状況にはならないと思います。
英ポンド/米ドルのチャートも、1.26ドル台ミドルのサポートを下抜けてから、その水準を上値抵抗としていることもあって、ここを越えるまでは、まだ下がる可能性があると考えるべきかと思います。
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■FOMCの注目点は? 中長期的に米ドル/円は下落へ…
FOMCに関しては、0.25%の政策金利の引き上げが予定されています。
注目すべきは、来年(2019年)以降の利上げ見通しと、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の会見です。
【参考記事】
●ハト派色強いFOMCなら米ドル/円は売り! 「黄色いベスト運動」で欧州が景気減速!?(12月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
FRBの来年(2019年)の利上げ見通しは3回ですが、これが2回もしくは1回に変更されると思われます。FRBの中立金利は2.5~3.5%とされており、今回、利上げを行うと2.25~2.5%となるため、中立金利の下限に近づくことになります。
ここまで3カ月ごとに利上げを行ってきましたが、中立金利に近いこともあり、一時的に利上げ打ち止めの可能性もあるかと思います。
また、パウエル議長の会見にも注目。株式市場が軟調に推移していることもあり、ハト派な発言が出てくる可能性が高そうです。
利上げの打ち止めやパウエル議長のハト派発言で、今回のFOMCでは米ドル安になる可能性が高いのではないかと考えていますが、米ドル/円は112~114円を中心とした横ばいが継続しており、ここからトレンドが発生するのかどうかが、注目するところだと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
中長期的には、米ドル/円は下がると考えていますが、11月下旬のパウエル議長の「中立金利を若干下回る」という発言でも下げが続きませんでしたし、10月の株価の急落でも米ドル/円は下げ切りませんでした。今回のFOMCで市場は動意づくのか、それが注目点かと考えています。
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