■時期的な運の悪さも変動要因に…
こうした材料をまとめて簡潔に言えば、10年間、拡大が続いてきた米国経済に転換期が訪れているという状況の中で、トランプ米大統領の政権運営に対して、かなりの不安感が広がってきているということだと思います。
さらに運が悪かったのは、こうした一連の出来事が12月に発生したということです。
例年のことではありますが、基本的に12月も中旬以降となると、クリスマスムードになって、市場参加者が減ってきます。また、12月決算のファンドなども欧米では多いため、12月は取引を控え気味になるという傾向もあります。そうした状況の中で、マーケットがかなり薄くなってきたので、これだけの大きな変動が起きてしまったということだと思います。
■米国の景気拡大は転換に差し掛かっている!?
問題は、現在の動きが一時的なものであるかどうか、ということですが、私は一時的なものだとは考えていません。
確かに、マーケットが薄すぎたために、過剰反応してしまったという面は否めません。その分は、戻す可能性があります。実際に、12月26日(水)のNY市場では、NYダウが前日比で1000ドル以上も上昇しました。
(出所:Bloomberg)
しかし、政策金利を段階的に引き上げた影響が出始め、米国の景気拡大が転換に差し掛かっている可能性は高いと思います。
【参考記事】
●ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(12月21日、今井雅人)
さらに、トランプ米大統領の政権運営に対しては、もともと疑問が呈されていたのが、顕在化しただけです。
■米ドル/円は当面、110円から112円程度の推移か
こうしたことを考えれば、この先、元に戻る可能性は極めて低いのではないかと思っています。
ただし、ここからさらに事態が深刻化するかといえば、そこまででもないと思います。
為替相場に関しては、ある程度、現在のレベルで落ち着いてくるのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
米ドル/円に関しては、当面、110円から112円程度の中での動きとなってくるではないでしょうか。
(出所:Bloomberg)
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