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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

平成最後の祭り、“スワップ11倍デー”に
ザイFX!編集長が含み損50万円突破!?

2019年05月11日(土)09:00公開 (2019年05月11日(土)09:00更新)
ザイFX!編集部

【副業FXで勝つためのメルマガ】田向宏行さんのFXメルマガは儲かるのか? ダウ理論の転換トレードで検証したらこうなった!

 史上空前の10連休の最中、天皇が退位し、新天皇が即位。元号は平成から令和へと変わった。

 さよなら平成、ようこそ令和──改元の瞬間となった2019年5月1日(水)午前0時頃、東京・渋谷のスクランブル交差点や大阪・道頓堀の戎橋付近などには大勢の人がつめかけた。戎橋近辺では、警察の厳戒態勢が緩んだ隙をついて、道頓堀川へ果敢に飛び込む人が出るなど、日本列島は祝賀ムードに包まれた。

史上空前の“スワップ11倍デー”にFX界が湧いた

 そこから遡ること1週間、30年4ヵ月続いた平成時代が終わろうとする頃、FX界の一部は“スワップ11倍デー”に湧いていた。

 史上空前の10連休がやってくる関係で、4月24日(水)から4月25日(木)に米ドル/円やトルコリラ/円のポジションを1日だけ持ち越せば、多くのFX会社で11日分ものスワップポイント(スワップ金利)が一挙に付与されるというのだ。

 これを利用して、何かうまいこと儲ける方法はないものか…。FXトレーダーの間にさまざまな思惑が交錯するなか、筆者(ザイFX!編集長・井口稔)も徹夜で“スワップ11倍デートレード”に参戦した。それが今回、筆者が行ったスワップ絡みのトレード第1弾である。これは米ドル/円を対象としたトレードだった。

 さらに第1弾のトレードが終了したその日、筆者は第2弾として、“スワップ9倍デートレード”にも挑戦した。これはユーロ/米ドルのトレードだ。

 そして、さらに第2弾のトレードが終わったその日から第3弾として、平成から令和にかけての歴史的な10連休を持ち越す“スワップ10日分狙いトレード”にも挑戦したのだった。これは再び米ドル/円のトレードだった(※)。

(※以上の記述に出てくる日付は、日本時間午前0時ではなく、NYクローズ(現在は日本時間午前6時)で区切ったものとしている)

2019年4月21日~5月11日のカレンダー

※日付の赤字は日本の土曜・日曜・休日・祝日
※日本時間午前0時ではなく、NYクローズ(現在は日本時間午前6時)で日付が変わる設定で各トレードの期間は記載している

 第1弾から第3弾まで、10連休が絡んだこの3つのトレードは文字どおり、山あり、谷ありの展開となった。これらはどれも売り買い両建てを行って、基本的には為替変動リスクから解放されているローリスクなトレードのはずなのだが、筆者の想定していなかった展開となって、痛恨の損切りとなったこともあったのだ。

 スワップポイント狙いの売り買い両建てトレードは、記事中に登場する著名な大口トレーダーのみなさんにとっては、ちょっとしたおまけトレードのようなものだったかもしれないが、弱小トレーダーの筆者にとっては、なかなかエキサイティングな体験だった。

 今回から数回のシリーズで、その一部始終をレポートしていきたい。

 一連のトレードは一見、単純そうに見えて、意外と考えるべきポイント、考えさせられるポイントがたくさんあり、それらを克明に書いていったところ、本記事シリーズはだいぶ長いものになってしまった。

 また、この記事シリーズは、平成から令和に元号が移り変わる歴史的な瞬間に、FX界にはあんなお祭りがあったのだと、あとから振り返るための記録になれば…ともちょっと思っている。

 さて、第1弾となる“スワップ11倍デートレード”の最中、筆者は自分のツイッターアカウントで「含み損50万円突破!」と速報(?)したのだが、果たしてその顛末は…!?

(※上のキャプチャを見ると、一見、評価損益が52億2600万円(!)もあるように見えるが、そんなことはない。右から数えて0が4つ並んだ左にあるのは小数点であり、この評価損益の欄には小数点以下4ケタ円までが表示されているのだ。この時点の評価損益は52万2600円である)

普段どおりのカレンダーでも“スワップ3倍デー”はある

 特別な休日などがない普段どおりのカレンダーでも、FXには“スワップ3倍デー”というものがある。多くのFX会社では水曜日から木曜日にポジションを持ち越すと、スワップポイントが通常の3倍もらえるのだ(なぜ、そうなるのか、そのしくみについては以下の記事を参照)

【“スワップ3倍デー”に関する参考記事】
スワップポイントはいつもらえる? 土日や祝日の分は? 気になるしくみを徹底解説!

 そこで、日本時間早朝に「スワップポイントが3倍付与される直前に買って、付与された直後に売り、スワップポイント分を儲ける」といったようなトレード法もあるようだが、これまで筆者はあまり関心がなかった。そんなにたくさんの金額は儲からなさそうだし、相場があまり変動しなければいいが、相場が大きく変動すれば、損する可能性もありそうだ。さらに、日本時間早朝はスプレッドが拡大しやすそうでもある。

 そして、何より筆者は朝早いのが苦手なのである。

 今回、10連休前にやってくるのは史上空前とも言える“スワップ11倍デー”だから、“スワップ3倍デー”とは規模が違うが、それでもスワップポイントが付与される直前に買って、付与された直後に売るようなやり方はリスクがかなりありそうで、筆者はやはり食指を動かされなかった。

“スワップ11倍デー”に「異業者両建て」が有効かも…

 しかし、もしかしたらおもしろいやり方があるかもしれない…との思いが芽生え始めたのは2019年2月にザイFX!で以下の記事を公開したときだったかもしれない。これは筆者がそれまで把握していないことだった。

【参考記事】
主要FX会社のスワップ履歴を毎日調査! トルコリラ、真の高スワップ口座はコレだ!

 こちらの記事では主要FX会社のトルコリラ/円スワップポイントを一定期間、毎日調査して比較しているのだが、その調査の過程で、ヒロセ通商「LION FX」は他のFX会社と異なり、スワップポイント付与日数が祝日などを考慮していない規則正しいものになっていることがわかったのだ。

ヒロセ通商「LION FX」のスワップポイント付与日数
付与日 付与日数
4月22日(月) 1
4月23日(火) 1
4月24日(水) 3
4月25日(木) 1
4月26日(金) 1
4月29日(月) 1
4月30日(火) 1
5月1日(水) 3
5月2日(木) 1
5月3日(金) 1
5月6日(月) 1

※日付の赤字は日本の休日・祝日

 ただ、その規則正しさはヒロセ通商「LION FX」外為オンライン「外為オンラインFX」アイネット証券では異なるものになっていた。

外為オンライン「外為オンラインFX」やアイネット証券のスワップポイント付与日数
付与日 付与日数
4月22日(月) 1
4月23日(火) 1
4月24日(水) 1
4月25日(木) 1
4月26日(金) 3
4月29日(月) 1
4月30日(火) 1
5月1日(水) 1
5月2日(木) 1
5月3日(金) 3
5月6日(月) 1

※日付の赤字は日本の休日・祝日

 結局のところ、今回の“スワップ11倍デー”にはスワップポイントが11日分付与されるFX会社があり、これが圧倒的に主流のスワップ付与形態なのだが、その一方で、“スワップ11倍デー”というのにスワップポイントが1日分しか付与されないFX会社も一部にあるということなのだ。

 となれば、前者で買いポジションを取り、後者で同額だけ売りポジションを取れば、相場変動リスクをとることなく、スワップポイントの差額分をいただくことが可能なのではないか──。

 この可能性が開けてきたことで、筆者はこの“スワップ11倍デー”における「異業者売り買い両建てスワップタダ取りトレード」に俄然興味を持ち、これを読者に紹介しているだけでなく、自分でも実践しようではないかと考え始めたのである。

 そして、これはFX界で、「異業者両建て」と呼ばれている手法の一種ということができる。

【「異業者両建て」の参考記事】
マイナス金利時代に年利7.6%!? 為替リスクなしでスワップ金利だけもらう異業者両建て

“スワップ11倍デー”を利用した手法のいろいろ

 先に紹介した以下の“スワップ11倍デー”を取り上げた記事は多くのアクセスを集め、一時期はザイFX!の人気記事ランキングでも1位に浮上していた。この人気記事ランキングではいわゆる相場予想系の記事が上位になることが多いのだが、そういった記事を押しのけて、この記事は1位になったのだ。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

 以下のとおり、この記事のことはツイッターでもよくツイートされていたようだった。

 ただ、以下のように記事をすべてまでは読まずにコメントをつけていると思われる人もいた。この記事では売り買い両建てを行う手法も紹介しているのだが、そこまでは読んでいないと思われる人もいたのだ。そこで、筆者は売り買い両建てのことも書いてあるので、ぜひ、ご覧くださいとツイートしておいた。

 上の新米金持ち父さんのツイートを見ると、「スワップポイントが付与される直前に買って、付与された直後に売り、スワップポイント分を儲ける」というシンプルなやり方を実際に狙ったことがあって、そうはうまくいかないことを経験したのではないかと感じられた。そこで、「意外と付与前に売った方が利益は固い」と、その裏をかくようなやり方にも言及したのではないだろうか。

 また、新米金持ち父さんはスワップポイント付与後に売買ができるようになる時間が早いことがポイントだと具体的な指摘もしている。

 先の“スワップ11倍デー”の記事を書いたザイFX!編集部の藤本記者は“スワップ11倍デー”絡みでどういう手法をとるかでこんないろいろな“派”があると、以下のようにツイートしていた。

平成最後にやってきたFX界の一大祭り!?

 また、ザイFX!では元為替ディーラーの西原宏一さん、フリーアナウンサーの大橋ひろこさんによる対談企画、「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」を原則毎週月曜日に更新しており、その週の注目テーマがよくわかる名物コンテンツとなっているのだが、4月22日(月)にはこのコーナーで“スワップ11倍デー”も遡上にのぼっており、以下のように大橋さんと西原さんが話していた。

【参考記事】
10連休中は月曜早朝に要注意! フラッシュクラッシュが起きれば米ドル/円の買い場に!?(4月22日、西原宏一&大橋ひろこ)

4月22日(月)の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」より抜粋
FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議のキャプチャ

 日銀会合やFOMC、アップル決算といった正統派の話題(?)とともに“スワップ11倍デー”という異端の話題(?)も「今週の作戦会議」で取り上げられるまでになっていたのだ。

 さらに西原宏一さんの有料メルマガ「FXトレード戦略指令!」では4月23日(火)に「swap pointのcheckを」というタイトルのメルマガが配信された。その内容を引用すると、以下のとおり。

FXトレード戦略指令!
2019年4月23日配信
Zai FX!の記事によれば、
「トルコリラ/円や米ドル/円で4月24日(水)NYクローズ後(4月25日(木)日本時間6時頃)までポジションを持ち越すと11日分ものスワップポイントが一挙にもらえるというわけです。」
詳しくは下記の記事を参照。

10連休前の4日間で32日分の大量スワップ!
為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も
https://zai.diamond.jp/articles/-/314708

Keepしているpositionの中で特に気になるのが、ドル円のshort.
通常のvolatilityだとswapはあまり気にしないようにしているのですが、ここまでドル円が膠着していると
25日早朝までにいったん抜けることも検討中。

 先に紹介した西原さんと大橋さんの対談記事で西原さんは“スワップ11倍デー”を「機関投資家はまったく意識しない」とコメントしていた。

 また、シティバンクのチーフディーラーとして名を馳せた西原さんには普段、スワップポイントはあくまでおまけであって、まったく気にしないという雰囲気が感じられる。しかし、先ほど引用したとおり、そんな西原さんさえも、“スワップ11倍デー”を前にして、米ドル/円のショート(売り)をやめるかも…とコメントしていたのである。

 西原メルマガにまで、このような形で取り上げられるとは…。筆者は“スワップ11倍デー”の盛り上がりをヒシヒシと感じていた。

 そして、とうとう筆者の元にはFXにそれほど詳しくないけど、一部情報を漏れ聞いたらしい人から

 「今日と明日、スワップをまとめてもらえて5分で簡単に儲かるって聞いたんですけど~~」

 みたいな問い合わせが入ってきたのである。

 これはもう祭りだ。

平成最後にやってきたFX界の一大祭り、それが“スワップ11倍デー”なのだ。

2つのFX会社の口座に合計4000万円を入金

 ならば、平成最後の記念に筆者もガッツリこの祭りに参戦し、“スワップ11倍デートレード”をやってみようではないか。道頓堀川に飛び込む勇気はないが、“スワップ11倍デートレード”なら筆者にもできる!

 そんな気持ちが高まって、筆者は資金調達に走ったのだった。その資金調達法とは……これは話が長くなるので省略するが、無事、資金調達に成功した筆者は2つのFX会社の口座にそれぞれ2000万円ずつ、合計4000万円を入金したのである。

 狙いは異なるFX口座での米ドル/円売り買い両建てトレードだ。スワップ11倍付与直前に買って、スワップ11倍付与直後に売るトレードではない。

 以下の記事の最後の方で紹介されているが、4月24日(水)から4月25日(木)にかけて、スワップポイント11日分が付与されるSBI FXトレードで買いポジションを持ち、スワップポイントが1日分しか付与されない外為オンライン「外為オンラインFX」で売りポジションを持つ計画だ。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

SBI FXトレードの公式サイト
SBI FXトレードの公式サイト

 11日分から1日分を差し引き、残るは10日分のスワップポイント。そこからある程度の取引コストがさらに引かれると考えられるが、これで基本的には為替変動リスクなしにスワップポイントだけをいただいてしまおうという計画である。

 ちなみに本記事のこのあとにも登場する、ザイFX!でもおなじみの羊飼いさんは、筆者が“スワップ11倍デー”における「異業者売り買い両建てスワップタダ取りトレード」をやっている最中にツイートした内容を見て、こんなふうにツイートしていた。

 羊飼いさんの「ザイFXの編集長の井口さんは少なくとも4000万円は持っている( ・∇・」という推測はズバリ当たっていたのだった。

元為替ディーラーが投げかけた疑問

 ここまで書いてきたような皮算用で筆者の気持ちが盛り上がっていたところ、ツイッターでこんなコメントをする人が現れた。

 この「たかはと」さんはメガバンクの元為替ディーラー。この分野の専門家だ。筆者も何度か会ったことがある。そんな専門家が一般人である筆者が知らない「value date」という難しい言葉を掲げて「そうそう簡単なアービトラージは無いものと思料」(※)しているという。

(※「アービトラージ」とは一般に同一の価値を持つと思われる2つのモノに一時的に価格差が生じている場合、割高な方を売って、割安な方を買い、価格が同一になるのを待って決済することで利益を得る取引方法。「裁定取引」とも呼ばれる)

 そして、なんと元為替ディーラーでFX業界の顔、JFXの小林芳彦社長がこのツイートに対して「まさしく御意」と深く頷いていたのである。

 筆者は急速に不安になってきた。「市場にフリーランチはない」などとよく言われるが、やはり、スワップポイント10日分タダもらいなどというおいしい話はないのだろうか?

 そこで、急ぎ筆者が「value date」という単語をググってみると、インターバンク市場の外国為替取引において、売買が成立した日の2営業日後にやってくる決済日あるいは受渡日というもののようだということがわかった。

 以下のザイFX!の記事で「スポット応当日」と呼んでいる日と同じ日を指しているようだ。

【“スワップ3倍デー”に関する参考記事】
スワップポイントはいつもらえる? 土日や祝日の分は? 気になるしくみを徹底解説!

 売買が成立した2営業日後に受渡日がやってくるということであれば、通常時の水曜日がスワップ3倍デーになることや、今回の4月24日(水)が10連休絡みで“スワップ11倍デー”になることはよくわかる。

 ただ、そもそも“スワップ11倍デー”にならないFX会社があることの方が不思議と言った方がよいのだ。今回はその謎を解くことはできなかったが、もし今後、その謎が解明できたら、当コーナーなどでまたお伝えしたい──とは思っているが、もしかするとそれは企業秘密であり、今後もずっと謎のままかも…。

株式の配当落ちで考えてみる

 さて、「たかはと」さんはスワップ付与日数の違うFX会社の為替レートは違ってくるとツイートしていた。確かにそんなことになってしまうのであれば、今回の“スワップ11倍デー”に売り買い両建てなどやっても儲からないだろう。

 このことは、いったん株式で考えた方がわかりやすそうだ。

 1株=5000円の株があったとする。この株の配当が250円だとしよう。「権利付き最終日」と呼ばれる日にこの株を持っていれば、250円の配当はもらえる。そして、「権利落ち日」と呼ばれるその翌営業日にこの株を買っても、もうその分の配当はもらえない。

 このとき、「権利落ち日」の株価の理論値は5000円から250円を差し引いた4750円になる。「権利落ち日」にはもう250円の配当はもらえないのだから、そうなるのだ。

 実際には「権利付き最終日」の夜にその株に関する大きなニュースが出たとか、米国株が大きく動いたとか、あるいはとにかくその株を売りたい人が多いとか、さまざまな理由で株価は必ずしも4750円になるとは限らないのだが、理論値が4750円であることは間違いない。

2社の為替レートに差がある状態が続くことはあり得るのか?

 これと同じようなことで、スワップポイントが11日分付与されるのであれば、付与されてしまったあとの為替レートはスワップポイント11日分、ガクンと下がってもおかしくはないとも思える。

 先ほどから紹介している以下の記事では、“スワップ11倍デー”の「異業者売り買い両建てスワップタダ取りトレード」において、米ドル/円の買いポジションを取るFX会社としてSBI FXトレードを例に挙げているが、そこで試算されている11日分のスワップポイントは1万通貨につき946円となっている。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

 1万通貨につき946円ということは、1通貨あたりにすると9.46銭ということだ。つまり、11日分のスワップポイントが一気に付与された直後、為替レートは理論的には9.46銭下がるということになる。これを約9銭としておこう。

 先ほどの記事で、売りポジションを持つもう一方のFX会社として例に挙げられているのは外為オンライン「外為オンラインFX」だ。その1日分の売りスワップポイントは1万通貨につきマイナス100円。買いのスワップポイントは100円より少なそうだが、先ほどと同じ計算をすれば、おおむね1銭程度為替レートが下がっておかしくないという話になりそうだ。

外為オンラインの公式サイト
外為オンラインの公式サイト

 約9銭と約1銭であれば、その差は約8銭。SBI FXトレード外為オンライン「外為オンラインFX」の米ドル/円レートが約8銭違うという話になるが、そのような状態がずっと続くようなことになるだろうか?

 筆者はまず想像してみた。

 確かに日本時間早朝のスワップ付与時刻前後は為替レートの混乱があるかもしれない。しかし、そのような状況がずっと続くとは筆者には想像できなかった。

 そして、ずっと続かず、ある程度時間が経ったら為替レートの混乱が解消されるのであれば、売り買い両建てのポジションは問題なく閉じることができるだろう。

 さらに想像するだけでなく、もう少し考えを巡らせてもみた。SBI FXトレード外為オンライン「外為オンラインFX」の米ドル/円レートが8銭も違う状況がずっと続くなら、それこそSBI FXトレードで米ドル/円を買って、外為オンライン「外為オンラインFX」で米ドル/円を売る裁定取引をやる人が大量に出現してくるのではないだろうか。

 その結果、いずれ両社の為替レートは似たような値に収れんしていくのではないだろうか。

 ということで、売り買い両建てする2社の為替レートが乖離したままになるという心配を筆者はしないことにしたのだった。そういった筆者の考えはこのあと、半ば当たって、半ば外れるという、まさかの状況となるのだが…。それについては、本記事シリーズで追々触れることになるだろう。

スワップポイントが11倍つかないリスクはあるかも…

 さて、その後、「たかはと」さんは以下のとおり、「インターバンクの為替キャッシュ取引とFXとは別物」ともツイートしていた。先に引用したツイートで「たかはと」さんが書いていたのはおもにインターバンク市場に当てはまる話だったのだとすれば、個人向けのFXでトレードしようとしている筆者はより安心できる。

 ただ、「たかはと」さんは以下のようにもツイートしていた。

 FXは相対取引(店頭取引)なのでFX会社側は何でもできるというのだ。

 確かに“スワップ11倍デー”において、「これが11倍のスワップポイントです」とFX会社が付与した数字が通常時の1日分のスワップポイントを11倍した数字よりも全然少ないものになるという心配はある。そして、正確なスワップポイントの数字は付与される瞬間を過ぎなければ、わからないことが多い。

 新興国通貨などでは、買いでも売りでも、スワップポイントが支払いになってしまうような例も見かけるし、かつて金融危機的なことがあった際に、主要FX会社の1つが主要通貨ペアにおいて、異常なスワップポイントを付与したこともあったように記憶する。

 こちらが想定したようなスワップポイントがつかないリスクがあるということは、認識しておかなければならないだろう。

 とはいえ、FX会社も他社と競争している。注目を集める“スワップ11倍デー”で11倍にはほど遠いスワップポイントを付与し、トレーダーの失望を誘って、評判を落とすようなことはそうそうできないのではないか、ということを筆者は考えなくもなかった。

豪ドル/円、NZドル/円に1日早く“スワップ11倍デー”が到来

 先ほどから何度も登場している以下の記事では、スワップ11倍デー”にまつわる通貨ペアとして、豪ドル/円、NZドル/円、トルコリラ/円、米ドル/円を取り上げている。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

 このうち、豪ドル/円、NZドル/円はオセアニアの祝日の関係でトルコリラ/円、米ドル/円よりも1日早く“スワップ11倍デー”が到来していた。4月23日(火)から4月24日(水)に持ち越すと、主要FX会社でスワップポイントが11日分付与されることになっていたのだ。

 しかし、筆者は豪ドル/円、NZドル/円で売り買い両建ての“スワップ11倍デートレード”はやらなかった。

 下の2つの表は以下の記事から転載したもので、豪ドル/円とNZドル/円について、“スワップ11倍デー”に各FX会社でもらえると想定されるスワップポイント、支払うと想定されるスワップポイントをまとめたものだ。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

主要FX会社の豪ドル/円の4月1日から4月12日の平均スワップポイント
FX会社
「口座名」
1日あたり
平均買い
スワップ
ポイント
1日あたり
平均買い
スワップ
ポイント
を11倍
1日あたり
平均売り
スワップ
ポイント
1日あたり
平均売り
スワップ
ポイント
を11倍
マネーパートナーズ
「パートナーズFX
 nano」
40円 440円 ‐43円 ‐473円
くりっく365 40円 440円 -40円 -440円
SBI FXトレード 35円 385円 ‐37円 ‐407円
YJFX!
「外貨ex」
34円 374円 -44円 -484円
外為どっとコム
「外貨ネクストネオ」
34円 374円 -49円 -539円
GMOクリック証券
「FXネオ」
34円 374円 ‐35円 -385円
IG証券
「標準」
33円 363円 ‐53円 -583円
セントラル短資FX
「FXダイレクトプラス」
30円 330円 ‐45円 ‐495円

※ポジション量は1万通貨
※1日あたり平均スワップポイントは小数点第1位以下を四捨五入
※上表の主要FX会社のなかで一番高い買いスワップポイントは赤字
※上表の主要FX会社のなかで一番安い売りスワップポイントは青字

主要FX会社のNZドル/円の4月1日から4月12日の平均スワップポイント
FX会社
「口座名」
1日あたり
平均買い
スワップ
ポイント
1日あたり
平均買い
スワップ
ポイント
を11倍
1日あたり
平均売り
スワップ
ポイント
1日あたり
平均売り
スワップ
ポイント
を11倍
くりっく365 42円 462円 -42円 -462円
SBI FXトレード 36円 396円 -38円 -418円
YJFX!
「外貨ex」
34円 374円 -44円 -484円
GMOクリック証券
「FXネオ」
34円 374円 -37円 -407円
IG証券
「標準」
32円 352円 -56円 -616円
マネーパートナーズ
「パートナーズFX
 nano」
30円 330円 -36円 ‐396円
外為どっとコム
「外貨ネクストネオ」
27円 297円 -42円 -462円
セントラル短資FX
「FXダイレクトプラス」
27円 297円 -42円 ‐462円

※ポジション量は1万通貨
※1日あたり平均スワップポイントは小数点第1位以下を四捨五入
※上表の主要FX会社のなかで一番高い買いスワップポイントは赤字
※上表の主要FX会社のなかで一番安い売りスワップポイントは青字

 これを見て、さらに取引コストも考えると、豪ドル/円、NZドル/円では売り買い両建ての“スワップ11倍デートレード”をやっても、利益が出ないか、出てもわずかだと筆者には思えた。豪ドルとNZドルは今やそれほど高金利とも言えなくなったのだ。

 しかし、豪ドル/円、NZドル/円に1日早く“スワップ11倍デー”が訪れてくれたおかげで、参考になることもあった。筆者が米ドル/円で買いポジションを取ろうとしているSBI FXトレードでは、1日早い豪ドル/円とNZドル/円の“スワップ11倍デー”において、1日分のおおよそ11倍相当のスワップポイントが付与されていたのである。

 先ほど筆者が書いた、「“スワップ11倍デー”でも、通常時の1日分のスワップポイントを11倍した数字よりも全然少ないスワップポイントが付与される」というリスクは減ったように思われた。

トルコリラではなぜやらなかった? 恐ろしい最悪の事態とは?

 ここで、高金利通貨の花形ともいえるトルコリラについても触れておこう。

 先ほどから何度も言及している以下の記事の中でも、「異業者売り買い両建てスワップタダ取りトレード」において、やはり政策金利の高いトルコリラがスワップポイントも多く、利回り的には一番いいという結論になっていた。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

 ただ、筆者はトルコリラ/円を今回、トレード対象にしようとは思わなかった。それはスワップポイントの変動にせよ、為替レートの変動にせよ、スプレッドの拡大にせよ、異常な事態が起きる可能性は米ドルなどの主要通貨に比べ、トルコリラの方がずっと高いだろうと思われたからだ。

 とくに為替レートの急変動は一番怖い。

 今回、沖縄在住のもうすぐ億トレーダー・余弦さんは以下のようにツイートしていた。

 今回のような売り買い両建てトレードにおいて、ものすごい急落が起こって、そのままどんどん一方通行で急落していくのは怖いけれど、実はOKだ。その場合、両建てしていた一方のポジションは強制ロスカットとなり、損失拡大が止まる一方、もう一方のポジションは利益がどんどん膨らんでいくからだ。

 しかし、余弦さんが書いているとおり、2019年1月3日(木)日本時間早朝に起こったフラッシュ・クラッシュのように、ある程度急落し、一方のポジションが強制ロスカットとなったあとに相場がV字回復してしまったら目も当てられない。この場合、当初は売り買い両建てにして、為替変動リスクから解放されていたはずなのに、急落したところでポジションが片側だけになってしまい、気づいたときには損失がどんどん拡大していた、といった事態になる可能性が高いからだ。

米ドル/円 1時間足(2019年1月2日~3日)
米ドル/円 1時間足(2019年1月3日)

(出所:Bloomberg)

 ノーリスクとまでは言わずとも、ローリスクで利益を取りにいったつもりが、大きな損失を被ってしまう可能性もあるわけだ。

 今回のような売り買い両建てトレードにおいて、もっとも怖いリスクはこのような相場急変なのである。

 トルコリラ/円でトレードするより、米ドル/円でトレードする方がこのリスクは相対的に低いと思えるが、そのようなリスクが存在することに変わりはない。

200万通貨を買うと同時に200万通貨を売る

 そこで、どのぐらい欲張るか、どれだけポジションを建てるかが問題になる。

 調べてみると、SBI FXトレードは証拠金維持率50%で強制ロスカットになることがわかった。

 また、外為オンライン「外為オンラインFX」にはいくつかのコースがあるのだが、筆者の口座は現在、証拠金維持率20%で強制ロスカットになる設定だった。また、さらに筆者のコースの場合、1日1回、日本時間早朝に証拠金判定というものがあり、このときは証拠金維持率が100%を上回っていないと強制ロスカットになるという。

 これらのことから、フラッシュ・クラッシュのようなことが起こったときでも証拠金維持率100%を上回っているぐらいにポジションは抑えておいた方がいいだろうと筆者は考えた。

【フラッシュ・クラッシュの参考記事】
フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?

 そして、最大レバレッジ25倍の日本のFXなので、それよりだいぶ低いレバレッジ10倍ぐらいでもざっくりいいのではないかと考えてみた。1口座2000万円の証拠金に対して、200万通貨のポジションを取ってみようと思ったのだ(正確には10倍よりもう少し高いレバレッジになる)

 米ドル/円相場を112円とすると、200万通貨のポジションは2億2400万円相当ということになる。必要証拠金はその25分の1(4%)なので896万円だ。

 2019年1月のフラッシュ・クラッシュで米ドル/円がいくら下落したか、FX会社によって異なっていて難しいのだが、ざっくり5円としてみよう。200万通貨で5円分、自分のポジションの方向と逆行すると含み損は1000万円になる。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

※2019年1月3日の米ドル/円の安値はFX会社により大きく異なる。Bloombergでは104.78円
「フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?」より抜粋 (出所:Bloomberg)

 口座にある証拠金は2000万円なので、含み損を差し引くと1000万円。これは必要証拠金の896万円よりも多い。つまり、5円のフラッシュ・クラッシュが起こっても証拠金維持率は100%以上をキープできているということだ。

 以上のように考えていった結果、筆者はSBI FXトレードにて米ドル/円を200万通貨買うと同時に外為オンライン「外為オンラインFX」にて米ドル/円を200万通貨売る“スワップ11倍デートレード”を行うことに決めた。

 このトレードを行うと、何度も紹介してきた以下の記事では下表のとおり、1万通貨の買いと1万通貨の売りという取引量の場合、719円の利益が得られることが想定されていた。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

米ドル/円を4月24日から4月25日にかけて異業者両建てした場合の想定損益
FX会社
「口座名」
付与日数 スワップ
ポイント
取引コスト
SBI FXトレード 11 946円 -27円
外為オンライン
「外為オンラインFX」
1 -100円 -100円
    合計 719円

※ポジション量は1万通貨
※スワップポイントは仮定の数値。実際には大幅に変動する可能性もある

 200万通貨だと、利益はこの200倍となり、14万3800円という数字が出てくる。いろいろな状況によって揺れ動く面はあるにせよ、このトレードではおおよそこれぐらいの利益が期待できるということだった。

アイネット証券「アイネットFX」の方が条件は有利だった

 なお、上の記事では“スワップ11倍デー”に米ドル/円を売る口座として、外為オンライン「外為オンラインFX」を挙げており、筆者もそのとおりに「外為オンラインFX」を利用したのだが、外為オンライン「外為オンラインFX」よりも、アイネット証券「アイネットFX」の方がスワップ付与日数のパターンは同じで、米ドル/円のスプレッド、スワップポイントが外為オンライン「外為オンラインFX」よりも有利になっているようだ。

アイネット証券の公式サイト
アイネット証券の公式サイト

 この「アイネットFX」という口座はアイネット証券が提供している裁量トレード用の口座である。

 本記事で何度も紹介している以下の記事の執筆者、ザイFX!編集部の藤本記者にあとから確認したところ、記事では米ドル/円とともにトルコリラ/円も取り上げていたため、トルコリラ/円の取り扱いがないアイネット証券「アイネットFX」よりも、外為オンライン「外為オンラインFX」を優先して記事中で取り上げたとのことだった。

【参考記事】
10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も

 本トレードにおいて、外為オンライン「外為オンラインFX」よりもアイネット証券「アイネットFX」の方が条件的に有利と事前にわかっていれば、筆者もそちらを利用したところだったが、それに気づいたときは“スワップ11倍デー”が迫るなか、筆者はすでに外為オンライン「外為オンラインFX」へ2000万円の入金を済ませており、もう使用する口座の変更は間に合わない状況だった。

 なお、アイネット証券外為オンラインと同じISグループに属するFX会社であり、スワップ付与日数のパターンが両社で同じになっていることは納得できるところだ。

 また、アイネット証券はリピート系発注機能の1つであるループイフダンが利用できる「ループイフダン」口座の方が今ではよく知られていると思うが、「ループイフダン」口座はスプレッドが相対的に広く、今回のようなトレードを行う際に「アイネットFX」よりも条件が有利とは言えない。

今年は調子が今イチでまだ2000万円しか儲かっていません

 ここでちょっと話は変わる。FX専業トレーダーのバカラ村さんはザイFX!連載コラムを持ち、有料メルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」も配信しているが、そのバカラ村さんが4月にセミナーを開いた。そして、FX専業トレーダーなどが集まったセミナー後の懇親会に筆者は参加する機会があったのだった。

【参考記事】
相場の混迷期をどう切り抜ける!? バカラ村氏の最新セミナー報告!

 また、その後、それとは別に専業トレーダーが集まる会に同席させてもらう機会もあった。

 それらの会では

 「1週間で1000万円儲けました」

 「1週間で1000万円損しました」

 「今年は調子が今イチでまだ2000万円しか儲かっていません」

 「いつもワンショット500枚(500万通貨)で取引してます」

 「複数のFX会社を併用し、2000枚(2000万通貨)ほど取引してます」

 といったとんでもない会話がビュンビュン飛び交っていた。それを聞いて、一般人である筆者は目を白黒させていたのだった。本当にすごい人たちはとんでもない量のFXトレードをして、とんでもない金額を儲けたり、損したりしているのである。

 こんな話を聞いたばかりだったので、筆者はこのとき、数百万通貨という取引量を若干身近に感じていた面もなくはなかったのだが、しかし、それでも売り買い両建てとはいえ、今回予定している片方の口座で200万通貨という取引量は筆者にとってかなりストレスを感じる数字だった。

 筆者はインデックスファンドや個別株などはそれなりの量の取引をしているものの、恥ずかしながら白状すると、現在のFXトレードにおける筆者のメイン取引量は1000通貨である。1000万通貨ではない。1000通貨だ。そんな人物がいきなり200万通貨のトレードをするというのだから大変なのである。

200万通貨というと、たった1銭の為替レート変動で、損益が2万円も上下するのだ。何回計算してもそうなる。恐ろしい話だ。

 それでも平成最後のお祭りだから、なんとかやってみようと筆者は思ったのだった。ただ、200万通貨を一挙に約定させるのは怖い。そこで、分割してポジションを取ることにした。200万通貨を4分割し、50万通貨ずつポジションを取ることにしたのだ。

 50万通貨なら、1銭の為替レート変動で損益の変動は5000円になる。何となくこれならまあいいかと思えた。

ポジションを建てるのはいつがいいのか?

 ポジションを建てるのはいつがいいだろう?

 最初は激しそうな欧米タイムより、東京タイムの方が穏やかそうでいいのでは…と思った。2019年4月下旬の米ドル/円は東京タイムの午前中は意外と大きめに動き、午後はあまり動かないことが多いようだった。だから、東京タイムの午後あたりでポジションを取ればいいかな…と最初は思ったのだ。

 しかし、考えてみると、このトレードでは、建てたポジションから為替レートが乖離していくことが怖いことなのだ。それは先ほども述べた強制ロスカットの可能性がいくらかでも増すということだからだ。

 ならば、ポジションを建てる時間帯は、スワップポイントが付与される4月25日(木)午前6時ごろになるべく近い方がいいということになる。

 けれど、何しろ“スワップ11倍デー”である。午前6時近辺は相場が荒れる可能性が高そうだ。その荒れる時間帯に何もしなくていい、というのがこの売り買い両建て手法の良さなのだ。

 それに午前6時近辺までいかなくても、日本時間早朝の時間帯はスプレッドが通常時よりも拡大する可能性がありそうだ。

 結局、スワップポイントが付与される午前6時近辺に近い方がいいけれど、スプレッドは拡大しないぐらいの時間帯にポジションを建てるのが良さそうと考えたのだが、それはいつだろうか?

 普段、そんな時間帯にトレードしていないどころか、起きていない筆者にはよくわからなかった。

FX界の生き字引、羊飼いさんから情報収集

 そこで、FX界の生き字引、ザイFX!でもおなじみの羊飼いさんに聞いてみることにしたのだった。

【参考コンテンツ】
羊飼いの「今日の為替はこれで動く!」

【参考記事】
羊飼いがバカになって荒稼ぎした4カ月(1) 億を稼ぐ人はみんなバカになっている!?
羊飼いがバカになって荒稼ぎした4カ月(2) ●千万円稼いだスキャルの手法とは?
羊飼いさんはどうやって儲けてる? 時刻が近い2つの経済指標を利用した作戦とは?

 すると、すぐに羊飼いさんから以下のような返事をもらうことができた。

羊飼いさんからのコメント1
羊飼いさんからのコメント

スプレッドは通常、午前4時台まで拡大せず、さらに多くのFX会社で午前5時半ぐらいまでは拡がらないとのこと。結構、遅い時間帯まで各社がんばっているようだ。ただ、“スワップ11倍デー”なのでいつもと違うかもしれない疑惑はあるとのこと。

 また、「欧米は普通にいる」とのコメントもあった。為替を取引している欧米勢はこの時間帯も十分いるということだろう。さすが相場をウオッチして、いつもアクティブにトレードしている羊飼いさんだ。普段のトレードでそこに彼らが「いる」ことを体感しているのだ。

 そんな経験豊富な羊飼いさんも「フラッシュクラッシュのような事は起こらない」との見解。フラッシュ・クラッシュのようなことが起こるのは月曜日早朝、とくに日本が祝日の月曜日早朝のようなイメージがある。

 そして、今回の“スワップ11倍デー”は日本の10連休絡みで起きている現象だが、10連休にまだ入っているわけではない平日である。フラッシュ・クラッシュに身構えておく必要はあるだろうが、ムチャクチャ心配するほどではないと思えてきたのだった。

 さらに羊飼いさんは耳寄りな情報も教えてくれた。

羊飼いさんからのコメント2
羊飼いさんのコメント

日本時間早朝では、スワップポイント付与前よりも、スワップポイント付与後の方がスプレッドが通常時の状態に戻りにくいというのだ。あとから振り返ってみると、この情報は実際のトレードで心強い味方になってくれたのだった。

 筆者が“スワップ11倍デー”における「異業者売り買い両建てスワップタダ取りトレード」を実際どんなふうにしたのか、そこに入るまでの話がかなり長くなってしまった。いくら売り買い両建てで基本的には為替変動リスクがないトレードだといっても、いろいろと考えなければいけない点はあり、事前準備は必要ということなのだ。

 ここからはいよいよ、筆者が売り買い両建てのポジションを取ったそのときの話に入っていく。

「“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が4億5000万円分のポジションを建てた結果!?」へつづく)

(取材・文/ザイFX!編集長・井口稔 編集協力/ザイFX!編集部・藤本康文)

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